概要
小りんとは、お伽草子『田村草子』や奥浄瑠璃『田村三代記』などで語られる坂上田村麻呂と鈴鹿御前(立烏帽子)の間に生まれた姫と言われる伝承上の女性。
語られる物語によって「小りん」の他に聖林、正林、小林、小輪などの表記揺れが見られる。
『田村三代記』では妖星、大蛇(龍)、鬼、天女、将軍などの血を引き継ぐ。
天命を悟った鈴鹿御前により三明の剣のうち顕明連を託された。その後は93歳と長生きをして、白蛇権現になったとも、奥州に飛んで地蔵菩薩になったともされる。
『遠野物語』で有名な岩手県遠野出身の民話研究家佐々木喜善が蒐集した郷里の伝説では、国津神の後胤という玉山立烏帽子姫の案内で岩手山の大岳丸を討ち取った坂上田村麻呂が立烏帽子姫と夫婦の契りを結び、田村義道と松林姫の一男一女が産まれたという。
義道は奥州安倍氏の祖となり、松林姫はお石、お六、お初の三女を産んだ。
お石は守護神である速佐須良比売(ハヤサスラヒメ)の御霊代を奉じて石上山に、お六は速秋津比売(ハヤアキツヒメ)の御霊代を奉じて六角牛山に、お初は瀬織津姫(セオリツヒメ)を奉じて早池峰山に登ったという。