概要
TCG「カードファイト!!ヴァンガード」のスピンオフアニメーション作品。海洋国家メガラニカ所属クラン(組織)の1つである「バミューダ△」発祥の作品で、シリーズ作品の1つとしてもカウントされている。2019年冬アニメとして放映開始。それに合わせてカードゲーム側でも本作のメインキャラを看板にした新規カードパック「プライマリー・メロディ」が発売。ヴァンガードの派生作品ではあれどカードバトル要素は皆無で、惑星クレイの戦争史ともほぼ無縁。優しさの泡に包まれた平和な作風で、その雰囲気は女児アニメに近い。
物語は海底の辺境村落・パーレルを舞台に、後の人気アイドルユニット「カラフル・パストラーレ」の始まりを描く。登場人物の大半は人魚かなんらかの海洋生物であり、そのため海の底、つまりは水中で本編は進行する。……している筈なのだが、「水中でお茶を淹れる(湯気も立つ)」「水中でクラゲが乾いてしおれる」「水中で入浴する」「水中で雨が降る」など、地上同様の生活様式や自然現象が平然と描写されるのが大きな特徴。惑星クレイの海底には、水でも空気でもない謎の超物質が満ちた生物圏が存在するということなのだろうか……。イメージしろ。細かいことは気にするな。
キャラクター原案は藤真拓哉氏。アニメ本編においては「下半身の魚鱗は作画せず省略」「貝殻や魚鱗を思わせる、丸みある三角形の虹彩部を持つ眼」といったデザインアレンジが施されている。
登場人物
後のカラフル・パストラーレ
ソナタ(声:武田羅梨沙多胡)
「みんなが心地いいて思えれば、心地いいかなって」
いつも一緒に行動している仲良し幼馴染4人組のまとめ役。眼と鱗の色は緑色。面倒見が良く、仲間のことは気にかけるが自分のことは遠慮がちになる性格。カノンとの出会いと、閉鎖され忘れ去られていた映画館の出現により彼女の夢は動き出す。
カノン(声:平粟萌香)
「その声がとても優しくて、楽しそうで……」
ある出来事から結晶化し、木箱に詰められてパーレルに荷送りされてきた都会っ子。眼と鱗の色は紫色。体格からしてソナタ達よりも年少と思われる。礼儀正しいが、同時に率直な物言いをする。そのためパーレルの町並みに対しても「なにもないんですね、ここ」と容赦ない感想をこぼした。ソナタによく懐いている。3話では妙にクラゲに好かれていた。寝相が良い。
フィナ(声:紡木吏佐)
「わたし……諦めないわたしと、諦めないセレナが好きなの!」
仲良し4人組の一人。眼と鱗の色は桃色。おとなしい性格で家庭的。料理とお菓子作りやお裁縫が得意で、よくサンドイッチを作っている。セレナとは「シェルシス」と呼ばれる、「同じ貝殻から生まれた人魚同士」であり、どちらかといえば「妹」。セレナ以外の仲間達は「ちゃん」付けで呼ぶ。ぬいぐるみをたくさん持っている一方で、実は怖いもの好き。
カワウソの「ポコ(声:松井恵理子)」をいつも連れている。
セレナ(声:遠野ひかる)
「その時は見つければいい。今、決めなくていい」
仲良し4人組の一人。眼と鱗の色は水色。理屈っぽい性格で、仲間内での参謀・ブレーキ役に収まっているしっかり者。手刀によるツッコミをよく行う。「姉」としてフィナを可愛がっており、「ちゃん」付けで呼ぶ。「5」という数字に謎の愛着を持つが、理由は不明。
キャロ(声:進藤あまね)
「びっくりワクワク! そんなのが観たいなって」
仲良し4人組の一人。眼と鱗の色は黄色。元気で明るい性格のお調子者だが、一方で思い詰めて抱え込んでしまう面も秘めている。年の離れた下のシェルシス「カプリ」が居るためか、幼い人魚達とも特に仲が良い。ラブカのぬいぐるみ「ラブちゃん」がお気に入り。
パーレルの人々
アルディ(声:日高のり子)
パーレルの首長。本人の言によると田舎なりに仕事は忙しいらしい。彼女のシェルシスはアトランティアの都会部に住んでおり、それを通してカノンはパーレルに送られてきた。ちなみにフェルマからは少し音痴だと評されている。
フェルマ(声:井上喜久子)
喫茶店「エスポワール」の店主。アルディとは親しい仲で、一番の話し相手。娯楽の乏しいパーレルでは、彼女の店のお菓子がソナタ達の数少ない楽しみとなっている。出身はパーレルではなく、遠く離れた場所であるようだが詳細は不明。
フラゼ(声:下山田綾華)
珊瑚糖を製造する風車小屋(人魚の言葉では海流も「風」と呼ぶ?)の管理者。旧型の風車を今でも用いていることにこだわりを持つ。その回転は速すぎても遅すぎてもいけないらしい。
コーダ(声:高槻莉那)
機械や科学技術に詳しい、発明家で僕っ娘な眼鏡さん。本職は不明。自宅にはバミューダ△アイドル達のポスターを何枚も貼っているアイドルオタク。「アイドルとファンの間には適切な距離が必要」という考えの持ち主。
シャンテ(声:内山夕実)
ひじき等の海藻を育てている農家。若い世代の田舎暮らしを少し不憫に思っている。
本作は謎のひじき推しであり、毎回のように「フィナがひじきサンドを作る」「収穫されたひじきがどアップで映される」といった大小のひじき要素がある。そのため一部視聴者からは「今週のひじきノルマ」に注目されることも。
マルトレ(声:竹内恵美子)
アクセサリー屋の店主。少し派手目な化粧と装いに身を包む。都会に出て活躍している、「マルタ」という弟子が居る。
レジェ(声:斎藤千和)
未成年の人魚達が共同で暮らす寮の管理者兼、村役場の放送・雑務担当。ソナタ達も含めて、村の子供達は幼少より彼女の子守唄を聴いて育つ。ソナタ達5人とちびっこ3人組の他、まだ自力で泳げないであろう赤子も3人、彼女の元に居る。
カプリ(声:松井恵理子)
ちびっこ3人組の一人。キャロのシェルシスであり、そのためか眼と鱗の色も共通。腕白気質で着る服もかわいいヒラヒラより動きやすいものが好き。4話では準主役。
アデル(声:宮本侑芽)
ちびっこ3人組の一人。おしゃまな泣き虫さん。
ナチュラ(声:佐藤亜美菜)
ちびっこ3人組の一人。他の2人を静かに見守る事が多いのんびり屋。
村の外部の人々
都会の本局からパーレルにやって来る郵便配達員。1話では「郵便物を部外者かつ未成年のソナタ達に預ける」という、職務責任に欠ける行為を見せた。パーレルには「未成年も当番制で大人達の仕事を手伝う」という慣習があるため、それを見越した取り決めが事前に首長アルディとの間にあったのかもしれない。
1話や7話では背景に郵便局らしき建物が確認できるものの、彼の存在を見るに同施設が「パーレルの郵便局」として機能しているかは疑わしい。はっきりいって怠慢で、なぜか配達が大幅に遅れることもあるのだが……。
マンタ(声:松山鷹志)
麦わら帽を被った、謎多きエイの風来坊。ぶらりとパーレルにやってきては去っていく。
チェル(声:大久保瑠美)
7話に登場。都会から突如、パーレルにやってきた人気歌姫。幼い頃からアイドルとして活躍してきたせいか、強引でお姫様気質。「プライマリー・メロディ」では、ソナタ達と共に彼女のカードも収録されている。
グラディス(声:伊藤かな恵)
8話に登場。地上の孤島にやってきたソナタ達の前に現れた少女。インコの「リマ」、リクガメの「ハヌア」と一緒に島で暮らしている。
エーデル(声:川澄綾子)
9話に登場。新作映画の撮影のために、撮影隊と共にパーレルにやってきた女優。パーレルでの撮影日程がギリギリであった事などから、多忙な人気女優である事が伺える。
ヴェラータ(声:平野文)
11話(名前のみ)と12話に登場。アルディのシェルシスで、彼女にカノンを預けた本来の保護者。パーレル出身だが、現在は都会部に移住している。
用語など
惑星クレイの海に住む、ヒトの上半身と魚の下半身を持つ女性のみの種族。貝殻から生まれ、「母娘」という概念が(少なくともパーレルでは)極めて乏しい。同じ貝殻から生まれた個体同士はシェルシス(貝殻姉妹)と呼ばれ、特別な絆を持っている。
寿命は人間よりも長く、外見の老化も極めて遅い(あるいは無い)模様。
パーレル
アトランティア海嶺の南東に位置する、人魚の村落。テレビや携帯端末の電波もほぼ圏外で、真っ当な宿泊施設なども存在しない辺境地。かつては上質なプリズムパールの採掘で栄えていた時代もあり、パーレルの名前もそれに由来する。未成年も当番制で大人の仕事を手伝う慣習がある。
特産品は珊瑚糖とひじき。
キネオーブ
宝珠を器として、映像や音声を記録・再生させる技術。主な活用法は映画だが、キネレターとしても利用できる。大きさは両手で抱え持つほどのものが主流のようだがビー玉ほどの小さなものも登場している。また、これらとは別に「クリスタルディスク」という円盤型の記録媒体も存在している。
通常は単なる記録・再生媒体でしかないが、時にそれを超越した現象を見せることもあり、6話ではフィナに謎の少女(声:本渡楓)との出会いをもたらした。
パーレルにもかつては村営の映画館があったが、ソナタ達の代では閉鎖され忘れ去られた存在となっていた。一応、隣町には最新鋭の映画館があるらしい。
陸(おか)上がり
人魚が地上に出る事。「トゥインクルパウダー」と呼ばれる魔法薬を使う事で、尾ひれを脚に変化させることができ、これを「パウダリング」と呼ぶ。副作用で人語を発声できなくなってしまうが、「プリズムパール」という特殊な真珠を身につけることで同作用は克服可能。パウダリングの際、体質などにより思わぬ現象が発生することがある。海中ではなく地上に定住する変わり者の人魚も中には居るようだ。
ちなみに脚と声に関連する設定自体はアニメ化以前からあるもので、本作で大きく肉付けされた。
人魚を除けば、本作で最も目立つといって過言でない生物。地球のクラゲが持たない性質を多々、備えており「アカリクラゲ」「メメクラゲ」等の種類がある。3話ではカノンによく懐くものも登場し、どの程度の知性や感情を持つのかは不明だが、パーレルの人魚とは良き共存関係を築いているようだ。10話ではある意味、真の主役とも言える扱いになっている。
発光する性質を持つアカリクラゲは村の照明として使われているが、メガラニカの海中生活圏で一般的な利用法なのか、僻地特有なのは不明。
シャボン
本作のED主題歌。人魚の世界での絆を歌った曲であり、ED音源は「作中世界では広く知られた名曲を、アイドル達がカバーしたもの」という形式。7話では古い名作ミュージカル映画の劇中歌として「原曲(歌:初田悦子)」が登場し、重要な役割を果たす。実際のED映像では各話ごとに歌い手が交代し、基本的にその話数での中心人物による歌がその回を締めくくる。
ばみゅてれ
静岡朝日テレビにて放映された、ヴァンガードを紹介する短編映像。セレナが案内役を務める。全5回予定。
各話一覧
話数 | サブタイトル | 主な内容 | ED歌唱 |
---|---|---|---|
01 | 『パーレルへようこそ』 | パーレル村と主要5人の紹介回 | ソナタ |
02 | 『キネオーブがこんなに』 | 映画館復活へ動き始めるソナタ達 | フィナ |
03 | 『5人いっしょ』 | カノンとソナタ達の距離に変化が | カノン |
04 | 『大胆に思い切って』 | セレナとフィナのシェルシス回 | セレナ |
05 | 『びっくりワクワク』 | 映画館編が決着 | キャロ |
06 | 『あなたの名前を教えて』 | アルディとフェルマと不思議な出来事 | フィナ |
07 | 『だから全部いただくわ』 | 都会の歌姫・チェル登場 | チェル |
08 | 『それはね、靴っていうの』 | 5人の陸上がり | セレナ |
09 | 『ね、君も食べる?』 | パーレルが映画の撮影地に | キャロ |
10 | 『これ、どうやって撮るの?』 | 村のお祭りと、始まりの昔話 | ソナタ |
11 | 『この曲は』 | カノンの元に、保護者ヴェラータから手紙が届くが…… | カノン |
12 | 『小さな光となって輝いて』 | ソナタ達の旅立ち | カラフル・パストラーレ |
スタッフ一覧など
関連タグ
- 2019年冬アニメ
- カードファイト!!ヴァンガード
- バミューダ△
- カラフル・パストラーレ・カラフル・パストラーレ~fromBermuda△~(表記揺れ)
- カラパレ : 略称。本作のツイッター公式アカウントが指定するハッシュタグとして使われている。
- カラフル・パストラーレfromバミューダ△ : 企画発表時点でのタイトル。
- Pastel*Palettes:OP主題歌『Wonderland_GIRL』を担当。
- ぴちぴちピッチ:シリーズ構成の横手がかつて原作シナリオを手掛けた、人魚がアイドル姿で歌うアニメの先輩。ただしこちらは歌で攻撃する。