ラブー
らぶー
「どうも、こんちはプリキュアのお嬢ちゃん。悪いけどさ、消えてくんない?」
cv:龍田直樹
終わりなき混沌・デウスマストの眷属である魔人のひとり。第22話から登場する。
ナシマホウ界にある砂漠の遺跡に安置されていたランプの中に封印され永い眠りについていたが、そのランプが壊れたことで外界へと飛び出してきた。
自壊か外的要因かは不明だが、他の眷属を見るに恐らくはデウスマストの復活に応じて自ら目覚めたものと思われる。
「ムホー」と呼ばれる超常の力が生来的に備わっており、宇宙の法則を無視してあらゆるエネルギーを自在に操ることができる。ムホーは魔法のような呪文の詠唱や発動具の杖は一切不要でただ指を鳴らすだけで使える。そして、ムホーの力を使って混沌の怪物「ドンヨクバール」を生み出せる。
これらはラブーだけでなくデウスマストの眷属に共通する力である。
デウスマストの眷属に与えられた使命は、デウスマストが地上に降臨した時にそれに立ち向かう可能性のある者達をあらかじめ排除しておくこと。
ラブーは元々はプリキュアの存在を知らなかったが、その存在を知った後は排除対象と認定。プリキュアの新たな敵となった。
戦闘時は周囲を暗雲で覆う。この雲は物理的な手段でくぐり抜けることができない障壁として機能しており、外部から戦場への干渉ができないようにすると同時に内部のものを逃さないようにするための結界である。
ただし、リンクルストーン・エメラルドの力を持つ花海ことは/キュアフェリーチェのみはこの結界を出入りできる。ことはと手をつなぐことで他の人も一緒に出入り可能。
なお、他の眷属達も亜空間の結界を作り出すことはできるがごく稀であり、一方のラブーはほぼ毎回この結界を作り出していた。
丸々と太った赤い肌の巨漢で、頭には一対の角がある。下半身は「ランプの魔神」のように煙状になっており、体は常に宙に浮いているが、両足はちゃんとある。
かなりの面倒臭がりで、自身から積極的にプリキュアと戦おうとすることは滅多にない。
せっかく万能の力であるムホーが使えるのに、むしろこのムホーを使うこと自体を面倒くさがっている。ラブーにとってムホーは手足を動かすのと同じくらい当たり前に使えるもので体力の消耗もない。だからこそ「近所のコンビニまでいくのが面倒」というような日常的感覚なのだろう。
自分以外がプリキュアを倒してくれて手柄だけ自分のものにできないかと考えていたので、第26話まではヤモーのプリキュアへの復讐心を利用して彼を代わりに戦わせていた。その間は自分からは一切プリキュアと接触しなかった。
まるでポップコーン片手に映画を見るようなノリでヤモーとプリキュアのバトルを気楽に鑑賞しており、ヤモーが負け続けても助力や助言のようなことは面倒臭がってやらなかった(ヤモーもまた干渉を拒んでいた感はあるが)。
後にオルーバの部下としてチクルンが登場したが、ラブーも本来は自分で見つけた部下を操ることで仕事を達成していたのかもしれない。
そのヤモーが浄化されてからは、プリキュア討伐のために仕方なく自ら出撃するようになる。
しかし、基本的にプリキュアよりも圧倒的に強いので、ラブー側は全く緊張感を持てない。
ドンヨクバールが倒されて撤退する時も余裕の表情であり、自分が負けたとは思っていないように見える。これは「本気になればどうせいつでも倒せるから」という慢心ゆえである。
「人間たちが使う魔法がムホーに敵うわけがない」とかなり下に見ており、伝説の魔法つかいであるプリキュア相手でもそれは変わらない。
一方、プリキュア側はラブーとの戦いでは常にギリギリまで追い詰められていたため、闇の魔法つかいとの戦いの時とは比較にならないくらいに緊張感の高い戦闘シーンが多かった。
緊張感の維持のためか、ラブーとの戦いでトパーズスタイルになったことはない。
第22話で初登場。
この時はデウスマストの存在は視聴者向けにも一切語られておらず、完全な謎の第三勢力という扱いだった。
ナシマホウ界で復活したラブーだが、自分が眠っていた砂漠のド真ん中に近代的な都市ができているのを見て(モデルはドバイのようだ)、ラブーはナシマホウ界の変化に感心する様子を見せている。
その後に魔法界へ向かい、魔法学校が建っている大樹が健在かどうかを確認。この時「だが、奴はお留守のようだねぇ」と意味深なセリフを口ずさんでいる。
そして、大樹の麓に打ち捨てられていたヤモーの尻尾のカケラを見つけ、そこに残された闇の力に興味を持つ。
ラブーはムホーの力で尻尾の欠片からヤモーの肉体と記憶を再生させ、ヤモーがどういう行動をするか観察することにした。
蘇ったヤモーがプリキュアへの復讐戦を仕掛けたことで、初めてプリキュアという存在を知る。
第23話でヤモーに声だけで接触して、自分がお前に力を与えて復活させてやったと明かしたが、自身が何者かは一切語らず、その力を好きに使えばいいと上から目線でプリキュアへの復讐を裏からけしかけた。
ヤモーがプリキュアを倒そうとしているのはラブーにとっても都合が良いものであり、とりあえずはヤモーのやりたいようにさせていたわけだ。もちろん、ヤモーがプリキュアを倒した後は自分の手下として支配するつもりだった。
それ以降もラブーはヤモーに定期的に接触しているが、面倒くさがりのラブーは助力も助言も一切せず、負け続けのヤモーを上から目線でからかうばかりであった。ヤモーはそんなラブーをいつも鬱陶しがっており、復活させてくれたことへの感謝心などカケラも持っていなかった。
第26話をもってヤモーが倒されたため、第27話からは自らプリキュアの前に赴き、三人をドンヨクバールで圧倒した。その際は自らの素性を語ると同時に、目的も明かしている。
闇の魔法つかいとは違って自ら戦闘に直接介入することもある。なぜなら、今まで闇の魔法つかいを浄化してきた金魔法や花魔法はラブーには傷一つ与えられないからである(ドンヨクバールの浄化はできる)。
ラブーがムホーで生み出す衝撃波は金魔法でようやく打ち消せるという致命的なパワーを持つ危険なものである。純粋な肉体戦闘もこなし、第30話ではフェリーチェのキックを片腕で受け止めて圧倒的な実力差を見せつけた。
しかし性格上あまりやる気を見せないため、戦闘に介入してもそこまで本気でプリキュア達を倒しにかからない。この油断がプリキュアたちの命脈をつなぐことになった。
本腰を入れてプリキュアたちの始末を行うことを決意したラブーが全ての力を解放した姿。
腹部に6つの奇妙な模様が浮かび、目は瞳の無い赤い目に変わっている。
体付きや角は更に巨大化。大きさはちょうど、プリキュアの全身を手で掴めるくらいである。
巨大化に伴いかなりの筋肉質になっているが、どうもムホーの力で腹の脂肪を全身に回して筋肉に見せかけているだけらしく、気を抜くと肉が腹に逆流していつもの肥満体型に戻ってしまう。もっとも、肥満体型に戻ってもパワーやスピードが変わることはない。外見だけ筋肉質に見せているのは単にラブーの見栄のようだ。
なお、下半身は雲のような乗り物(?)で隠れて見えない鉄壁スカート構造なため、巨大化してもカメラアングルの不自然さはなかった。
戦闘能力も格段に上がっており、魔法による全ての攻撃を無力化する程の超身体能力のほか、頭突きや腕の一振りだけで周囲のものを吹き飛ばすパワーを持つ(それでも本人曰くほんの小手調べ程度の力だったらしい)。
というか、この「吹き飛ばす」力こそがラブーの戦闘能力の本質で、頭突きやパンチも衝撃風を起こすための予備動作であり、殴るためではない。プリキュアに対しても最後まで直接触れることはなかった。
ラブーは雲に乗って空を飛んでいる姿から見ても、風属性の魔人なのかも知れない。
本作のプリキュアたちは物理つかいプリキュアと揶揄されるくらいに近接戦型だが、ラブーに近づこうとすると腕の薙ぎ払いで暴風が起こり弾き飛ばされる。プリキュア側からすれば相性はすこぶる悪い。そして面倒臭がりのラブーらしい戦闘スタイルでもある。
「今日はちょっと、張り切っていくからねぇ~」
第30話でラブーの同胞であるシャーキンスとベニーギョの意識体が復活。プリキュアを排除対象に認定したのに未だ倒せてないことを説教されたため、2人に自分の実力を見せつけるべくいつもよりも積極的に戦闘に介入した。
しかし、ボロボロになりながらも必死にドンヨクバールを浄化したキュアミラクルの迫力にただならぬものを感じて、ラブーはいつものような余裕の表情を見せずに逃げ帰るように撤退してしまった。
しかしラブーはあまりにプリキュアを見下しすぎていたため、自分が感じたただならぬものが恐怖だとはまだ自覚することもなかった…
一方、この時の戦闘を見守っていたシャーキンスとベニーギョの意識体は、ラブーの無様な撤退の様子にさらなる不信をあからさまにする。
このままでは役立たずのレッテルを貼られるかもと流石に焦り始めたラブーは、面倒でも次でプリキュアを倒し切ると決意する。
第31話でみらい達がカタツムリニアでナシマホウ界へ帰る途中にラブーは客車を脱線させる。
客車が取り残されば場所は、魔法界とナシマホウ界の間にある「はざまの世界」。生身の人間では脱出不可能な逃げ場のないこの世界で、ラブーはプリキュアたちを倒すべく上述の最終形態になって襲い掛かる。
「さーて、そろそろ本気出しちゃおうかなー」
プリキュアたちは最大限の力でラブーに立ち向かうが、ラブーの風の力に阻まれて近づくこともできない。銀魔法で状況を打破しようとするが、それも全て打ち破られた。
そしてラブーはその圧倒的優位にやはり慢心し、プリキュアたちに止めを刺そうとせずにいたぶり、からかうばかりでなかなか止めを刺そうとしない。
そうやってじわじわと傷めつけながら遊び続けていたが、ちょっと力加減を間違えてプリキュアたち3人を遠くへ吹き飛ばしてしまい、3人は散り散りになった。
ラブーは一人一人探しに行かなくちゃいけないと面倒くさそうだったが、当のプリキュアたちはその圧倒的な実力差にほぼ絶望に沈みかけていた。
まずはミラクルを見つけたラブーは、もうこれ以上遊んでも面倒だからさっさと止めをさそうと腕を振り被る。
だがこの時、ミラクルは一人になってしまったことで、だからこそまたみんなと一緒に帰らなくてはいけないという決意と覚悟が揺るぎないものともなっていた。それは離れた場所にいるマジカルやフェリーチェも同じ。3人の共通する思いの高まりをレインボーキャリッジが受け止めた時、マジカルとフェリーチェは不思議な力でミラクルの元へと転移する。
そしてキャリッジは古えの伝説にはない新たな力・アレキサンドライトスタイルを生み出した。
「それでぇ? 魔法なんざ、おれのムホーでぇぇぇぇぇぇッ!!!!」
ラブーはそれでもプリキュアたちを舐めてかかり、プリキュアの魔法など打ち消してみせると自信満々だったが、その直後に虹色魔法『プリキュア・エクストリーム・レインボー』の直撃を受ける。ラブーがその力の大きさに初めて驚愕の声をあげたと同時に、光に飲み込まれ消滅した。
闇の魔法つかいと違い、何かを媒体にしていたかどうかは今のところ不明。また、消滅の際に再び封印されたかどうかも不明。ただ同僚曰く「気配が消えた」とのことなのでもしかすると肉体ごと消えた可能性もある。
オルーバとは結局再会することはなかった。それどころかオルーバがラブーより早く復活したのか後に復活したのかも不明である。もしオルーバの方が先なのだとすれば、やや不憫な立ち位置ではある。
最終決戦の迫った第47話で、デウスマストの力が戻ったことによりシャーキンス・オルーバととも復活。しかしあくまで肉体が蘇っただけで、そこにラブー自身の意志はなかった。
しかし、これによって本編中では叶わなかった4体全ての眷属が揃うという場面が叶ったことになる(そこに個々の意志は存在しないが…)。眷属同士に格の違いはないが、デウスマストの意志を代弁するものとして選出されており(作劇上の都合もあるだろうが)、眷属の中では割合上の地位だったのかもしれない。
第49話での最終決戦においてプリキュアがデウスマストを浄化すると彼自身も消滅してしまった。
由来・モチーフなど
デウスマストの眷属は世界各地の伝承に登場する人ならざるもの(神や物の怪)を外見のモチーフにしているということだが、ラブーのモチーフは見た通りに「アラビアンナイトに出てくるランプの精(ジン)」である。ただし原典と違い願い事を三つ叶えるといったことはない。
名前については諸説あるが、デウスマストの眷属の名前はパワーストーンから来ている説に従えば「ラブラドライト」、その他の説だと「タブー(禁忌にちなんで)」「アラブ(外見のモチーフとされるジンが登場する物語の国のモチーフ)」、魚類説に従えば「ラブカ(羅鱶)」と推測される。
劇中での扱い
なお、ラブーはヤモー復活編の暗躍時代を含めると登場回数は8話あるが、プリキュアと戦うために出撃したのはわずか4話のみしかない(第27、28、30、31話)
同じく出撃回数が4回で退場した歴代の敵に、『Yes!プリキュア5GoGo!』に登場した敵勢力「エターナル」のイソーギンとヤドカーンがいる。
22話から26話までの間は、闇の魔法つかいの残党であるヤモーと、デウスマストの眷属であるラブーが同時に作中で登場していたが、プリキュアシリーズで二つの敵勢力が同時に登場するというのはこれまでの試練用のエネミーや劇場版を除けば初のケースとなる(主を裏切る形で第三勢力となったケースならば前例がある)。
プリキュアの敵幹部は敗北を重ねる中で屈辱にまみれ最後は本気になって散っていくというタイプが多いが、ラブーは敗北を重ねても「本気になれば勝てる」と思い込んで最後までプリキュアを見下し続け、自分の身に何か起こったかもはっきり理解できないまま消えていった。
最終形態になってさえ、気持ち的な部分で全力で戦っているように見えるシーンはなく、力量の差が歴然だったとはいえ余裕の態度を崩さなかった。その慢心ぶりは徹底していたと言え、それこそがラブーの最大の敗因といっていいだろう。
但し、後続の混沌の幹部と比べた場合、”レインボーキャリッジには歯が立たなかったが、その前の通常形態は追い詰めた”という点ではまほプリメンバーを苦戦させた方ではあった。敗北のきっかけとなったレインボーキャリッジにしても突然出現した対デウスマスト用の強力な決戦兵器に初見殺し的にやられたという言い訳もできる。
寧ろこれ以降は、レインボーキャリッジの効能を目の当たりにしてすら偉大なデウスマスト様やその僕の自分達が矮小な虫けらに後れを取るなどありえないという節穴とすらいえる慢心ぶりと敵への過小評価ぶりが後々描写されていった。そして後続の幹部たちや本体のデウスマストはアレキサンドライトスタイルに覚醒して以降も順調に成長して入念に準備してゆく今作のプリキュア達に学習能力なしで挑んでは力の差に圧倒され呆気なく浄化されてゆくという、スケールの大きさに反して余りに歯ごたえのない戦いぶりで最後は完全に浄化されて敗北してしまっている。
通常は最弱扱いされやすい四天王の一番手ポジの彼が、終わりなき混沌との戦いの過程で一番苦戦していた、(そしてそれ以降は苦戦らしい苦戦がなくなっていった)というのも皮肉な話である。
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