カタログスペック
全高 | 22.6m |
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本体重量 | 18.4t |
全備重量 | 45.3t |
ジェネレーター出力 | 7,340kW |
装甲材質 | ハイチタン合金ネオセラミック複合材 |
スラスター総推力 | 152,600kg |
概要
ベスパが新素材装甲(ハイチタン合金ネオセラミック複合材)のテストを兼ねて開発した、重モビルスーツ。このためゴッゾーラ(ZMT-S13G)よりも後番機は、基本的にハイチタン合金ネオセラミック複合材が用いられており、後述のシャッコー(装甲にはゾロアット同様、チタン合金ネオセラミック複合材を使用)も、制式量産の際には、同装甲素材にバージョンアップされている。
また、第二期MSが戦場に現れて以降は珍しく、全高が20mを越えた規格外機である。
型式番号ZM-D11Sが示すように、開発タイミングはシャッコー(ZMT-S12G)より前だが、モビルスーツ(ZM-S)とモビルアーマー(ZM-A)の機能を統合した『デュアルタイプ』(ZM-D)という特殊なモデルであったためか調整が難航しており、シャッコーのヨーロッパ地区での重力下テスト(宇宙世紀0153年4月5日)から半月が経過した4月17日においても「ろくな性能も出なかった」状態であり、テストパイロットを請け負っていたゴッドワルド・ハイン中尉と共に、宇宙漂流物となりかける体たらくであった。
結局、調整が完了したのはビッグキャノン艦隊がリガ・ミリティアのリーンホース隊に敗走した後の4月29日頃であり、直後に当該艦隊戦の残骸が漂う暗礁宙域において、抵抗勢力の宙間戦闘強化装備型Vタイプと交戦。パイロット共に失われている。
また、クロスボーンガンダムゴーストでは、ジャブロー戦においてキゾ中将のビルケナウの僚機としてゴールデンエッグス所属の黄金色の機体が水中から複数登場し、ビームキャノンによる攻撃を行なっていた。
原型機の時点で水中航行が可能なのか、水陸両用仕様(ZM-D11M)なのかは不明だが、原型機との外見上の差異は(機体カラー以外)無い。
デュアルタイプ
ベスパがアビゴル以前に開発したモビルスーツには、ゾロやトムリアットなど、『変形』するモビルスーツが存在する。
しかしこれらの機体の変形形態(ヘリコプター型)はあくまでも、ビームローターによって発するミノフスキー・エフェクトに翼の揚力等を加算し、推進剤消費量を最小限におさえる(ゼロ化する)事のみを目的としており、攻撃力、機動力その他戦闘に必要な性能のほぼすべてを“犠牲”としたものであった。
対してアビゴルは、モビルスーツ形態での近接戦闘能力と運動性については言うまでもなく、変形によって全身に配されたスラスター・ベクトルを一方向に集束する事で、爆発的な加速力を生み、戦場への即時到達あるいは僚機のサブフライトシステムとして機能させる第三世代モビルスーツと同じ思想で開発されている(ゴッドワルド中尉は、部下のゾロアット二機を抱えて哨戒空域から急速離脱するという利用法を見せている)。
当然ながら、宇宙世紀0153年の技術で開発されたアビゴルのカタログスペックは、宇宙世紀0080年代後半に開発された第三世代機とは比較にならない程に高く、最終的にVタイプに敗れたとはいえ、その総合機能性はハイエンド機として申し分のないものであった。
だが結局は、『デュアルタイプ』の開発は事実上本機で途絶えている。
これはアビゴルの性能が低かったというよりは、『宇宙戦国時代』の時代背景において、中距離以遠の戦術では哨戒艇「シノーペ」の、中距離以近の戦術ではSFS「アインラッド」の性能とコストパフォーマンスが高すぎた事の方が、大きなファクターとなったと推察される。
武装
モビルスーツ形態
ビームサイス
両肩に一基ずつ収納された、鎌型状の近接武装。ゴッドワルドは二基の柄尻を連結して、ポールアーム(両刃の大鎌)型の大型武装として使用している。
手首部から高速回転させることで高威力を発揮させる他、そのまま前面に掲げてビームシールドの代替としても使用できる。
ビームカタール
小型(といっても、15mの規格サイズMSからすれば充分なサイズ)のジャマダハル型ビーム武装。
威力は高くとも大振りなビームサイスと使い分け、近接戦闘の幅を広げる。
モビルアーマー形態
ビームキャノン
頭頂部に内蔵された、高出力メガ粒子砲。戦艦の残骸を薙ぎ払う威力を有する。
宇宙世紀0150年代の機体に相応しく、Iフィールド形成の自由度も高く、ビームシールドを発生させることもできる。
ビームカッター
機体両脇(MS形態における両腕部側面)および背部からせり上がったロングスタビライザーから発振される、メガ粒子のカッター。
高速の突撃によって敵機を斬断する他、曲刃状のビームを射出する変則的な射撃兵器にもなる。
ビームネット発生機
小型球形の干渉波発生装置。相互に共振することで、ばら撒かれた広い宙域に機動兵器の稼働を阻害する、特殊なフィールドを張る。
アビゴルは大型機故の余剰スペースに六十基を格納しており、退却時の目くらましや、戦闘において敵機の機動方向を制限するために用いる。
関連動画
ガンプラ
1/144シリーズにてラインナップ。規格外のサイズからVフレームは流用されずポリキャップによる簡易型の関節となったため、一部差し替えで劇中同様の変形ギミックが再現されている。
関連項目
水中戦用デュアルタイプ
ガルグイユ・・・アビゴルの基本設計を利用して少数試作された、水陸両用試作機
宇宙世紀外バリエーション機
アビゴルバイン・・・「ガンダムビルドファイターズ」に登場するアビゴルの改造機