事実婚
じじつこん
事実婚とは、法的な婚姻関係にはないが、実際には結婚していることと差異がない状態、事実上夫婦生活を送っているが入籍はしていない恋人関係をさす。
いわゆる「内縁関係」とほぼ同じ意味合いだが、「内縁」には「家庭など、当事者たちの責任ではどうしようもない事情が絡んで入籍できない」というニュアンスが含まれるのに対し、「事実婚」は「夫婦が主体的に入籍しないことを選択している」状態と区別される。ただし、普段の生活で細かく呼び分けるようなことは少ない。
一般的に結婚とは、法律上で婚姻関係となる二人が、両親(ないし、それに相当する保護者や親族)・両者の同意の下で婚姻届に署名し、提出することで成立するものである(法律婚)。しかし近年ではこうした形式的な婚姻関係に縛られない関係として、本形式が注目されている。
勘違いされやすいが、何らかの形で事実婚を証明さえできれば必ずしも同居している必要はない。そうでなくても、住民票の続柄を単なる「同居人」から「夫」または「妻」に変更することは入籍していなくても可能である。
法的な根拠とは無関係であるため、結婚式および披露宴を行うのも自由である(法律婚をしても別居を選んだり式を挙げない夫婦がいるのと同じである)。事実婚の公的な証明にあたり「結婚式を挙げた」(結婚式の領収書や招待状が残っていた)ことが証拠として認められたというケースも存在する。
メリットとしては法的な婚姻関係にないことで、両者別姓でいられること、法的な拘束力が弱いこと、互いの同意があれば比較的に自由にいられることであろう。
例えば、研究者など姓を変更すると、事務手続きなどの面で『旧姓の自分と今の自分が同一人物である』と認識させるのが困難な職業もある。また、同じ職場で働いている場合に周囲が混乱する(特に学校の教員など)、芸名・ペンネーム等屋号の変更がややこしくなるなど、職業上の問題を避けるために事実婚を選ぶケースも見られる。
また、「周囲に結婚したことが知られにくい」というメリットもある。例えば親や元の配偶者から虐待を受けて離れたが書類上絶縁できず、戸籍を動かさないまま=相手に結婚したことを知られないまま関係を結びたいというケースが挙げられる。
日本においては、夫婦別姓論者や現行の婚姻制度に対し不満を持つ人が自分の主張を敢行するために事実婚を選んだり、現状では法的な婚姻関係の証明ができない同性愛者が事実婚という形をとったりすることがある。同性愛者の事実婚の場合、法的には養子縁組という形を取ることが多い。
このほか、一度結婚を経験した者が、姓の変更等の手続きや再び離縁した時の煩雑さを嫌って事実婚に留める場合も多い。特に年配者同士だと、育児の問題もないため入籍を急ぐ必要もなく、事実婚状態をなんとなく長く続けている者も少なくないが、この場合は心境の変化や介護、財産相続等の都合で入籍を選ぶ場合もある。また、「法的な婚姻制度に反発を覚える」などの個人的なこだわりや政治的思想のために入籍しない、という人もいる。
思想上の理由で入籍しない選択をした著名人の場合は特に事実婚の相手を「パートナー」と公言することも多い。
先述の同性愛カップルの例と同じく、法的な婚姻関係が取れない事情がある者が事実婚を選ぶ場合もある。
例えば当初実の親子と思っていた間柄の同士に血縁関係がないことが発覚した場合も、一度法的に「親子」となった場合は婚姻ができない。
その他三親等内は法的な婚姻関係が取れないため、成人同士の場合なら近親婚は事実婚の形しかない(さらに、片方が18歳未満の未成年の場合は合意の有無関係なく監護者性交等罪に引っかかるため、事実婚を証明することも不可能である)。
既に結婚していて、何らかの事情で夫婦の関係が希薄となっている人が、新たに恋人と家庭を築きたいものの、子供の存在や手続上の都合で離婚せずにいる、という場合もある。
中には犯罪や外国人の在留資格(ビザ)取得、同性愛者であることを隠す(※特にヨーロッパでは宗教的なタブーから同性愛者は激しい差別を受けており、カモフラージュで異性と結婚して同性の「愛人」を作る人も多かった)などの目的で偽装結婚し、戸籍上の夫・妻とはほとんど面識がない、夫婦としての実態が一切ないというケースがある。
いわゆる愛人、古くは妾や側室といった、正式な妻(夫)とは別に愛情を注ぎ養う女性(男性)については、現代社会において(一夫多妻制など)重婚制度のない国ではなんら法的な地位を保証されず、事実婚とは区別される。
無論、対外的に関係を証明しにくい故のデメリットも多く、例えば法的婚姻関係を結ぶことで得られる既婚者への法的な援助や支援(扶養控除や遺産相続権など)を受けることができないことが問題点として挙げられる。
また子供が生まれた際に両親が入籍していなければ自動的に「非嫡出子(私生児)」となり、母親を筆頭とする戸籍に入ることになるが、父親となる男性が認知しなければ法的な親子関係が証明できなくなる。このあたりの事情が解決していないと(特に離縁することになった場合や、親が亡くなった場合など)親権、遺産相続等の問題が起こりうる上に、家庭内がごたつくことで子供への精神的な悪影響なども考えられる。
日本と比較すると海外(特にヨーロッパ)では事実婚をするカップルが多い。これは、日本と違い婚姻手続きのために金銭を支払わなければならなかったり、離婚する際の手続きが煩雑だったり、離婚のために必要な審議に日数がかかるなどの事情により、結婚をためらう人が多いことが原因と見られている。また、宗教上一度結婚すると離婚ができない為、事実婚の状態が長く続く地域などもある。
イタリアなどローマカトリック教会の影響の強い国では、宗教的な概念から離婚調停のためにも様々な審査が必要で、むしろ結婚するより離婚する方が手間がかかるということさえある。
フランスでは、政府が人口・経済政策の一環として、(異性・同性のカップルを問わず)事実婚関係を法的婚姻関係とほぼ同等に扱う『PACS』という制度を導入しており、多くのカップルに利用されている。
本人たちが公言している場合に限ります。ゴシップ記事など一方的な憶測や、本人たちが「夫婦」としての関係を否定している場合は追記しないようにお願いします。
- 福島瑞穂(政治家、弁護士)/海渡雄一(弁護士)
- 夫婦別姓論者のため事実婚。娘の海渡双葉(弁護士)は「海渡」姓の方が個人的な好みという理由でそちらを選択している。
- 神原元(左派活動家、弁護士。レイシストをしばき隊メンバーで同団体の顧問)/土井香苗(弁護士、左派活動家。ヒューマン・ライツ・ウォッチ日本代表)
- 理由は未公表だが事実婚。
- 鶴保庸介(政治家)/野田聖子(政治家)
- 結婚式までは行ったが、野田の姓を維持するため入籍しないままでおりその後別離。野田は現在の夫とは入籍して夫が改姓している。
- 後藤久美子/ジャン・アレジ(F1レーサー)
- 交際を始めた当時アレジは前妻との離婚協議中であり、国際婚ということや上記のフランスの制度もあって、入籍しなかったようである。
- 大塚英志(評論家、編集者、漫画原作者)/白倉由美(漫画家、ラジオプロデューサー、作家)
- 双方のメンタルや性格的な理由から入籍していないことが大塚の著書で公表されている。
- 西原理恵子(漫画家)/鴨志田穣(カメラマン)
- 一度は入籍した仲だが鴨志田のアルコール依存症により離婚。その後鴨志田のアルコール依存症の克服と末期ガンの罹患により、入籍しないまま事実婚の形で復縁し彼の死去まで共に過ごした。
- 西原理恵子/高須克弥(美容外科医)
- 双方が以前の配偶者と死別して育児もすでに落ち着いており、互いに自立した関係を望むため入籍を望んでいない。
- しみけん(AV男優)/はあちゅう(ブロガー、フリーライター)
- 現在は離別。
- 才賀紀左衛門(格闘家)/絵莉(ブロガー、インスタグラマー)
- 才賀はあびる優の元夫で、あびるとの間に生まれた子供の親権問題を抱えたまま交際を始めた。その後別居となり、2023年に事実婚解消を発表。
- 加賀まりこ(女優)/演出家
- SHELLY(タレント)/テレビカメラマン
- 前夫との間に生まれた子供たちと、今後生まれてくる子供にSHELLYの苗字をそのまま使わせたいという考えや、婚姻という制度に頼らずに関係を維持したいという考えから。
- 道端ジェシカ(タレント、モデル)/米国人プロデューサー
- 萬田久子(女優)/会社経営者
- 現在は死別。
- 杉森茜(女優)/一ノ瀬文香(タレント)
- 女性同士の同性婚であるため、現在の法律では事実婚しか選択肢がなかった。のちに破局。
- 尾辻かな子(政治家)/木村真紀(社会運動家)
- 上記の杉森・一ノ瀬と同様の事情。こちらも現在は破局。
- 東小雪(元宝塚歌劇団・タレント)/増原裕子(社会運動家)
- 上記の杉森・一ノ瀬と同様の事情。こちらも現在は破局。
- 勝間和代(評論家)/増原裕子(社会運動家)
- 上記の杉森・一ノ瀬と同様の事情。こちらも現在は破局しており、増原が別の女性に気を移したことが原因と双方が公表している。
- 映像ディレクター/水谷さるころ(漫画家)
- 「法律婚が性に合わなかった」という理由で離婚して事実婚になったことを公表。
- パレスチナ人活動家/重信房子(日本赤軍テロリスト)
- 中野淳(NHKアナウンサー)/伊是名夏子(コラムニスト、社民党常任理事)
- 当初は事実婚で、長男の出産に伴い入籍。その後、伊是名の政治的思想により戸籍上離婚し、事実婚の関係に戻った。
- 一般人/石垣のりこ(政治家)
- 一旦離婚して事実婚の形で復縁。
- ACE(ラッパー)/charlu(ラッパー)
- 野田秀樹(劇作家)/大竹しのぶ(女優)
- 現在は別離済みで、野田の方がトークなどで「元内縁の夫」とネタにしている。
- RYKEY(ラッパー)/紅蘭(女優、タレント。草刈正雄の娘)
- 紅蘭の弟(元ズットズレテルズのドガットカット)が若くして亡くなったため、「草刈」の姓を残したかった紅蘭の意向により事実婚。RYKEYが暴力事件を起こしたことなどで離別。
- ELLY(三代目JSOULBROTHERS)/MEGBABY(モデル、インスタグラマー)
- 「対等な関係でありたい」とMEGBABY側が提案し、双方の話し合いにより事実婚を選択。のちに離別。
- 火野正平(男優)/一般女性
- 火野は当初別の女性と結婚し、子供も生まれたがその後離縁している。前妻にあたる女性の要望もあって、籍を抜かないまま現在の妻にあたる女性と事実婚関係に至った。なお、現在の妻との間の子供は「認知」という形になっている。
- コムアイ(元水曜日のカンパネラボーカル)/太田光海(映画監督)
- 双方の主義(夫婦別姓推進主義等)により籍を入れないことにしたと公表。
- 坂上忍(男優)/一般女性
- 双方婚姻関係に強いこだわりがないため。パートナーの女性が坂上の遺産を相続するという遺言書(公正証書)を作成していると公表している。
- 宮沢氷魚(男優)/黒島結菜(女優)
- 理由の詳細は不明だが、子供ができても入籍する意向がないことを公表している。
- モーリー・ロバートソン(タレント)/池田有希子(女優)
- 「法律婚は情熱を失わせる装置に感じる」というロバートソンの主義によるものであることを公表している。
- 一般人男性/真木よう子(女優)
- 真木には一度離婚歴があり、「契約云々は面倒、お互いの自由を尊重したい」という理由をSNSで公表している。
- 内田旭彦/森彩乃(ミュージシャン、バンドQaijffのメンバー同士)
- 夫婦別姓論者のため事実婚を選択したと公表。
- 吉川美冴貴(ドラマー、SHISHAMO)/一般人女性
- 吉川のSNSアカウントで自身がレズビアンであること及び交際女性との「パートナーシップの宣誓」を行ったと公表。
- 山本淳一(歌手、元光GENJI)/遠山景織子(女優)
- 遠山が妊娠したため事実婚状態の同居を始め、近いうちに入籍するとも公言していたものの遠山の出産前に未入籍のまま破局。後に遠山から雑誌インタビューなどで破局の経緯が語られている。
- Colabo役員男性/仁藤夢乃(社会運動家、フェミニスト)
- 仁藤側からは数年来SNSなどで「パートナー」という呼び方で言及されているが、取材したライター等からは双方が姓を変更しておらず、理由は不明だが事実婚であることが報じられている。
- 一般男性/中尾ミエ(歌手、タレント)
- 中尾の側から50年来の事実婚であることが明かされているが理由は不明。
- TVカメラマン/薬師丸ひろ子(歌手、タレント)
- 薬師丸は玉置浩二との離婚歴があるが再婚にあたって入籍しなかった理由は不明。
- 所属事務所社長/五月みどり(歌手、タレント)
- 五月はそれまで3回結婚に失敗しており、「入籍しない方がうまくいくのかも」という考えで入籍しないことにしたと公言。
事実上の近親婚や同性婚の表現としてフィクションではよく使われる。
- 葵家の実母/葵家の父親(あきそら)
- 実の姉弟であるため入籍できない。
- 緑川美晴/緑川正樹(たとえば母が)
- 実の母子であるため入籍できない。
- 鈴村香純/鈴村由貴(罪に濡れたふたり)
- 実の姉弟であるため入籍できない。
- 永瀬瞬/永瀬遥(冬の海)
- 実の双子兄妹であるため入籍できない。
- 深見律/深見詠(シスコン兄とブラコン妹が正直になったら)
- 実の兄妹であるため入籍できない。
- 広瀬桂一/広瀬晃さらば、佳き日)
- 実の兄妹であるため入籍できない。
- 森合和彦/森合真(いとおしき日々)
- 津崎平匡/森山みくり(逃げるは恥だが役に立つ)
- 就職に失敗していたみくりの事情から「住み込みの家政婦と雇い主」という関係を維持するため「契約結婚」となっている。
- 村井國夫の実父/村井樹里亜(GTO)
- 樹利亜が出産当時中学生であったため入籍できず、入籍可能な年齢になる前に破局したため入籍せずじまいであった。
- ヴァン・ホーエンハイム/トリシャ・エルリック(鋼の錬金術師)
- ホーエンハイム自身が常軌を逸した経歴であり、そもそもまともな戸籍を持てなかった可能性が高く、双方の同意で事実婚に留めていたと思われる。
- なおトリシャが流行病で早逝していなかった場合、ホーエンハイムが正式な戸籍を用意して改めて籍を入れた可能性はある。
- アニメ2003年版だと、脚本の都合上でホーエンハイムの設定が変わっており、こちらは籍を入れる気自体がなかったものと思われる。
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