概要
事実婚とは、法的な婚姻関係にはないが、実際には結婚していることと差異がない状態の恋人関係をさす。
一般的に結婚とは、法律上で婚姻関係となる二人が、両親・両者の同意の下で婚姻届に署名し、提出することで成立するものである。しかし近年ではこうした形式的な婚姻関係に縛られない関係として、本形式が注目されている(逆にいえば、いくら披露宴に金をかけても、婚姻届を提出しない限り正式な意味での婚姻関係は認められないし、その逆に婚姻届さえ提出すれば披露宴を一切行う必要もないため、いわゆるナシ婚でもよい)。
メリットとしては法的な婚姻関係にないことで、両者別姓でいられること、法的な拘束力が弱いこと、互いの同意があれば比較的に自由にいられることであろう。
また、研究者は姓を変更すると事務手続きなどの面で『旧姓の自分と今の自分が同一人物である』とと認識させるのが困難な例もある。これを避けるために事実婚を選ぶケースがあるとか。
日本においては夫婦別姓論者が自分の主張を敢行するために事実婚をしたり、同性愛者が事実婚をする場合もある。同性愛者の事実婚の場合、法的には養子縁組という形を取ることも多い。
年配者同士だと、育児の問題もないため入籍を急ぐ必要もなく事実婚状態をなんとなく長く続けている者も少なくないが、この場合は心境の変化次第で入籍を選ぶ場合もある。
また、法的な婚姻関係が取れない事情がある者が事実婚を選ぶ場合もある。
例えば当初実の親子と思っていた間柄の同士に血縁関係がないことが発覚した場合も、一度法的に「親子」となった場合は婚姻ができない。
その他三親等内は法的な婚姻関係が取れないため、成人同士の場合なら近親婚は事実婚の形しかない(片方が18歳未満の未成年の場合は合意の有無関係なく監護者性交等罪に引っかかるため事実婚も不可能である)。
無論、デメリットも多く、法的婚姻関係を結ぶことで得られる、既婚者への法的な援助や支援(扶養控除や遺産相続権など)を受けることができないこと。婚姻関係のない男女の間で子供(非嫡出子=いわゆる私生児)が生まれた際に、両者どちらの姓で出生を登録すべきかの問題、などが挙げられる。
日本と比較すると海外では事実婚をするカップルが多い。これは、日本と違い婚姻手続きのために金銭を支払わなければならなかったり、離婚する際の手続きが煩雑だったり、離婚のために必要な審議に日数がかかるなどの事情により、結婚をためらう人が多いことが原因と見られている。また、宗教上一度結婚すると離婚ができない為事実婚の状態が長く続く地域などもある。
イタリアなどローマカトリック教会の影響の強い国では、宗教的な概念から離婚調停のためにも様々な審査が必要で、むしろ結婚するより離婚する方が手間がかかるということさえある。
特にフランスでは政府が人口・経済政策の一環として、(異性・同性のカップルを問わず)事実婚関係を法的婚姻関係とほぼ同等に扱う『PACS』という制度を導入しており、多くのカップルに利用されている。
事実婚を公表している著名人
双方が以前の配偶者と死別して育児もすでに終わったあとであり、互いに自立した関係を望むため入籍を望んでいない。
フィクション上の事実婚夫婦
- 葵家の実母/葵家の父親(あきそら)
実の姉弟であるため入籍できない。
- 緑川美晴/緑川正樹(たとえば母が)
実の母子であるため入籍できない。