「ちょっと探し物をしているんですが、伺ってもよろしいですかな? リンクルストーン・エメラルドについて……」
CV:遊佐浩二
概要
偉大な闇の魔法つかい・ドクロクシーによって蝙蝠から生み出されたコウモリ男。一人称は「わたし」。
キュアミラクルとキュアマジカルが最初に対決した敵幹部であり、ヤモーにプリキュアの存在を報告した敵幹部でもある。
黒を基調としたマントつきのスーツとロングブーツ、首元に橙色のマフラーを着用し、ナシマホウ界では耳を隠して一応人間に近い姿で暗躍することもある。
また元がコウモリなだけに木や洞窟・ビルなどに逆さでぶら下がる習性がある他、マントを駆使して飛行をすることができる。
そのため、空での戦闘は自分の舞台として自信を持っている。
性格
常に笑顔を絶やさず敬語で話し、誰に対しても紳士的な態度で接するが、「リンクルストーン・エメラルド」を入手するためなら手段を選ばず、無関係な相手にも危害を及ぼす冷酷非情な性格でもある。
また2人で力を合わせるプリキュアを見下し、リコの魔法を未熟と見なして馬鹿にするなど、相手の力をみくびる傾向にある。
その反面、プリキュアに敗れてただの蜘蛛となったスパルダを回収して悪態をつきつつも哀れむなど、少なからず仲間意識を有している。
また、敬語を使いながら慇懃無礼な態度で接するヤモーに不満を持ったり、自分達の主であるドクロクシーは「実はヤモーが作った偽りの支配者ではないか」と疑うなど、盲目的に服従しているわけではない。
強化形態
第19話で見せたバッティの強化姿。
自ら最期を見届けたスパルダとガメッツの杖を闇の魔法で体内に取り込んだことで、自分自身を一種のヨクバールの様な存在へと変貌させた。
ただし外見は「蜘蛛と亀が合わさった蝙蝠」という分かりやすいものではなく、六本腕で羽の生えた筋肉質の爬虫類という禍々しい姿であり、ジャバウォック的な見た目になっている。
スパルダのごとく両腕から蜘蛛の糸を放出し、ガメッツ並みのパワーを持ち合わせながら、バッティの得意とする空中戦もこなすという強敵である。
末路
「スパルダ...ガメッツ...この私の力となるのです!」
第19話で遂にドクロクシーに対して前述の疑惑の想いをぶつけるが、ドクロクシーはそんなバッティに自ら声をかけて自身の存在を誇示する。
ドクロクシーがしゃべるだけでも大量の魔力を消費する特殊な体であるがゆえにできる限り動くことも話すことも避けていたことを知ったバッティは、主の存在へ疑念を持っていたことを必死に謝罪した。
そんなバッティをドクロクシーは罰することはせず、自分の魔力の一部を込めた黒色の頭蓋骨をバッティに授ける。自分がドクロクシーに大きな期待をかけられていると感じたバッティは、忠誠心を示すためにプリキュアとの決戦を決意した。
そして、スパルダとガメッツの形見である魔法の杖2本と、自分の魔法の杖を含む計3本に宿りし闇の力を取り込み、さらに先ほどドクロクシーからもらった闇の魔力を注入。
上述の強化形態へと変貌してプリキュアとの決戦を繰り広げた。
「ドクロクシー様のお望みは、 闇の魔法でこの世の全てを覆い尽くすこと。 それを叶えるのが私の使命!」
スパルダ譲りの蜘蛛の巣の魔法でプリキュアを拘束した上でガメッツ譲りのパワーで一方的に痛めつけるという残虐ファイトを見せつけたが、プリキュアをいじめるなと激昂したはーちゃんの不思議な力によって、プリキュアを拘束していた蜘蛛の巣が消え去る。
さらに周囲の樹木が生きているかのように動き出してバッティを攻撃しだしたため、怯んでしまう。
拘束から逃れたプリキュアたちはその隙を逃さず、金魔法「プリキュア・サファイア・スマ―ティッシュ」の直撃をバッティに与えて窮地を脱した。
しかし、さすがにドクロクシーの魔力をもらっていたからだろうか、スパルダやガメッツの時とは違ってバッティ自身は浄化はされず、強化形態が解かれただけで済んだ。
しかしダメージは大きくこれ以上の戦いは無理だと一時撤退。この際、自分の魔法の杖は無事だったものの、スパルダとガメッツの魔法の杖は闇の力が失われて消滅した。
「ドクロクシー様にエメラルドをお持ちするのが私の使命。 それまでは...倒れる訳にはいかないのですッ!」
第20話では闇の魔法つかいのアジトにやってきた魔法学校の校長と対峙。校長の魔法からドクロクシーを庇おうとした際に無理に魔法を使ったことにより杖の先端が破損した。
その後はプリキュアも現れ、ドクロクシーと対決。校長との戦いで戦闘能力を完全に失い加勢することも叶わず悔しい思いをしていたようだ。
しかしこの戦いの最中、リンクルスマホンで休眠していたはーちゃんの変化に呼応して、魔法界のエネルギーがある地点に収束しだす。
これをエメラルドが顕現する気配と察したドクロクシーは、エネルギーが収束している場所へと転送魔法で移動した。
だが高揚して魔力の調整がきかなかったらしく、転送魔法はその場にいた全員ごとかかってしまい、プリキュアや校長、そしてヤモーにバッティも同じ場所に跳ばされた。
転送したその場所は魔法学校を支える大樹の麓。その上空にはすでにエメラルドが顕現していた。
バッティはその場にいた校長やプリキュアよりも先にこれを回収しなくてはいけないと、最後の力を振り絞って高速で飛行し、エメラルドを奪い取ろうとする。
しかしエメラルドに触れようとした時にそこから強大な輝きが放たれ、それに飲み込まれ「エメラルドオオオオオオッ!!!」の言葉と共に消えていった。
身体ごと消滅したと思われていたが、翌週の21話のラストでは素体となったと思われるコウモリが飛び去って行く場面があった。浄化されていたようだ。
ドクロクシーがエメラルドだけでなくリンクルスマホンを求めていたのは、エメラルドに直接触れることができないので、エメラルドと強く結びついているリンクルスマホンを媒介にすることでその無尽蔵の魔力を取り込もうとしていたためである。
このことはヤモーは知っていたが、秘密主義の彼は手下たちにはリンクルスマホンがなぜ必要なのかを一切語っていなかった。そのヤモーはバッティの殉死に悔やむ様子を見せてもいたが、同時にリンクルスマホンがないとエメラルドがどれだけ危険かが実証されたことで「ドクロクシー様のお考えに間違いはなかった」と少し満足そうでもあった。
実際、ドクロクシーはこの直後にリンクルスマホンを媒介にしてエメラルドを取り込むことにあっさりと成功していた。
一件のバッティの殉職は、メタ的な視点で例えるならば「エメラルドの力を視聴者に印象づける」という大きな役割を果たすこととなった。
一時はドクロクシーの存在を疑うキャラクターとして異色を放ち、視聴者が抱く疑惑を次々と代弁する役割を担うかと思えば、ドクロクシーの実在が確信してからは一転して忠誠心溢れるキャラクターに変貌し、結果として闇の魔法つかいの幹部の中でも主君・ドクロクシーへの忠誠心を示す描写が多くなり、物語終盤に至ってはドクロクシーの体調を気遣って必死に彼の援護に回ったり、リンクルストーン・エメラルドを発見した際にはドクロクシーのためにリスクを考えずエメラルドに突進して散る等、コウモリのごとく立ち位置を変えて物語をかき乱すキャラクターとなった。
とはいえ、ドクロクシーに対する忠誠心は本物で、ドクロクシーに対して疑問を抱きながら、自分達を生み出した事を感謝しており、無礼を承知で問いだした。
その後、ドクロクシーの存在が本物である事を知り、主君であるドクロクシーの為に自らの危険を省みず、最後までドクロクシーへの忠義を貫き通して散った忠臣ぶりを見せた。
復活
「蘇ったところであるのは虚しさだけ...ただの1匹のコウモリとして放っておいてほしかった」
第44話にて、素体となったコウモリは普通のコウモリとして森を飛んでいたが、スパルダに捕獲された後、クシィの魔導書を用いたオルーバの手によりガメッツと共に復活を果たす。
しかし、プリキュアへの復讐に燃えるスパルダや、新たなプリキュア・キュアフェリーチェとの戦いを熱望するガメッツとは違い、自身の復活に対し非常に悲観的である。
自分が使命を成し遂げぬまま既に主君のドクロクシーは消えてしまったため、自身の存在意義はもう無いと考えていた。
第45話、目的も戦意も失った彼は、偶然出会った校長やみらい達を目の前にしても、体育座りで落ち込むだけの抜け殻状態だった。
そんな中、オルーバが現れ、みらい達を天空へ作った特設ステージへとテレポートさせる。
彼はその輪に呼ばれなかったものの、オルーバがスパルダとガメッツを従えているのを知ってか、一行の後を追う。
その中で、オルーバの口から主君ドクロクシーや自分達「闇の魔法つかい」が、「終わりなき混沌」を蘇らせるためだけの道具だったという衝撃的な真実を聞かされる。
オルーバが語る真相を聞いてもなお、スパルダとガメッツは己の意地と信念を曲げる事無く、オルーバに挑んでゆくも、オルーバが作り出したドンヨクバールによって返り討ちに遭った2人は再び元の姿に戻ってしまう。
散っていった同士2人のその生き様と、ドクロクシーや自分たちを侮辱したオルーバの発言はバッティの心を大きく揺さぶった。
さらに、それに呼び寄せられたかのごとく、元ヤモーのヤモリとドクロクシーのカカシも姿を現わしたのを見て、遂に闘志を蘇らせる。
「待ってもらおう!」
バッティはスパルダ、ガメッツ、ヤモーらの素体とドクロクシーのカカシを融合させた「モットヨクバール」を召喚。
ガメッツとスパルダを倒したドンヨクバールと激戦を繰り広げ、ついにはドンヨクバールの方が撃破される。
ありえない想定外の結果にオルーバのプライドは強く傷つけられ、ひどく狼狽することになる。
「我らの生き様! 茶番などと言わせておくものかッ!!」
なお、第45話の予告ではカットを組み合わせてプリキュア達と共にエクストリームレインボーを放つように見えるような構成になっていたが、実際はそんなシーンはない。
バッティはプリキュアと共闘することなく、ただ「闇の魔法つかい」としての意地だけでオルーバの召喚したドンヨクバールと戦っている。
プリキュアたちもその気持ちを汲んでか、ヨクバールVSドンヨクバールの戦いが決着がつくまで一切手出ししなかった。
キュアフェリーチェはこの戦いの結果を「何かを成し遂げたいと願う一途な思い」こそが魔法の源泉であるために得られた勝利だと確信する。
世界を守ろうとするラパーパの祈りも、なんでもない日常を過ごしたいというプリキュア達の他愛のない思いも、ドクロクシーとその手下たちの悪しき欲望も、「願い」の意味では本質的には変わらないのである。
自分の力だけで得られないものを欲する思いは、自らの万能性に酔いしれるデウスマストの眷属には欠けているもの。彼らは自分が持ち得ていないものは不要なものと斬って捨てる。
オルーバが闇の魔法に興味を持ったのも、それは自分がルーツだからに過ぎない。
しかし、闇の魔法つかい達は誰もが自分が持ち得ていないものを強く欲し、そのためのあらゆる努力を惜しむことがない。故に、手段を選ばす悪行を重ねれるのである。
闇の魔法つかいの一味とデウスマストの眷属は共に邪悪な存在ではあるが、その矜持は真逆なのだ。
知性派のオルーバは自らプリキュアと格闘戦をするようなことは避けていたが、ことここにいたり自らのムホーが闇の魔法よりも優れていることを実証する必要性にかられ、半狂乱になりながらプリキュアに自ら戦いを挑む。しかし、最終的にプリキュアに浄化されることになった。
「私だけが残ってしまったか。私にもお前たちのような熱い気持ちがまだあったとはな」
「さぁ、還ろうか...」
全ての戦いが終わったあと、ドクロクシーのカカシは満足したかのように消滅してゆく。その姿に深々と一礼したバッティは素体に戻った仲間達を従えて、何処へともなく姿を消していったのであった。
後日談
第50話ではなんとリコの誘いで魔法学校の生徒になっており、かつて敵対していたリコや校長から「バッティ君」と親しげに呼ばれていた。敵側の個人の名前が呼ばれるのは本作では珍しく、まさかのブンビーさん枠となった。
オルーバをも制した魔法の才能を眠らせるのは惜しいと思ったリコが隠遁生活を送っていたバッティを粘り強く説得し入学させたのだという。
第50話ではかつての君主であるドクロクシーに似たドクロムシーの正体を一瞬で見抜き、みらい達に情報を教えてくれた。
素体の動物に戻った仲間達は彼が責任を持って面倒を見ているのだが、スパルダとガメッツは素体に戻ってもなお改心などしておらず、隙あらば校長が保持している「クシィの魔導書」を奪ってそこに記された闇の魔法でかつての姿を取り戻そうとしている。バッティはそんな仲間たちの監視役を兼ねているようだ。
ヤモーの素体だったヤモリについては、ドクロクシーがいなくなった今は人畜無害となりバッティもいつも肩に載せて可愛がっていたようだが、その忘れ形見であるドクロムシーが現れたことで意外な結末を迎えることになる。
余談
・名前の由来は「バット(蝙蝠=Bat)」と「汚い(Dirty)」及びその幼児語「ばっちい」を掛け合わせていると推測される。
・9月25日放送の視聴者プレゼント「プリプリお手玉ぬいぐるみ7個セット」に、プリキュアやモフルンに混ざってちゃっかり闇の魔法つかいの中でバッティが一人だけ加わっていた。どうなってんだ。
プリティストアでも1つ600円(税抜)で販売されている。
中の人について
担当声優の遊佐浩二はプリキュアシリーズでの出演が『Yes!プリキュア5』のゲストキャラクターローゼット伯爵を演じて以来となる。
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