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リグ・シャッコー

りぐしゃっこー

リグ・シャッコーとは、TVアニメ『機動戦士Vガンダム』に登場する、ザンスカール帝国の最新鋭量産型モビルスーツである。宇宙世紀シリーズにおいて、最後年代の大量生産モデルであり、その優れた性能は、ハイエンド機と遜色の無いレベルにある。
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「思い出というのは遠くなってしまうものだから宝にもなるというのに、あなたという人はピーチャカと動き回って!」

カタログスペック編集

頭頂高15.9m
本体重量8.2t
全備重量18.5t
ジェネレーター出力5,960kw
装甲材質ハイチタン合金ネオセラミック複合材
スラスター総推力77,700kg

概要編集

型式番号(宙間戦闘タイプ)はZM-S22S

ベスパが『傑作量産機』であるゾロアットの、更に次世代を担う機体として開発・制式採用した最新主力量産型モビルスーツ。優秀なテスト実績を残したコンペティション・トライアル機から、バックパックを中心に大きく設計変更を行っており、その性能は更に向上している(通常は、試作機から余計な機能を削ぎ落として、制式量産機となる)。

これは、ゾロをはじめとした、これまでの同軍量産MSの運用データからのフィードバックを短期間で実施した結果であり、ベスパの開発体制の柔軟性が極めて高い事の証左となっている。このような急遽の仕様変更は、組織として完全に動脈硬化を起こしている地球連邦軍には不可能な芸当であり、帝国側の構成員――『宇宙戦国時代』を生きるスペースノイドの気勢を体現していると言えるだろう。


性能面の優秀さは後述するが、ゾロアットと最も異なるのは、宇宙戦闘“専用”ではなく、型式番号[S]のビームシールド装備型のみならず、ビームローターへの換装と簡易な調整により、地上戦([G]型)にも対応可能な、全領域対応型として開発されている点である。(劇中=主力作戦の最前線では、シールド装備の上でアインラッドに搭乗した機体ばかりが映ったが、地球降下機は基本的にローターに換装されていたとされる。)

これは即ち、帝国側がサイド2及び周辺宙域の制圧のみならず、地球への本格侵攻およびエンジェル・ハイロゥの投入という、“次”のステップを見越していた事を表している。

本編では第26話終盤から登場。


ザンスカール戦争は、宇宙世紀0153年5月初旬に当機の初期ロット(カテジナ・ルース機)が戦場に出てから、わずか50日間で終結してしまったため、総生産数(生産ラインの切り替え)は決して多くはなかったが、それでも女王マリア直属の近衛師団機のベース機としても選ばれるなど、リグ・シャッコーがどれほど優秀な機体であったかを示す事例は、枚挙にいとまがない。


機体解説編集

スマートな外観に違わず、全備重量は18.5tと、原型機から更なる軽量化を達成し、パワー・ウェイト・レシオは4.2倍まで上昇した。かと言って防御が犠牲になったわけでは無く、アビゴルで試験採用された新装甲材・ハイチタン合金ネオセラミック複合材を本格量産・採用する事で、充分なものを確保。ジェネレーターはコンペ対抗機であった重攻撃機コンティオ同様の、約6,000kW級の高出力モデル(!!)を搭載しつつ、固定武装を廃して脚部とバックパックにハードポイントを設ける事で、本体ロールアウト後の新武装開発/追加装備を視野に入れた、長期運用に耐える拡張性を確保している

また、前世代主力機であるゾロアットからも、宙間戦闘におけるけん制に有効なビームストリングスを引き継いでおり、これを用いた戦術に長けるベテランパイロットの機種転換にも配慮された。

当然ながら、帝国領土を巡回警護するための哨戒艇「シノーペ」や、高性能サブフライトシステムアインラッドにも対応しており、新旧あらゆるベスパの装備を最大限活用できる。

(なお、余談になるがコンティオはコクピットレイアウトの問題で、シノーペとの連携運用が不可能となっており、この点もまたコンペティション結果に影響を及ぼした可能性がある。)


以上より『量産型モビルスーツ』でありながら、スペックノート上は前世代のサナリィ製ハイエンドモデル(ジェネレーター:5,280kW、パワー・ウェイト・レシオ:4.0倍)を全面的に上回っており、むしろ『高性能汎用モビルスーツ』……つまり“ガンダム・タイプ”にカテゴライズされるべきとすら言える。


操作性についてもまた、テスト機の優秀さを引き継いでいる点において、注目すべきである。

リグ・シャッコーの可動域の広い四肢の仕様は、学徒兵ではなく士官学校卒の正規兵が充実し始めた(以降)の時勢を鑑みて、格闘戦に重きを置いている(これは宙間戦闘だけでなく、領土コロニー内やエンジェル・ハイロゥ要塞内における、“エンジンを爆発させない”防衛戦を視野に入れていたためでもある)ものの、短期訓練を受けただけの女性パイロットでも戦場に出ている実績は、高く評価してよい。


総論として、前世代の主力機ゾロアットが“非の打ち所(欠点)の無い”設計であったのに対し、本機は“全面的に優秀”と言えるレベルで完成しており、本質的にはリガ・ミリティア側の指揮官機であるVタイプと同等以上の性能を獲得している。


……もしもザンスカール戦争が長期化し、ザンスカール帝国の領土拡大(パイロットの充実)と共に当該機が本格的な大量生産態勢に入っていたとすれば、帝国による地球圏統一も、あるいは夢物語では無かったのかも知れない。





ぶっちゃけ、これにジャベリンで対抗しろというのは、かなりの無理ゲーである。


武装編集

ビームライフル編集

リグ・シャッコー専用に開発されたモデル。フォアグリップを備えている。


ハンドビームガン編集

小型の射撃兵装。二丁拳銃のように、両手に持って使用することもある。

不使用時はバックパックや脚部のハードポイントに懸架される。


ビームライフルに比べ出力を抑えられており、コロニー内などでの、防衛戦における使用を想定してる


ビームサーベル編集

原型機のシャッコー同様に、脚の付け根に一基ずつ収納している。

機能的には、当該年代の標準レベル。


ビームファン編集

ビームを扇状に展開する手持ち武器で、ビームサーベルとビームシールドの両方の特性を持つ攻防一体の武器である。ハードポイントに接続可能。


ビームサーベルよりも攻撃力に劣り、ビームシールドよりも防御力に劣る中途半端な完成度となったとされるが、劇中ではビームガン同様に、コロニー内戦闘において“威力が低いこと”がメリットとなっていた。


ビームストリングス編集

頭部大型センサー(可動式)の先端、及び両足の甲の、計三ヶ所に射出口が内蔵されている。このため射角は広がったが、ゾロアットのように射出口が集合していないため、「網」を張ることは出来なくなった。


宙間戦闘において、有効な利用法もあったはずだが、劇中ではそれを成せたパイロットは居なかった。


ビームシールド編集

左肘に内蔵されたコネクターに接続する方式で装備する、防御兵装。前述の通り、当該コネクターには、選択式でビームローターも装備可能である。


アインラッド編集

最前線部隊、特にモトラッド艦隊所属機が積極的に運用したサブフライトシステム。搭乗するだけで攻防の性能を底上げし、宙間における航続距離を延長することができる、優秀な兵器である。

しかしながら、シノーペとの同時運用は不可能であり、機動が直線的になるため本機のウリである運動性が活かしきれなくなってしまう。また重力下においては、ビームローター採用機が有していた対地爆撃能力を、事実上捨てる事になる。


何よりも、MSの本質である歩兵としての価値を下げてしまう。これは、アインラッドが「地球クリーン作戦」という“侵攻作戦”のために開発された兵器であることによる宿命ではあるが、コロニー及び要塞内といった狭所防衛戦との相性は最悪であり、指揮官が戦術目的に沿って配備しなければ、むしろマイナスとなる場面も多々生まれてしまう。


劇中では、モトラッド艦隊後詰め機はビームローターを装備し、エンジェルハイロゥ内警備機は(当然ながら)アインラッドを運用していなかった。


バリエーション編集

近衛師団用編集

「いや、貴方の言動を見ておりますと『姫様である』と思います」

「そのモビルスーツは、私の愛した人のものだ!それを汚させはしない!」

ZM-S22SC リグ・シャッコー(近衛師団仕様)

型式番号ZM-S22SC

インペリアルガード・カスタム。専用チューンアップによって通常機より更に機動性、運動性が向上し、額のセンサーも大型化(高性能化)されている。

しかし最大の特徴は、追加武装として宇宙世紀0090年代以降は運用が稀となった実体兵器・メタルウィップを右肩に、大型実体シールドを左肩に装備している事にある。ウィップは非常に使い勝手の“クセ”が強く、実体シールドは国民に対する戦意高揚を狙ったデザイン優先となっているため、十全に使いこなしてやっとビームサーベル・シールドと同等の戦力となる類いの装備であるが、ビーム兵器と異なり発光(による、敵機からの捕捉)や、メガ粒子の飛散による周囲への被害拡大を生じない。よって、近衛師団機は女王マリアやカガチ宰相を始めとした要人、あるいは木星も含めた人類圏全域から集められたサイキッカーの護衛任務に最適な仕様であると言える。


また当然ながら、純粋な「戦力」として見ても極めて高いレベルにある。

近衛師団はマリア教の教義を至上とし、必要ならば特攻すら辞さない敬虔なマリア教信者のみで構成されているため、忠誠心を芯とした団員の高度な操縦技術練度・連携は、リグ・シャッコーの高いポテンシャルを120%引き出す。

追加装備編集

  • メタルウィップ

右肩に増設されたマウントに巻き付けられ携帯している。このマウント自体は平面形状だが、磁力によって自動的にウィップを円錐状に収納するシステムとなっている。

ウィップは電撃によるショックバイト武装として機能するだけでなく、新体操のリボンのように回転させると中心部にI効果を発生し、メガ粒子を拡散させずに中和する防御兵装にもなる。

すなわち、コロニー付近及びエンジェル・ハイロゥ内外という、ビーム兵器の仕様が極端に制限される状況下での任務に最適な装備と言える。

  • 実体シールド

左肩に直接マウントされている、リグ・シャッコーのほぼ全身を覆うほどの大型シールド。

中央付近の上下スリットからビームシールドを発生させることも可能だが、上述の通り発光による敵機からの視認確率を下げるため、基本的に表面に加工された耐ビームコーティングで対応する。(そもそも、練度の高いパイロットはシールドの使用頻度自体が低い。)

下端部には、これもコロニー内などでの戦闘を考慮した、低出力ビームガン二基が内蔵されている。


なお、不要となった左肘のシールド用コネクターは、オミットされている。


ビームローター装備型編集

型式番号ZM-S22G

ビームローターを装備した重力下仕様機。前述の通り、地球降下した部隊(イエロージャケット)の機体は基本的にこちらの仕様となった。推進剤を消費する事無く巡行速度での飛行が可能な、極めて優れた陸戦機。

中でも「グラスホッパー隊」の機体は、グリーンを基調としたカラーリングで塗装され、空爆攻撃後に残った都市部の“何も残っていない”惨状もまた、大陸バッタの移動後を連想させたと言われる。


リグ・シャッコー凶(マガツ)編集

ガンダムビルドダイバーズ」に登場。

フォース百鬼に所属するダイバー、オボロが操縦するリグ・シャッコーをベースとしたガンプラ

全身が漆黒に染め上げられている他、二振りのビームナイフを主武装とする。


小話編集

このため、本土(サイド2コロニー)防衛隊のみならず、最大規模の主力艦隊である「ズガン艦隊」や、同じく主力の一翼を担う「タシロ艦隊」には、本機が多く配備されていた。


  • 光の翼が装備されるプランもあったが、時同じくカトキハジメ氏も考えていた。「リグ・シャッコーとV2、どちらのMSに採用させようか?」という話し合いの末「V2に装備させよう」という答えが出たという。

立体物編集

1/144シリーズにラインナップ。劇中で使用した装備が同梱している。

但し、残念ながらその造形に関するユーザーの評価は概ね低いと言わざるを得ない代物となっている。

当時のVガンダムの1/144シリーズにVフレームという内蔵ポリパーツを使用した、全体的なシルエットバランスの不自然さもさることながら、頭部の造形が左右2パーツによる簡素なものである為顔が全く別物になっているという評価が多い(当然ビームストリングスの展開も再現不可能)。

ただでさえガンダムフェイスなシャッコーを左右のはめ込みで再現するという無茶な仕様は、サイドは兎も角フロントからの見栄えが最悪で、低価格キットに対する設計側のこだわりの低さを露呈しているとさえ思えてしまう出来であった。

これがどれだけ別物かというと、比較対象としては石垣純哉氏の手掛けたDVDジャケット5巻に描かれているリグシャッコーが良い例である。頭部自体のパーツが少ない為に劇中通りの見た目に拘るにはフルスクラッチするしか手がない代物となっている。

機動戦士Vガンダム』の番組放送中にBクラブより発売されたガレージキットの近衛師団用改造パーツには、原型師が新規造型した「劇中イメージに近い頭部」が丸ごとセットされており、当時のホビージャパンの作例記事では原型と作例を担当したモデラーの松村年信氏から「キットの頭部は使っていません。ポリパテの削り出しで造りました。キットの出来はお世辞にも良いとは言えないので改造パーツにセットされています。センサー部をパテ等で埋めればノーマル機の頭部としても使えます。」と断言されてしまっている。


このように1/144が評価の低い出来である一方「MSinポケット」シリーズにはラインナップされなかった。コンティオも1/144の評価は低いが「MSinポケット」では胴体や肩の造形が劇中に近くなっており評価が高かった事から、このシリーズで出なかった事が悔やまれる。


ガシャポン ガン消しシリーズにラインナップ。こちらでは、近衛師団仕様もラインナップされている。



関連動画編集

関連タグ編集

機動戦士Vガンダム ザンスカール帝国

カテジナ・ルース ネネカ隊

アインラッド

前世代主力量産機編集

ゾロアット

プロトタイプ編集

シャッコー

コンペティション対抗機編集

コンティオ

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