「パイロットスーツさえ邪魔なのだ!怪我をするつもりはない!」
カタログスペック
全長 | 22.3m |
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本体重量 | 25.9t |
全備重量 | 46.3t |
ジェネレーター出力 | 5,960kw×2(11,920kw) |
装甲材質 | ハイチタン合金ネオセラミック複合材 |
総推力 | 192,550kg |
概要
ザンスカール帝国のベスパが開発した試作宇宙用モビルアーマー。型式番号ZMT-A30S。
「ビルケナウ」とはドイツ語で「白樺の谷」の意となる。ただし、名前の由来は第二次世界大戦中、ポーランドにドイツが建設した悪名高いユダヤ人絶滅収容所の「アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所」を元ネタにしている可能性もある。
前線で戦況を判断しながら部隊の指揮を執るために開発された、戦闘指揮官用MA。このため高い探知・情報管制能力の充実は言うに及ばず、武装も主兵装のメガ粒子砲やマシンキャノンに加えて、格闘戦用のクローアームを有しており、単機での攻撃力も非常に強力である。これらの仕様により、一機で複数のMSを相手にすることが可能であった。更に、機体各所に設けられたハードポイントにオプションを装着することで、対応任務の拡充を図れる。ジェネレーターの方も出力値から察するにリグ・シャッコーに搭載された新型を2基装備したかなり強力なものを使用している。そのため、ザンスカール帝国の兵器で最も強力とされていた。
MAとしては比較的小型の部類であり、これに大推力を組み合わせる事で、迅速な戦場到達および離脱を行う。更にコックピットブロックは脱出ポッドとして使用でき、指揮官の生存率を高める設計となっている。
その小型さゆえピピニーデンが指揮を執るアドラステア級戦艦・ラステオのモビルスーツ用格納庫で直接整備、発進を行っている。
初登場は42話のエンジェル・ハイロゥ攻防戦序盤において、まだ試作機ではあるが、一応の完成段階に達していたため、ピピニーデンの部隊が受領し、彼自ら乗り込む事になっていた。しかし戦場に赴くことなくルペ・シノの駆る被弾したブルッケングの爆発に巻き込まれて破壊されている。
この時ジェネレーターを2つ装備していたのが仇となり、ブルッケングのものと合わせた3基ものジェネレーターが一斉に爆発、そこからさらにラステオ艦のジェネレーターにも誘爆した事から過去最悪レベルの核爆発を発生させてしまい、結果的にラステオ艦隊(とおそらくその周りに居た別の部隊含めて)全滅へと繋がってしまった。
武装
メガ粒子砲
機体前面に突き出た形で搭載されているメガ粒子砲。
ビルケナウの主砲だが砲塔部は固定されており射角は決して広い物と言えない。
メガマシンキャノン
機体正面上部に備えられた実弾砲。
Iフィールド・バリアによってメガ粒子砲で決定打を与えられない敵機などに対して有効打となりうる。
クローアーム
特徴的な羽状のパーツの四隅に備えられた近接格闘用兵装。
先端部には高出力のビームクローを有し、搭載された可動肢によって広い攻撃範囲を誇る。
ビームカッター
コックピットブロック上部に備えられた触手状の兵装。
先端部からビーム刃を発生させる事が可能となっている他、触手状のパーツも柔軟に操作する事が出来る。
クロスボーンガンダムゴーストにおいて
非映像作品である本作において、上記の試作機を建造する更に前にロールアウトしたテスト機を、ザンスカール帝国特殊部隊・ゴールデンエッグスが受領しており、司令であるキゾ中将自身がジャブロー戦において運用した。
テスト機であるため、スラスター形状などに差違が見られ、何よりもその機体サイズはピピニーデン機のほぼ倍に達しているなど、実質的に全く別の機体であると言ってよい。
キゾ中将が運用するにあたり、大気圏内戦闘用に各種装備が換装されているが、型式番号はそのままZMT-A30Sが用いられている(本来であればZMT-A30Gが割り当てられるべき機体である)。
その他本作では、旧ジオン公国のザクレロを参考に開発された機体であるという、長谷川裕一氏の独自解釈も披露されている。
余談
そのあまりにも早すぎる退場劇は、搭乗者のピピニーデンが発した「椅子を尻で磨くだけの男で終わるものかよ!」と共に多くの視聴者にネタにされていくことになる。
Vガンダムを取り扱った書籍でも「強力な機体だったがその性能を発揮することなく散っていった」と評されている。
最初はクロノクル専用モビルアーマーとしてデザインされていたが、一旦お蔵入りになった後にピピニーデン専用モビルアーマーとして採用された。この変更の途中で、描きやすくするためにデザインを180度ひっくり返して完成している。