マタンゴ
またんご
概要
- 英国の作家W・H・ホジスン の短編『夜の声』を原作に製作された日本のホラー映画(東宝特撮)。若しくは劇中に登場する「放射能汚染されたキノコを食べてしまったキノコ人間」の事(メイン画像もこれ)。本記事で解説。
- 上記のキノコ人間を髣髴とさせるような、キノコのクリーチャーのイラストに付随するタグ。
- ドラゴンクエストシリーズに登場するキノコの怪物。おばけキノコの上位モンスター。こちらも名前の元ネタは恐らく1だと思われる。該当項目も参照の事。
- ライブアライブの近未来編に登場する薬物(今で言う脱法ハーブの類か)。大量摂取すれば超能力的なパワーも出せるらしいが…。
- 筋肉少女帯の曲。1.の映画が元になった歌詞で、タマミという少女が出てくる。
概要
1963年に東宝が製作した怪奇ホラー映画。前年から製作されていた特撮サスペンス「変身人間シリーズ」の番外編のような扱いをされている。
物語の作りはホラー作品ではあるが、ヨットで遭難した果てに謎の無人島にたどり着いた人々が極限状態の中で飢えと情欲に苛まれ、次第に理性を崩壊させてゆく様を生々しく描き出した点も特筆点である。
また、ヒロインを演じた水野久美の妖艶な美しさも語り草となってカルト的な人気を獲得、今日でも語り継がれる作品となった(水野はこれ以降ゴジラシリーズをはじめとする東宝特撮に数多く出演し、東宝の看板女優として活躍していくことになる)。
ちなみに同時上映は加山雄三主演の青春コメディ映画『若大将』シリーズ第四弾『ハワイの若大将』だった。
ストーリー
大学教授・推理作家・歌手……各々社会である程度成功を収めた男女7人を乗せたヨットが嵐に遭って遭難した。無線機は壊れマストはへし折れ、ただ潮の流れに乗って海原を進んでゆくヨットの中で、飢えと渇きと絶望感から次第に人々の心は荒んでいった。
ある日、霧に覆われた謎の島を発見した彼らは喜んで上陸するが、島に人の気配はない。
やがて彼ら以前に漂着したであろう難破船を発見した彼らだったが、不思議なことに人々の姿はなく死体すら見つからない有様だった。
結局また飢えることとなった彼らだが、そこへ人のような姿をしたキノコの怪物が現れ…。
第三の生物マタンゴ
島に群生する変異キノコを食べた人間の成れの果て。
この島の近くで核実験が行われたために島に降り注いだ放射性物質によりそこに生息していたキノコが突然変異を起こしたものと推測され、キノコ自体は美味らしいが、麻薬のような中毒性と幻覚性があり一度これを口にしてしまうとそれを食べる事を止められなくなってしまう。
やがてこのキノコを食べ続けた人間は全身に菌糸が回って身体のあちこちからコブのようなものが出来、次第に顔の輪郭も崩れて元の顔も判らない怪人へと変貌し、最終的には手足の生えた完全なキノコそのものという怪物と化した姿がこのマタンゴである。
島の密林に潜み、島からの脱出を図る者達に一斉に襲いかかるが、それが彼らのどういう性質に基づいての行動なのかは不明のままである(わずかに残された人間の理性に従い上陸者に助けを求めようとした、キノコを食べさせて上記の性質に基づき仲間を増やそうとした等諸説ある)。
余談
- 名前の由来はツチグリというキノコの別名「ママダンゴ」から。ちなみにこのツチグリは(特定の時期のみ)食用になるとされる。
- 役者達が劇中で口にしていたキノコは蒸し菓子で、米粉を練った和菓子素材で作られていたとのことであり、さらにキノコらしく見せる為に食紅などで色がつけられていた。
- 因みにこのキノコ風和菓子はそのままでは味気なかったとの事であった。そこで俳優の土屋嘉男氏が「砂糖を加えてみたら?」という提案をしたところ、「食べやすくなった」と役者は無論、スタッフ一同にまで高評を得る事となる。ところが食べやすくなった結果としてスタッフや役者が撮影以外にこぞってつまみ食いしていたと言う。
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- 2008年に角川ホラー文庫で東宝に許諾を得た『マタンゴ 最後の逆襲』という続編が吉村達也によって書かれ発売されている。
- 強烈な内容のため、冒頭で書かれたように多くの漫画やアニメでパロディにされている。