害獣
がいじゅう
一般的な害獣
テレビで特集されるものではイノシシやサル、クマ等がある。これらは農作物を荒らしたり人間を攻撃する動物である。特にイノシシやクマでは殺人例もあるほどであり、非常に有名だろう。
他にも外国から輸入(または侵入)されたキョンなどもいる。もちろん、あの団長に振り回される男の事ではない。
アライグマも1960年代から確認されている外来種であり、1970年代に放送された「あらいぐまラスカル」放映時に大量に輸入されたが、その手先の器用さ故に脱走されたり凶暴さから手放したりして農作物や生態系に影響を与え、今では立派な特定外来生物である。
沖縄のマングースもハブ対策に人為的に導入されたが、結果生態系を圧迫してしまった例として有名だろう。
近年では神奈川県や静岡県などでペットから野生化した「ハリネズミ」が問題になり、昆虫や貝類の生態系の圧迫が懸念されている。当然だが、飼う側は責任を持って最後まで面倒を見るべきである。実際、ペットから野生化して局地で問題になっている例を挙げようとするとここでは書ききれない。
また、かわいくてもシカやリス、野ウサギ等も場所によっては害獣である。被害が大きすぎると狩猟することもあり、特にシカは昔の人間がオオカミを絶滅させたせいで大発生し、農作物や山の森林を食害するためにしばしば狩りの対象となる。また、ヤマビルという吸血ヒルを運搬してくるのでシカの生息域の山林にはヒルにも注意する必要が生まれてしまう。
各所で愛玩動物として愛されるネコも、外を歩いて器物破損・糞尿被害を生じさせるならば害獣となりえる。また、外来種として環境に被害を及ぼす場合もある。野良猫に餌をやる行為は餌をやった側に責任が発生し、トラブルの元となるのでするべきではない。
ラッコも見た目の可愛さに反して大食いであり、漁師が育てた貝やウニ等を食い荒らすために害獣と言える(被害額は億単位に上る)。しかもこちらは密漁等により絶滅が危惧されているため、駆除することができないという漁師にとっては泣きたくなるような現状である。かわいいは必ずしも正義ではないのだ。
衛生的に不潔であったり病原菌や寄生虫を媒介するとしてネズミも有名だろう。また狂犬病の野良犬やエキノコックスの感染の危険がある野生のキツネ等も害獣にあたる。ノミやダニの危険もある野良猫もそうだが、まず第一に野生の動物にみだりに触りにいってはいけない。
特殊な「害獣」
特殊な「害獣」として、行き過ぎた動物愛護を振りかざし、害獣駆除の妨害行為を行う特定筋の人間もある意味(人間を「獣」の一種として見做した場合)「害獣」の一種と言えるかもしれない。
人間らしく悪知恵が働くためか、彼らのやり方は(程度にもよるが)そこらの害獣よりもよほど悪辣なものが多く、高い費用をかけて設置した罠や柵を破壊したり、駆除にあたったハンターや住人に暴行したり動物虐待で訴えたり、酷いものになると害獣に無計画に餌を与えて繁殖させたり、あるいは全く違う土地に害獣を「移住」させて野に放った結果、却って生態系を破壊したりと「迷惑」では済まされない事態を引き起こすケースも実際に発生している。
害獣が害獣たりえるのは、そこに住まう人々が丹精込めて作った作物を荒らされたり、最悪の場合人的被害が発生するためであり、駆除する側も何も好き好んで彼らを殺したいわけではないのだが、「動物愛護のためならば(自分以外の)人間がどうなっても構わない」という思考で動く彼らは聞く耳を持たない。
獣害に苦しむ人々の暮らしや気持ちを汲もうともしないどころか、善人面して平気で追い打ちをかける彼らは、まさに最低最悪の害獣と言えよう。