首を落とせば命も消える!そうすれば、命の輝きに脅かされる事も無ぁい!
カタログスペック
頭頂高 | 17.3m |
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本体重量 | 14.3t |
全備重量 | 35.9t |
ジェネレーター出力 | 6,310kW |
装甲材質 | ハイチタン合金ネオセラミック複合材 |
スラスター総推力 | 150,780kg |
概要
ザンスカール帝国特殊機関スーパーサイコ研究所が試作した、サイコミュ搭載型試作モビルスーツ。型式番号のZMT-S28Sは、同機関が最初にロールアウトした機体であることを示している。
これまでのザンスカール機とは違い、コスモ・バビロニア建国戦争時代のクロスボーン・バンガードの量産機を彷彿させる灰色のカラーリングが特徴。
第二期モビルスーツが戦場の主役となって以降は表舞台から遠のいていた、無線遠隔操作攻撃端末を採用したサイコ・マシン。
攻撃端末の操作やコクピット・ブロックに後発のザンネックと同様のシステムを採用している事などから、運用には強化人間が必須であり、必然的にスーパーサイコ研の施術を受けたファラ・グリフォン中佐が所属する、タシロ艦隊旗艦シュバッテン(アマルテア級戦艦)が受領している。
ただし、ファラ中佐はザンネック被撃墜後にタシロ・ヴァゴ大佐へ「MSは他にもあるのだろう?」と問いかけていることから、「最強のMS」であるザンネック不調時などにおける予備機としての運用を想定していたと考えられる。
“標準的なMSのサイズで、大火力およびオールレンジ攻撃能力を持たせる”というコンセプトで開発されたため、本体は17mとやや大型となっている。しかし、攻撃端末であるバックエンジンユニットがオーバーハング状にドッキングするため、結局は全高がモビルアーマー級となり、ザンネック同様にシュバッテンのMA用ランチから直接離発着している。
ザンネックのような一極集中運用による戦略レベルの驚異的戦力は有していないが、中距離制圧・殲滅能力は特筆に値し、大型機ながらパワー・ウェイト・レシオは4.2と機動性はむしろ高い。
特徴でもあるバックエンジンユニットは、過去のファンネル(ビット)が、複数基同時展開を前提としての小型化により、ビーム出力・機動性・稼働時間(推進剤積載量)の限界に達してしまった事に対して、逆転の発想を用いて端末を大型・多機能化する事で同世代MSを一撃で撃墜する火力と、破格の機動性を確保。さらに、携行可能数の減少(一基のみ)による同時攻撃不可のデメリットを、マルチプルビームランチャーの機能性によりカバーしている。
初登場は第44話「愛は光の果てに」(1994年2月4日放送)で、カリンガの婚約関係にあったキスハールを殺害した(実際には死んでいなかったが)リガ・ミリティアへの復讐に同行する形で試運転も兼ねて出撃。この時独断行動を起こしたシャクティ・カリンを攫っている。
エンジェル・ハイロゥ攻防戦中盤、その中枢空域において単機でタシロ艦隊の叛乱、マリア女王拉致の援護を行い、更にシャクティ救出のため同じく単機で切り込んできたV2バスターガンダムを追い詰める、強大な戦闘力を発揮した。
なお、攻撃能力と機動力の大部分をバックエンジンユニットに依存する欠点があるが、各種オプション兵装との連携運用を想定しているのはスーパーサイコ研開発機全般に言える事であり、V2ガンダムも火力面では各オプションに頼っている部分があるため、宇宙世紀0150年代ではモビルスーツという有人機動兵器そのものが性能限界に達しつつあったといえる。
武装
バックエンジンユニット
本機最大の特徴となる、サイコミュ遠隔操作攻撃端末。
3門1セットのマルチプルビームランチャーを5基(合計15門)、大推力スラスター、大容量メガコンデンサをパッケージングした機動戦闘ユニット。ゲンガオゾ本体とはドッキングアームで接続される。
各エンジンブロック(マルチプルランチャーおよびスラスター)とジョイントには可動域を有しているため、待機中はアーチ状にセッティングされるが、巡行時にはウィング状に広がり、さらに単独攻撃時には水平に近いフォルムへと変形する。
これら巡航・単独攻撃時の形態は、空力学的に揚力を得られるフォルムになっているため、ゲンガオゾ本体にある程度の大気圏内飛行能力を付与する。また、推進剤消費が増加する分射程は短くなるものの、同じく大気圏内でも高機動攻撃端末として問題なく機能する。
なお、ゲンガオゾはバックエンジンユニットを装備する関係上、本体背中にはメインスラスターを持っていない。分離状態ではテールスカート裏や肩部の推進器をメインスラスターとして使用し、各部の姿勢制御バーニアと合わせて軽快な運動性を維持する。
- マルチプルビームランチャー
15門のビーム砲は個々の威力も充分であるが、それぞれが偏向・収束機能を有しているため、一斉収束照射によってメガキャノン級の威力を引き出す事や、高速機動と同時に個々をランダム、時間差で偏向射撃する事によって、疑似的なオールレンジ攻撃も可能となっている。
ドッキング時はゲンガオゾのジェネレーターから直接エネルギー供給を受けるため、対艦隊戦にも対応可能なマルチウェポンとしての機能を果たす。
- 大推力スラスター
「攻撃端末」としては大型だが、「機動兵器」として見れば極めてコンパクトなため、“無人兵器”である(パイロットが受ける加速Gを無視できる)利点を活かして、大推力スラスターをそのまま使用した、モビルアーマーを越える超高速機動で敵機を容易く追い詰める。
- メガコンデンサ
極大容量のコンデンサは、一度のドッキングによるエネルギーチャージで、長時間の単独機動を可能としている。上記の機動力とあわせ、慣性緩和機動を行っているV2ガンダムさえも射程に捉え続け、ウッソ・エヴィンを「パワーパックは無尽蔵なの!?」と驚愕させた。
ダメージコントロールも端末としては破格であり、機雷攻撃により中破した後も問題なく機動してV2ガンダムへ体当たりによる足止めを敢行している。ここからさらに数発の打突を受けて、ようやく沈黙に至った。
ビームライフル
専用設計だが、通常出力のショートバレルモデル。
しかし、強化人間パイロットの正確無比な射撃そのものが、敵対するパイロットにとって最大の驚異となる。
ビームメイス
高度なIフィールド形成・制御機能を搭載した、特殊モデルのビームサーベル。
サーベルモード⇔メイスモードは任意で切り替えが可能で、メイスモードでは基部を二段階に伸長した上で、複数のスパイクを形成した球形メガ粒子を発振させることができる。
加えてこのビームの『スパイク』は、任意に伸縮が可能なため、大型機である本体のリーチと合わせて、トリッキーな格闘戦を展開する。
なお、宇宙世紀0090年代からの標準機能として、アイドリング・リミッターも搭載しているが、当モデルのアイドリングは、基部にトゲの無い球形を形成した特殊な形体をとる。
ビームシールド
両前腕に内蔵されるように搭載されている。
前腕部のスリットから大型のシールドが発振されるが、エースパイロットの常として、シールドの使用頻度は低い。
関連動画
クロスボーン・ガンダムゴーストにおいて
キゾ中将支配下のマリア・シティを包囲、殲滅するためザンスカール本国から派遣された部隊に、2機が投入されている。
ただし、本機は型式番号の通り宇宙用のためミノフスキー・エフェクトによる重力下飛行能力を有していない(上述の通り、スラスター推力によるある程度の連続飛行は可能)にもかかわらず、ビームローター装備機と共に長距離侵攻に加わっていた。
また、当作戦投入機に、サイコミュに対応できる強化人間パイロットが搭乗していたかも不明である。
立体物
B-CLUBのガレージキットとしてラインナップ。
ガシャポンEX 機動戦士ガンダムメカセレクション8にラインナップ。 ビームメイスを展開した状態の固定モデルとなっている ※現在は、入手困難。
ガン消しシリーズにラインナップ。
小話
デザイナーの石垣純哉氏によると、当初は風神をモチーフにした「ゴクアック」という名のMSで、雷神をモチーフにした「ザンコック」(後のザンネックの元となったMS)と同時に登場する予定であった(放映当時に発刊された各種設定資料には、両機が同時に映ったイメージボードも紹介されている)。
しかし「バックエンジンユニットに(太鼓状の)マルチプルビームランチャーを設けた結果、こちらが雷神のようになってしまった」とも語っている。
ちなみに、ゲンガオゾの名前の由来は「原画の仕上がりが遅かった」事が由来であり、ザンネックの由来は「クビにするぞ」から来ているとの噂。アニメ業界の闇は深い……。
なお、ゲンガオゾは小説版には登場していない。
余談
比類なき近接戦の強さと、自機の大推力を担う背部のユニットが分離して攻撃用の武装になるその特徴は、後年のインフィニットジャスティスガンダムにも受け継がれている。
そして、何の因果か両機とも光の翼を広げるガンダムと互角以上に渡り合った実績を持つという面白い共通点も存在する。