妖星ゴラス
ようせいごらす
あらすじ
1979年、地球の6000倍の質量をもつ黒色矮星ゴラスをパロマ天文台が発見した。
第一次土星探検に出発した宇宙艇JX-1隼号は協力要請を聞き、観測へ向かうが、ゴラスの引力に捉えられて吸収されてしまう。
しかもゴラスは、このままの進路では地球に衝突することが判明。
ゴラスを爆破するか、地球が逃げるかその二つしか手段はない。
そこで人類は南極大陸に巨大ジェットパイプを建設し、噴射力で地球の軌道を変更する「南極計画」を開始。
ついに地球は動き出すもゴラスは周りの星を吸収し、質量は増大。
運命の日が刻々と迫る……。
余談
他の作品への登場
ゴジラ FINAL WARS
2004年に公開された『ゴジラ FINAL WARS』でも、地球に接近する天体として登場する。
X星人はこの天体が接近していることを地球に警告し、この天体を破壊することを約束して友好的な宇宙人であるフリをしていた。しかし、後にこの妖星ゴラスはX星人が地球人に投影して見せていた単なる立体映像(ホログラム)に過ぎなかったことが判明する。
中盤、南極でガイガンがゴジラによって倒されたことを受け、統制官の命令によりなんと本物の妖星ゴラスが呼び寄せられ、地球へと接近してきた(とはいえ、サイズは原典のものと比べてかなり小さく、隕石程度であるが)。その正体はX星人の切り札であるモンスターX=カイザーギドラであり、地球到達後はゴジラや人類と激しい戦闘を展開した。
プロジェクト・メカゴジラ
2018年放映のGODZILLAのスピンオフ小説『プロジェクト・メカゴジラ』に登場。ここでもやっぱり地球に向かってくる。
2038年に発見。2040年には地球衝突が確実視され、衝突予定は発見から4年後の2042年とされた。
直径30kmで月と同等の質量(1c㎥当たり5t超)、光速の数パーセントの速度(恐竜を絶滅させた隕石ですら光速の7/1000パーセント)、これが諸々の影響を無視して地球にまっしぐらに向かってくるという従来の天文学の常識を遥かに超えた性質から「妖星」と恐れられ、生物の存続以前に地球の全壊すら危惧される事態となった。
作中の人類はエクシフやビルサルドといった異星人との邂逅を経て技術レベルが大幅に向上していたが、それでも対処は不可能とされ、地球脱出のための宇宙基地が建造され始めた(これは後の恒星間移民船の原型となる)。
しかし、これを粉砕してしまったのがゴジラである。
37年以降破壊活動を休止し、ひたすらエネルギーの蓄積を行った(他の怪獣を捕食したとも推測されている)ゴジラは、2042年初頭に北極の真下からゴラスを撃ち抜いた。その際の熱線の余波で北極は大きく融解、北極海中心部は煮え立ち、電磁パルスによって北半球全域の人工衛星が被害を受けたとされる。
そして、ゴジラが地球外への攻撃能力を見せつけてしまったことが人類がその後わざわざ太陽系を脱出して他の恒星系への逃亡を試みた遠因になったのだ、という見解も作中で示されている。
ゴラスの正体は最後まで不明のままだったが、明確な意思を以て地球へと接近していたとしか考えられない状況から、その正体は天体ではなく宇宙怪獣だったのではないかと推測されている。
なお、「ゴジラが妖星ゴラスを熱戦で粉砕する」という展開は、上記の『ファイナルウォーズ』のオマージュと思われる。