概要
型式番号ARX-014。地球連邦軍の準サイコミュ試験用モビルスーツ。
第一次ネオ・ジオン戦争後、アクシズに残存していたドーベン・ウルフをアナハイム・エレクトロニクス社が改修した機体で、準サイコミュ搭載機量産の為のテストベッドとして主に運用された。主なパイロットはガエル・チャン。
元々ドーベン・ウルフは、ガンダムMk-Ⅴをベースに火力性能に特化した機体として完成したが、量産機としては異常とも呼べる程に内蔵火器を増やした結果、操縦系統の繁雑化やスラスター出力の低下等、機体バランスに深刻な問題を抱える事となった。
そのため本機の改修に当たって、ジェネレーター直結型の腹部メガ粒子砲の撤廃や、各部装甲材質を更新などが行われた結果、機体重量の軽減に成功。また火力を限定した結果、ジェネレーター出力に余裕が生まれ、これが機体稼働時の安定化と機動力の向上に繋がっている。
この改修によってシルヴァ・バレトは即時実戦に投入しても問題無い程の高性能機として完成しているが、この高性能を叩き出す為に「個人的な執心」を持つ一部スタッフによって予定以上の改修が施されたとの証言もあるという。
頭部は、準サイコミュ兵装テスト用のガンダムヘッドと、強化型の測定センサーを搭載したシステム解析用のジムヘッドの2種類が用意されている。
特にガンダムヘッドは、ドーベン・ウルフが連邦のガンダムMk-Ⅴから繋がる系譜という事もあり、一種の先祖返り、原点回帰とも言える構成を成す。
なお、ガンダムヘッドのフェイス・エクステリアは顎下にチンガードを有したMk-Ⅴとは違い、シルヴァ・バレトのそれは他のガンダムタイプによく見られる「への字」が二つ並んだ物が採用されている。
試験運用は宇宙世紀0092年に行われ、試験時には有線式の試作フィン・ファンネルの装備も行われており、その運用データはνガンダムなど各種サイコミュ搭載機に対してもフィードバックされている。
試験運用を終えた機体は本来であればアナハイム社によって厳重に管理される筈であったが、実際にはアナハイムと密接な関係にあるビスト財団に流れており、財団の重要施設の一つであるコロニービルダー「メガラニカ」の警備や、UC計画の旗機であるユニコーンガンダム開発の為のアグレッサーなどに使用された。
機体名の「シルヴァ・バレト」は西洋において狼男や悪魔などを撃退すると信じられていた「銀の弾丸」から取られており、連邦からネオ・ジオンに亡命したローレン・ナカモトの作品である「狼」の名を冠するドーベン・ウルフの改修機としては皮肉とも意趣返し的な名前であると言える。
ガエル機
アニメ版『機動戦士ガンダムUC』にて登場。パイロットはガエル・チャン。
顔がよりガンダムらしいシルエットに変更されている。
バナージを守るためにメガラニカに侵入したネオ・ジオングと戦い、全身の武装を活用して奮戦するが、敵わずに一方的に蹂躙された。
機体は大破したものの、ガエルはとどめを刺される直前にバナージが呼び出したユニコーンガンダムが駆けつけたことで生存している。
バナージ機
『機動戦士ガンダムNT』にて登場。パイロットはユニコーンガンダムが封印されたバナージ。
バックパック等、細部が異なっている他、ビームマグナムを所持している。
武装
以下は改修時に追加・新設されたもので、それ以外の殆どはドーベン・ウルフと共通する。
頭部60mmバルカン砲
連邦系MS伝統の内臓火器。
ドーベン・ウルフに搭載されていたバルカンは30mm口径な為、威力の増加に繋がっている。
ビームライフル
ジェガンの使用しているものと同型のビーム・ライフル。
取り回しに優れた短銃身を採用している。
シールド
ドーベン・ウルフのビーム・ライフルとジェガンのシールドの上部を転用した装備。
ジェガンのそれと同様、ミサイルの発射が可能。
ビームランチャー
シールドに1門装備されたビーム砲で、シールドの下半分を形成している。
発射時には砲身が伸びて先端のパーツが展開する。
銃身を切り詰めるなど、メガ・ランチャーとしての運用機構こそオミットされたが、取り回しや使い勝手の問題が改善されている。
有線式ビームハンド×2
前腕部を分離する事で、簡易的なオールレンジ攻撃が可能。
携行兵装を持たせ、使用することも出来る。
掌底部にはビーム砲が各1門内蔵され、捕らえた敵機に零距離からビームを発射して破壊することが出来るほか、ワイヤーを通して高圧電流を流す事も出来る。
有線式であるため、コントロールは準サイコミュによって行われる。
分離中は携行武装が使用できないという短所がある。
肩部ビームキャノン
背部バインダーの先端部に1門ずつ、計2門内蔵されている。
ジェネレーターと直結しているため、安定した稼働が期待できる。
バインダーを動かし、前方に向けての発射も可能。
ビームサーベル
搭載位置がサイドアーマー前面に変更されている。柄に小型のスラスターが内臓されており、兵装選択時に自動で噴射しポップアップするという特徴がある。
分離させた腕部に持たせて稼働させることも可能。
インコム
背部に2基搭載されている有線式の準サイコミュビーム兵器。
改良された結果、エネルギーチャージの時間が短縮され、装弾数も増えている。
一定の長さまで到達した場合はインコム本体から「リレー・インコム」と呼ばれる中継器が射出され、距離を延長できるようになっている。
ちなみにこのリレー・インコムには、威嚇射撃を行う為のマイクロ・レーザーが各1門内蔵されている。
ファンネルほどの複雑な攻撃はできないが、簡略化されている分、並みのパイロットでも扱える。
有線式フィン・ファンネル
インコム・12連装ミサイルランチャーとの選択式で背部に装備される試験兵装。
ファンネル部分はガンダムデルタカイのものと同型であり、本兵装も準サイコミュで運用されるため、一般パイロットでも操作が可能。
ビームマグナム
バナージ機が使用。
ハイエンド機以外では、一射だけで腕部の電装系に不具合を起こすほど要求出力が高く、本機ではまともに扱えないのだが、バナージは一発撃つ毎に腕部を使い捨てにして交換して運用していた。
ガンプラ
1/144スケールのものがHGUCドーベン・ウルフの仕様変更で発売。ガンダムヘッドとジムヘッドは選択式。
プレミアムバンダイ限定でフィンファンネル試験機及びガエル・チャン専用機が発売されている。