ファーストレディー
ふぁーすとれでぃー
概要
国家元首の夫人(未婚や死別・離別している場合は娘)に対して使われる名称で、元はアメリカ合衆国大統領夫人に対する呼び名だった。だが、現在では王政でない国家の元首(大統領)や首相の夫人にも広く使われる。
政治家である夫と違い慈善家のような色合いが強くなり、国民にとって良妻や良母の手本となる振舞いが求められる。しかし、時として夫(あるいは父)よりも人気が出て後に政治家として担ぎ出されたり、夫に助言という形で政権運営に口を出しているパターンなどもある。
語源
ファーストレディーという名称は、第4代アメリカ合衆国大統領ジェームズ・マディソンの妻ドリー・マディソンが、彼女の葬儀で当時の大統領サガリー・テイラーに「first lady(最高の淑女)」と弔辞で表現されたのが語源である。これは、彼女が夫ジェームズの前に大統領を務めたトーマス・ジェファーソンの時代から4期16年という長期に渡って大統領夫人を務め、国民から高い人気を博していたためである。
なぜジェファーソンの時代から大統領夫人を務めていたのかというと、ジェファーソンが大統領就任前に妻と死別しており、娘も家庭があり多忙だったため、友人であったドリーに娘の補佐役として2人目の大統領夫人(ドリーとジェファーソンが夫婦になった訳ではない)になってもらっていたからである。
日本におけるファーストレディ
内閣総理大臣夫人は公職ではないため、ファーストレディが日本を代表して公的行事に参加することに対しては議論がある。現首相夫人の安倍昭恵のように積極的に表舞台に登場し、夫とは別に独自の意見表明も行う例から、ほとんど表舞台に出ない例まであり、その役割は代々の首相夫妻の考え方次第と言ってよい。
またファーストレディは上記のように公職ではないので、首相に夫人がいない場合、その代行をつとめる女性を必ず置かなくてはならないというものではない。小泉純一郎は首相に在任する前に既に離婚しており、子も息子だけで娘はおらず、在任中はファーストレディやその代行を置かなかった。
有名なファーストレディー
アメリカ合衆国大統領
- メアリー・トッド・リンカーン/第16代E・リンカーンの妻。恐妻として知られる。
- エレノア・ルーズベルト/第32代フランクリン・デラノ・ルーズベルトの妻。夫が推し進めていた日系アメリカ人強制収容に反対したが当時の世相もあり力が及ばなかった。後に婦人運動家となり、世界人権宣言の起草者となる。
- ジャクリーン・ケネディ/第35代J・ケネディの妻。後にギリシャの実業家と再婚する。
- ヒラリー・クリントン/第42代W・クリントンの妻。後に政界入りし国務長官を務める。
- ミシェル・オバマ/第44代B・オバマの妻。初のアフリカ系ファーストレディ。
- メラニア・トランプ/第45代ドナルド・トランプの妻。現在のファーストレディ。