「ボク達には知る必要がある。プリキュア、その力の正体について……」
CV:杉山紀彰
概要
第34話の終盤から登場したプリキュアを狙う終わりなき混沌・デウスマストの眷属の魔人の1人。
常に自分の配下である妖精・チクルンを使い魔として従わせている。チクルンのことは「ボクの友達」と評しているが、実際には彼の弱味に付け込んで無理やり従わせているに過ぎない。
復活の時期は不明だが、本人曰くシャーキンスやベニーギョより先に目覚めていたらしい(ラブーより早かったかどうかは不明)。
復活してすぐには行動を起こさず地上世界(魔法界とナシマホウ界の双方)を観察して回っていたらしく、その時にプリキュアの情報も収集していたようだ(彼も目覚めるまではプリキュアのことは知らなかった)。
自分が知る人間の基準からは大きく外れた強大な力を持つプリキュアに興味を持った彼は、その力の秘密を知りたいと考えており、チクルンをスパイとしてプリキュアチームの内部に潜り込ませ、情報を収集している。
外見
見た目は優男風の美青年といった感じで、あきらかに怪物めいた他の眷属と比べると比較的人間に近い容姿をしている。衣装も青い軍服を着こなし、羽飾りがついた飾緒を付け黒マントを羽織っているといった他の眷属よりも近代的なファッション。
本作には「人間同士が戦っていると子供が誤解しないよう、敵幹部のデザインには人外的特徴を際立たせる」というコンセプトが存在するためオルーバは例外的な敵キャラクターだと言える。
ただし青白い肌や2対の眉毛など、人外的な記号自体は配置されている。角のように見える頭の突起部も設定上は耳であり、つまり耳も2対あることになる。
ちなみに着ている軍服はヘソ出し仕様(露出しているのは前部分だけで腰周りは露出していない)。つまり素肌に軍服を直接着込んでいることになるわけで、なかなかにマニアックな需要に応えている。
眼鏡をかけて本を読んでいることが多く、この二つもオルーバを象徴するファッションアイテムのようなものとなっている。初登場以降眼鏡を外すことはなかったが、第45話で最終形態になる際に外して握り潰している。
眷属きっての知性派幹部ということを連想させるデザインになっており、事実彼は計算高い策略家である。
髪のメッシュ、眼球のデザインはシリーズ全体から見てもプリキュアの敵キャラクターとしてこれまでにないものであり一見すると別のアニメから紛れこんできたようにも見える。
また、アニメージュ増刊号によれば現在の外見は本当の姿ではないらしい。それを裏付けるかのように、41話では黒い筋の様な物が首筋に這うように浮き出るシーンが存在しておりその際オルーバは自身の言葉に酔うかのように虚ろな目になっている。
性格
一人称は「ボク」で、物腰柔らかな言動をとる。
いつも優しい笑顔を絶やさないのでパッと見は爽やかな好青年に見えるが、その本性は冷酷にして残忍。
他の眷属と異なり人間たちの文化に強い興味を持っているため、地上の者たちを見下したりはしてない。むしろ「友達」になってもっといろんなことを知りたいとさえ思っているのだが、彼の言う「友達」とは自分の知的好奇心を満たすために役立ってくれる存在にすぎず、相手の立場を鑑みることなどない。それどころか玩具のように扱っている感があり、わざとチクルンが陰口を言うように気配を消し、毒づいたのを見計らって気配を表すなど、人の反応を面白がっている感もある。
プリキュア達を排除存在というよりも興味深い観察対象として見ており、あくまで使命のためにプリキュアと戦っている他の眷属よりも私的な動機が垣間見える。戦闘のときも効率的に倒すことよりもプリキュア達の反応を楽しむことを重視しているようで、無意味な破壊行動や他人を巻き込んでの攻撃など、プリキュアたちが嫌がるような戦法もあえてとることがある。
魔法を全面否定する他の眷族たちに比べれば柔軟な思考の持ち主でもあるらしく、43話でクシィが残した負の遺産“闇の魔法の魔導書”を読破した際は、「誰だか知らないけれど凄いよ」と素直に称賛し、その努力を認めるような発言を残した(自信の知的好奇心を満足させる対象に限るが…)。
ただ、これは自分が地上の生物よりも優れているという絶対の自信からくる余裕の裏返しであり、要するに「下等生物にしては頑張っている」という見方にすぎない。なので、オルーバが何かを称賛する時は常に上から目線の態度を取る。
かつて自分たちを封印した存在(マザー・ラパーパ)については「このお礼は必ずするよ」といっていることからも分かるように強い怒りを抱いている。
プリキュアたちの秘密を探ろうとしてるのは単なる知的好奇心からだけでなく、プリキュアたちの力がラパーパの力によく似ているために警戒していることもあるようだ。
チクルンとの関係
上記にある通り、本人はチクルンを友達と言い切って彼の弱みに付け込んでいいように利用している。
どんな弱味を握っているかは長らく不明であったが、42話で明かされた。
オルーバが復活した直後、自身が封印されている間に世界がどのように変わったかを知る為に物見遊山で世界各地を回っていたのだが、その時にたまたま訪れた“妖精の里”で花の蜜集めをさぼっていたチクルンと遭遇。
チクルンとの会話から、仕事をさぼっている事を里の女王に知られるとお仕置きを受けると知ったオルーバは、イタズラ心から「じゃあ女王様に知らせてあげよう」とからかったのだが、するとチクルンが何でもするから見逃してくれと卑屈な態度で懇願してきた。
こいつは利用できると感じたオルーバは、ムホーの力を見せ付けた上で、女王様にばらされたくなければ自分と「友達」になってくれるように優しい笑顔で頼む。それくらいならという感じでチクルンは承諾。
最初は軽い気持ちだったようなのだが、オルーバの頼みでいろんな情報を集め教えていく中で、チクルンはすでに世界を混沌に帰そうとする恐るべき魔人の仲間と言うポジションから抜けられなくなってしまった。
オルーバが女王様にチクルンがサボっていたことをバラすと言うことは、二人の共犯関係がバラされることに等しい。これは、混沌の魔人に協力していた裏切り者という烙印が押されてしまうことである。最初はサボりの誤魔化しに過ぎなかったはずなのに、いつのまにか取り返しがつかない状況に陥っていたのである。
42話でチクルンの秘密がプリキュア達にバレてしまうが、それでも「友達」だと言ってくれたモフルンの心根に打たれたチクルンは、歪んだ「友達」関係だったオルーバと決別。プリキュア達に全てを話し謝罪した。
本編での行動
第34話で眷属達のアジトである雲海の空間にチクルンとともに突然現れ、シャーキンスとベニーギョを驚かせた。ムホーの力が魔法に劣ってはならないというプライドでプリキュアと真正面から戦おうとする他の2人に対して、オルーバは戦う相手の情報を知ることが大切と主張。
チクルンをスパイとして地上に派遣し、プリキュア達の力の秘密を探らせる。
35話ではチクルンから「モフルンという名の熊の妖精」がプリキュア達の中心にいつもいると報告を受け、さらに36話でそのモフルンが実は妖精ではなく「命を持ったぬいぐるみ」であったと知らされる。
命なきものに命を与えるのは魔法では不可能なことなので、なぜ「魔法つかい」であるはずのプリキュアにそのようなイレギュラーな存在が絡んでいるのかと強い興味を持ったオルーバは、モフルンと直に接触するべく、チクルンを介してモフルンをプリキュアと分断させる形で誘いださせる。
しかし、モフルンがいなくなったことに直感的に危機感を感じたみらい達が駆けつけたため、ここでプリキュアとの初戦闘となった。
このときに、オルーバはプリキュアと一緒にいたチクルンもろとも攻撃している。配下のことなど気にとめることなどない性格ゆえと言えるだろうが、チクルンをこれからもスパイとして活用するために、自分がチクルンと繋がっていると疑われないための処置だったとも考えられる。
事実、この時にプリキュア達がチクルンの目の前で変身して身を呈してかばったことがきっかけで、チクルンはプリキュアの正体を知る「秘密の共有者」となり、よりスパイ活動がやりやすい環境になった。
40話において何かの下準備の為にあるものを手に入れるべく自ら魔法界へと赴く。続く41話でチクルンから魔法界とナシマホウ界が接近しつつあるという報告を受けつつ、遂にその探し物であるかつてクシィがムホーの力を研究して独自に開発した“闇の魔法”が記された魔導書を見つけ出して回収し本拠地へと帰還した。
眷属達の共通認識では、ドクロクシー一派が使っていた「闇の魔法」はムホーの真似事の劣化品に過ぎない。しかしオルーバは「デウスマスト降臨の準備に必要だ」というようなことをうそぶいていた。
42話でチクルンがオルーバと決別し、プリキュア側についてしまったため、これ以降からは自らプリキュアの秘密を探るべくより積極的に動き出すことになる。
43話では闇の魔法の力を見極めるための実験として、かつてドクロクシーが使い魔として生み出したスパルダを同じ手順で作り出している。
そしてプリキュアへの恨みを晴らしたがっていたスパルダの望みを気まぐれで叶えてあげようと、プリキュアたちが赴いていた妖精の里を急襲。そこで前話(42話)で自分を裏切ってプリキュア側についたチクルンと再会した。オルーバはいつもの笑顔を崩さないままチクルンを侮蔑する言葉を繰り返し、そしてチクルンへの嫌がらせとして、スパルダをけしかけ里を業火で包もうとする。
この暴挙に激怒したフェリーチェの活躍でなんと復活したばかりのスパルダが再び浄化されてしまう。そのパワーを目の当たりにしたオルーバは、フェリーチェの姿にかつての宿敵マザー・ラパーパの面影を見出す。
一方、スパルダは浄化されて知性なきクモの姿に戻されても憎悪の感情を溜め込んでいた。オルーバはそれに感心し、もう一度スパルダを闇の魔法で再生させる。そしてスパルダが他の仲間も復活させてやってほしいと頼んだため、ガメッツとバッティも再生させられる。
だが、オルーバは復活させた闇の魔法つかい達に何かをさせようとする訳でなく、放任している。彼はあくまで闇の魔法がどこまでの力を持っているのかを試すために使い魔の作成をやってみたのであり、彼らに何かを期待している訳ではないようだ。
44話では闇の魔法の書に記されていた「失われた過去を蘇らせる魔法」をプリキュア達にかけ、これでことはの秘密を探ろうとしたが、オルーバの思惑とは異なりこの魔法はかけた相手を子供の姿と心にしてしまう魔法だった。
そのおかげでコミカルなドタバタ劇が起こることになるのだが、最終的には自分のことにみらいとリコまで巻き込んだと激怒したフェリーチェが、ピンクトルマリンの銀魔法でオルーバのムホーを無効化するという予想外の力を発揮したため、オルーバはフェリーチェがマザー・ラパーパの力を継ぐ存在であることを確信する。
45話では雲海のアジトにて今まで知り得た情報をベニーギョに伝えた上で、「フェリーチェがこれ以上力を覚醒させる前に、デウスマストを迎える為の最後の準備を整える」とベニーギョに言い残して地上へ向かおうとする。
ベニーギョがその背中に一体何をするつもりなのかと尋ねると、オルーバは不敵な笑みを浮かべながら言い放った。
「ボク等の同志 残るデウスマストの眷属達を復活させにね...」
本当の目的
デウスマストの接近により目覚めた眷属は力を増しつつある。
そのことから、シャーキンスは自らが封印から復活できたのもデウスマストの接近によりと考えていたが、実はそれは勘違いである。
封印から目覚めた者が強化されつつあるのは確かにデウスマストの接近のおかげだが、ラパーパの封印そのものはとても強固であり、自然には解除されることはないのだ。
4人の眷属が封印から復活できた理由は、実は「闇の魔法」のおかげである。しかもそれにはオルーバが関わっていた。
古代の戦いにおいて、マザー・ラパーパはデウスマストの眷属を封印した。
この時にオルーバも封印されるが、彼はその直前、いつの日か自分たちが復活するための布石としてムホーの力の情報を断片的に世界へと散りばめていた。
オルーバが残した情報を正しく解析することができれば、ムホーの力の一端を使って地上を「闇の世界」に変えることができる方法を知ることができる。そして、地上を「闇の世界」に変えれば、地上の全ての力を一つすることができるのだ。
もちろんオルーバは別に人間たちに親切でムホーの力の秘密を残した訳ではない。もしも後世の人間が地上を闇に染めることができれば、世界にあまねく染み付いたラパーパの封印の力が弱まることになる。それがオルーバの真意である。
デウスマストが降臨するときに全ての眷属が出迎えに揃っていなかったら失礼なこと。偉大なる主人が到着するよりも前に全ての眷属を目覚めさせることが、オルーバの言う「デウスマストをお迎えするための準備」だったのである。
闇の世界を作り出す秘技なんてものは普通に考えれば危険なものであり、正常な判断を持つ人間ならば使おうとしないだろう。
だから、オルーバはこの情報を暗号パズルのような複雑なものにして世界の各地に隠すことで、簡単には解き明かせないようにした。艱難辛苦を超えてパズルの答えを求めるものは、何ものをも犠牲にしてでも力を求めるある種の狂気の持ち主だろうからだ。
人間とは眷属と違って、自分の力で不可能なことでも願わざるを得ないものたちだ。オルーバはそんな人間の習性を利用して、誘惑の罠をかけていたのである。
そして実際にクシィがオルーバの仕掛けたパズルに魅入られ、人知を超えた力を手にいれるためにそれを解き明かしたのである。
つまりオルーバはムホーの力のデッドコピーである“闇の魔法”を生み出す切っ掛けを作った張本人にして、魔法学校の校長の親友であったクシィをダークサイドに落とさせる遠因となり、今までの戦いの始まりを生み出した全ての元凶なのである。
結果として、ドクロクシーが世界を闇に染めようとした第21話の行動によりオルーバを含めた4人の眷属は復活できたものの、プリキュアによってドクロクシーが倒されたために全ての眷属の復活には失敗してしまった。
しかしオルーバは少なくとも自分を復活させた力が地上人が開発したのだと言うことには興味を持ち、第40話でクシィの魔道書を回収。
それを読み込むことで、クシィが開発した「闇の魔法」はオルーバの想定を超えたレベルで研鑽されたものになっていたことに素直に感嘆する。
これを上手く使いこなせば世界を闇に染めるなどと大仰なことをせずとも残る眷属を復活させることもできるのではないかとオルーバは推測。そして第45話で闇の魔法を利用して眷属復活の儀式を行うことにした。
かつてドクロクシーはリンクルスマホンとこの魔導書を闇の魔法で融合させることで、エメラルドの力を闇の力に変換して取り込むことに成功していた。つまり、この魔導書を使えばプリキュアの力を闇に変換することができるのである。オルーバはこれを応用してプリキュアの力を吸収できれば封印を破れるくらいの「闇の力」を作り出すことができると踏んだのだ。
オルーバが考えた眷属復活儀式の手順は、プリキュアに浄化魔法を打たせ、そのエネルギーのごく一部を魔導書を使って吸収。それを複雑な手順を持って闇の力に変換し、眷属が封印されている各地にピンポイントに送るというもの。これならば世界全てを闇に染めるなんて大げさなことは必要ないので、ドクロクシーのように「エメラルドを直接取り込む」なんて危険なリスクを踏むこともない。
この儀式に必要なものは三つ。エネルギーを取り込むための魔導書と、取り込んだエネルギーを各地の封印にピンポイントに送り込むための魔法陣と、プリキュアに浄化魔法を放たせるための「オトリ役」である。
オルーバは天空に魔法陣を仕込んだ闘技場ステージを作り出し、そこでプリキュア達を誘い込んでスパルダ達と戦わせることにした。あとはその戦いを高みの見物でオルーバが見守りながら、スパルダ達がやられる瞬間に浄化魔法の力の一部をいただくだけ。
そして全ての準備を整えたオルーバは最終形態へと変身する。
最終形態
第45話で見せた、オルーバが全ての力を解放した姿。また彼の真の姿でもある。
他の眷族たちの力を解放した姿が怪物じみているのに対し、オルーバは人間に近い姿をあまり崩していないので一見美形にもみえる。
しかし実際には髪が逆立ち、手脚の爪は鋭く伸び、尻尾のようなものが生え、体の一部には刺青の様な模様が現れていたりと怪物的の要素自体は増長されている。
また、背中の翼は白と黒の異なるデザインであり、堕天使のような要素が含まれている。彼の本質を体現した姿と言えるだろう。
末路
オルーバは闇の魔法つかいの使い魔たちを利用して眷属達を復活させようとしていたが、当然、使い魔達にはそれを内緒にして利用しようとしていた。
しかし、スパルダが戦いの最中に魔導書を奪取し、オルーバに対して叛逆の意を示す。
そこでオルーバは怒りの表情を浮かべながら、上述の最終形態の姿を見せる。
「まったく、こんな事で出し抜いたつもりなのかい? 下等な...生き物の分際で!!」
「君等の存在も目的も、全てボク等の為に生み出されたのさ!」
この時にオルーバはこの戦いが眷属を復活させる儀式であることや「闇の魔法」の真実を暴露する。しかし、スパルダはそれでもなお、自分の為に「闇の世界」をつくると宣言し、ガメッツも自身を侮辱したとしてオルーバに敵意を向け、2人揃ってオルーバに襲い掛かるがなすすべもなく敗れ、元の素体に戻されてしまう。
スパルダやガメッツが既に倒れたためエネルギーの吸収に繋がらなかったとして、仕方なく自らが召喚したドンヨクバールとプリキュアを戦わせることで闇の魔法のエネルギーを蓄えようとする。
「我等の生き様、茶番などと言わせておくものか!!」
そこにバッティが介入。「闇の魔法」の存在意義をオルーバに踏みにじられたことをよしとしない彼は、闇の魔法でモットヨクバールを召喚し、オルーバのドンヨクバールと激突。ついにはそれを打ち破ることに成功する。ここに至ってついにオルーバは慌て出す。
「何故だ、ボクのムホーの力が...出来損ないの魔法なんかに!!!」
だが、フェリーチェだけはなぜバッティのヨクバールの方が勝てたのかはわかっていた。魔法とは一途な思いが生み出す心の力。それは光も闇も変わらない。
人の持つ「心」というものを弱点としか認識していない眷属達が魔法に勝てるわけがない。そう突きつけるフェリーチェに対し激怒するオルーバ。
オルーバにとっては、自分が闇の魔法から生まれた虫けらどもに劣っているなんて認めるわけにはいかない。こうなっては、何をもってしても自分の力でプリキュアを倒して眷属の偉大さを証明しなくてはならない。そしてオルーバはいつもの知的でクールなそぶりをかなぐり捨て、半狂乱になってプリキュアたちに突撃してきた。
「黙れ...黙れ、黙れ、黙れェェェェェェッ!!!!」
しかし、魔法の無限の可能性を今まさに目にしたプリキュアはもう恐れることはない。アレキサンドライトスタイルにフォームチェンジし、『プリキュア・エクストリーム・レインボー』を浴びせかけ、ついにオルーバは敗北することになる。
しかし、攻撃を受けている最中、敗北を悟ったオルーバは最後のあがきを見せる。もはやあと数秒で宇宙の果てへと連れて行かれる身となればリンクルストーンの力を「闇の力」に変換する儀式を遂行する暇はない。なので、自身の残された力全てを魔導書に注入しだした。闇の魔法は眷属の力と起源を同じとするもの。眷属たる自分の命を生贄に捧げるならば変換の儀式は必要ない。このまま魔法陣を通じて自動的に各地の封印へと闇の力が送り込まれるはずだ。
「捧げよう...ボクの残った力の全てを! さぁ、闇よ...広がれ!!!」
「混沌の日はもうすぐだ...精々抗い、呑み込まれるがいい! フフフフ...」
不敵な笑い声を残しつつその身は消滅しながら「虹の彼方」へと放逐されていった…。
その直後、ナシマホウ界の各地で今だ封印状態にある眷族たちが活性化しだし、物語はクライマックスに向かい出す。
ちなみに第47話でラブー・シャーキンスとともに復活しているが、オルーバ自身の意思はなくデウスマストの代弁者になってしまっており、第49話での最終決戦においてプリキュアがデウスマストを浄化すると彼自身も消滅してしまった。
余談
名前の由来は諸説あるが、デウスマストの眷属の名前はパワーストーンから来ている説に従えば「オパール」と推測される。
デウスマストの眷属は世界各地の伝承に登場する人ならざるもの(神や物の怪)を外見のモチーフにしているということだが、オルーバの真の姿は堕天使の要素が多分に含まれているようだ。
ただ、普段の姿についてはあまりに人間に近過ぎる外見なので、堕天使的なモチーフを感じさせる部分はほとんどない。
オルーバは異常なまでに作画の安定性が高いと視聴者から言われることがある。彼自身が特徴的な外観と言う点を考慮しても、プリキュアシリーズは各話の作画監督の癖が出やすいアニメであるため、その点でもオルーバは非常に稀な存在だと言えるだろう。
人外要素を含みつつも妖しく美しいルックス、プリキュアの悪役では珍しい眼鏡をかけた男性キャラであること、シリアス路線で一貫した知的キャラであること、CVが杉山紀彰氏であることから女性人気が非常に高いキャラクターである。
ちなみに杉山氏はプリキュアシリーズは本作が初出演であり、ニチアサキッズタイム枠では獣電戦隊キョウリュウジャー以来の出演となる。
魔法つかいプリキュアに出てくる悪役キャラで最も記事の閲覧数が多いのはこの記事であり、以前から登場している闇の魔法つかいの一味の誰よりも多く、またイケメンの味方キャラである校長よりも多い。
スマイルプリキュアに登場する悪役ウルフルンも彼と同じく女性人気が非常に高く、方向性は違えど似た路線を歩んでいると言える。
但しこの手の悪役キャラが担うはずの時にはえげつない策略を用いてプリキュアの精神や状況を追い詰めて苦戦させる描写はオルーバには皆無。また、終わりなき混沌の最大の弱点である過去の自分達の力に慢心してプリキュア側がそれ以上の戦力を準備して対抗してくるといかもしれないという発想が抜けているという節穴ぶりは彼にもしっかり根付いてしまっている。歴代でも極めて強力な装備や力を持ったマザー・ラパーパの後継者であるまほプリメンバーに対してほぼ無策で挑んで呆気なく浄化されている点、及びプリキュア達が更に力の限界を隠していたため捨て台詞を履きながら仄めかした自分達のトップが歴代ラスボスで最もあっけなく浄化されてしまった点はそれを裏付けていると言える。そのため、歴代の参謀ポジションの敵キャラと比べていささか稚拙な立ち振る舞いの所為で、退場から振り返ると強敵感はさほど感じられなかった。
関連イラスト
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プリキュアシリーズ関連
サウラー:細身の体格、一人称が「ボク」、知的な悪役繋がり。
ダルイゼン:作品のスタンスの為に和解することなく浄化された美系悪役。しかし特に問題視されなかったオルーバと違い、ダルイセンの方は論議を呼ぶことになってしまった。
ファントム、コブラージャ、バリトン、ムカーディア、チャラリート、カッパード、ナルシストルー、バッタモンダー:美形悪役繋がり。