ガンダムMk-Ⅴ
がんだむまーくふぁいぶ
カタログスペック
頭頂高 | 22.80m |
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本体重量 | 38.0t |
全備重量 | 85.31t |
ジェネレーター出力 | 5,320kw |
装甲材質 | ガンリウムコンポジット |
スラスター総推力 | 111,200kg |
概要
連邦軍の北米オーガスタ研究所で開発された試作型MS。型式番号ORX-013。別名「G-Ⅴ(ジー・ファイブ)」。
破格の火力を有しつつも、40mという大型かつふあんていな強化人間による制御を必要とするサイコガンダムを小型・量産化するため、ティターンズがオーガスタ研に開発を要請した試作機であり、新機軸のオールレンジ攻撃デバイス『インコム』を実戦レベルで運用可能とした初のモビルスーツである。
宇宙世0080年後半以降は主流となっていた20m級かつ比較的スマートなシルエットながらも、5,000kWを越える高出力ジェネレーター(ZZガンダムおよびSガンダムは、コア・ブロック・システムを利用して、3パーツそれぞれにジェネレーターを積むことで7,000kWレベルを達成している)とインコム・システムを搭載しているが、それ以外の面では特筆する程の性能を有しておらず、パワー・ウェイト・レシオも1.3倍である。このため、開発目的(サイコガンダムの小型化)の面から言えば、『ドーベン・ウルフのプロトタイプ』という位置づけが強い。
グリプス戦役当時、オーガスタ研究所は他の研究所と同様に当時最先端の分野であったニュータイプ関連の研究に取り組んでいた。
そんな中、一般兵の乗る機体でもニュータイプや強化人間のようなオールレンジ攻撃に近い戦法を可能にする準サイコミュ武装としてインコムが開発される(開発に際し、オーガスタ研究所はティターンズの主導により、サイコガンダムを開発したムラサメ研究所から技術の供与を受けたとされる)。このインコム・システムはオーガスタ研究所開発のガンダムMk-Ⅳに試験的に搭載されたが、その後継機である本機には主力兵装として背面に2基装備された。
Mk-Ⅴは『ガンダム』の名を冠してはいるが、機体の構造やフォルムは独特で、過去のガンダムタイプのMSと通ずる部分は非常に少ない。これは『ガンダム』の名を新システム(本機の場合はインコム・システム)の喧伝に使うという、当時の連邦軍内における常套手段である。
上述の通り、ティターンズの要求により開発が進行したが、ロールアウトを前にエゥーゴが地球連邦軍を掌握したため、反ティターンズ体制の中で開発が続行された。全3機が試作され、その内の1機が『ペズンの反乱』において、連邦軍教導団青年将校による反地球連邦組織ニューディサイズにより実戦投入される。本来はガル・グレーとマルーンで塗装されていたが、ニューディサイズの手に渡ってからは“ニューディサイズ・ブルー”とも言うべき濃青色にリペイントされている(余談ながらこの青、いわゆるティターンズ・ブルーとも色調の違う独特の青である)。
バックパックに装備されているビームサーベルはムーバブルフレームに直結しており、可動軸を介してのビームカノンとしての使用も可能である。また、専用シールドには大型スラスターが内臓されており、増速用ブースターとしても使用される(カタログ値のスラスター総推力は、このシールドブースターの推力を加算していない)。
尚、マニピュレーター用武装としては専用の大型ビームライフルが開発されていたものの、ニューディサイズの手には渡らず、他のライフルによって代用された。
パイロットはニューディサイズ首魁であるブレイブ・コッド大尉がつとめ、同組織のフラッグシップ機として運用された。
これとは別の1機はアクシズに忠誠を誓ったムラサメ研究所のローレン・ナカモト博士の手引きによって、インコムの技術やノウハウと共にネオ・ジオン軍へともたらされ、ドーベン・ウルフとして元来の開発目標を達成している。
劇中での活躍
ニューディサイズ討伐隊増援としてブライアン・エイノー提督の指揮する地球連邦軍艦隊が秘匿名称”G”として受領したが、地球至上主義者(アースノイド主義者)であるエイノー提督が艦隊ごとニューディサイズ側に寝返ってしまったため、皮肉にも本機は討伐される側の反乱軍・ニューディサイズに手土産として供与されてしまう。
同組織首魁であるコッド大尉の「戦争は兵器ではなく技量」という思想を体現するかのように、本拠地ペズンを失ったニューディサイズの受け入れを表明した月面都市・エアーズ攻防戦で獅子奮迅の活躍を果たし、「反地球連邦組織」という汚名を被り追い詰められつつあった青年将兵たちを奮い立たせた。
初陣である月軌道上での戦闘では、討伐部隊の奇襲作戦を逆に待ち伏せるという戦術的優位を利用しつつも、ネロ3個小隊=9機(サラミス改級巡洋艦1隻分の戦力)をインコムにより一瞬で撃滅し、同じく『ガンダム』である重砲撃支援機FAZZ隊3機によるアウト・レンジからのメガカノン斉射に対しては、機体の耐久限界を超える最大推力を用いることで強襲をかけ、近接ミサイルの嵐を喰いしばった奥歯が砕けるほどのGがかかる急制動で回避、一気に接近戦に持ち込んで全滅させるという圧倒的な戦果を上げた。
しかし、このFAZZ部隊との交戦を含めた度重なる出撃によって、インコムの制御系が不調に陥いった上、エアーズ市の整備士では充分な修理ができず、更には他の月面都市から黙殺された事などによって、ニューディサイズは月面からの撤退を余儀なくされてしまう。
組織の長であるコッド大尉は、殿(しんがり)を務めるため代替武装として肩部にマイクロミサイルランチャー(散弾射出弾頭)が装備し、連戦に次ぐ連戦に出撃するのであった。
エアーズの攻防
FAZZ隊パイロットという友人を失い、復讐に燃えるリョウ・ルーツ戦時少尉が駆るEx-Sガンダムとその僚機Zプラス隊を相手に、月面での最終決戦を繰り広げた。
初手は、Ex-Sガンダムの超高性能コンピューター管制を用いたビームスマートガンによる長距離狙撃。
Mk-Ⅴは月の重力圏に降下するため、シールドブースターによる減速着陸に入っていたが、コッド大尉は歴戦の兵としての“勘”で、シールドを射線上に投げ捨てる事によってこの“必殺”の狙撃を不発に終わらせる(復讐戦として臨んだルーツ少尉ですら、その技量に思わず感嘆の声をあげてしまうほどであった)。
そのまま降下地点において、オフショー少尉にZプラスの露払いをまかせ、ガンダムMk-ⅤはEx-Sガンダムの一騎打ちに入る。
オーガスタ研製ガンダムvsアナハイム社製ガンダムという戦いながらも、武装・防御機構・機動力のあらゆる面で機体性能としては圧倒的に上回るEx-Sガンダムを、コッド大尉は“パイロットの技量”ただ一点のみで覆し、一方的な戦いを繰り広げる。
急造装備であるはずの散弾ミサイルを最大限に活用してEx-Sのインコムを使用不能にしつつ、逆にMk-Ⅴ最後のインコム攻撃によって確実に敵の武装を削り落としてゆくコッド大尉。
そしてMk-Ⅴはビームサーベルを手に、コクピットで失禁しながら泣き叫ぶ事しか出来なくなったルーツ少尉を抱えたEx-Sへ確実なるトドメを刺さんと、近接攻撃を仕掛ける。
……確実な――99パーセントをなお上回る確率で勝利が決まっていた“はず”であったその時、SガンダムにインストールされていたALICEが己の『胎』に在るリョウ・ルーツを護るため、一時的に完全起動を決断する。
人間を大きく上回るALICEの判断速度によって、Ex-Sガンダムは本来のスペックを発揮し、Mk-Ⅴはコクピットのコッド大尉ごと両断され、月光にひときわ強い輝きとして瞬いたのであった。
余談
デザインはドーベン・ウルフの初期稿をリファインする形で行われており、設定もそれに準じた物とされた。このため『サイコガンダムMk-Ⅱの小型化』というドーベン・ウルフの開発経緯が変遷して、本機に充てられているのである。
また、当初のデザインではより『ガンダム』然としたフェイスデザインだったのだが、主役機であるSガンダムのライバル機に回るということで、より悪役然とした顔に書き直された。尚、当初のフェイスデザインはクイン・マンサに流用されている。
また「急遽後付けされた」という設定の肩部マイクロミサイルランチャーは、本来のデザインにおいても元々存在していなかったため、フォトストーリーに使用された模型でも設定と同じく本当に急遽後付けされた。