概要
渋谷系の意味するところは、時期により以下に分けられる。
1.
1990年代前半に流行ったJ-POPの一系統。六本木のWAVE(レコードショップ)の隆盛やJ-WAVEの開局、CDの普及などで大きな勢いとなった。1960年代から1970年代の「少し古い」洋楽を中心に、世界中の音楽から影響を受けた音楽性が特徴だった。
当時の邦楽ロックといえば、(ヴィジュアル系に代表されるような)ド派手なメイクと激しいサウンドがメインストリームであったため、それに反発するような個性を持ったアーティストが渋谷系に括られた。現在ではメインストリームのロックバンドとしての地位を確立しているMr.Children、スピッツも当初は渋谷系に括られることが多かった。
初めは「宇田川町の外資系CDショップを中心とした半径数百メートルで流通する音楽」という否定的・揶揄的なレッテル貼りだったのだが、やがておしゃれな意味としてとらえられるようになっていった。渋谷系に括られるのを嫌うアーティストも多く、もともと音楽的共通性が薄かったジャンルだったこともあり、1990年代末ごろには「渋谷系」という枠組み自体が陳腐化し分解していく。2003年ごろから中田ヤスタカら渋谷系で育った世代のミュージシャンにより「ネオ渋谷系」としてリバイバルされている。
主な渋谷系ミュージシャン
- ピチカート・ファイヴ…代表曲は「東京は夜の七時」「ベイビィ・ポータブル・ロック」など。
- フリッパーズ・ギター…小山田圭吾と小沢健二が属していたグループ。解散後は故山田は主にソロユニットCorneliusとして活動。
- オリジナル・ラヴ…上記ピチカート・ファイヴの一員だった田島貴男が設立したバンド。
最近ではPerfumeやきゃりーぱみゅぱみゅの楽曲提供でも有名な中田ヤスタカ、いとうせいこうなどが参加している□□□(くちろろ)などがネオ渋谷系の代表的アーティストである。ゼロ年代のアキバ系の影響を受けたアイドルマスターなどの音楽もアキシブ系と呼ばれ、ネオ渋谷系の一種と考えられる。
2.
90年代~ゼロ年代における原宿系ストリートファッションの一派。音楽と同様に60年代~70年代のリバイバル色が強い。こちらは区別のためにシヴヤ系とも表記される。
3.
上の二つを含むサブカルチャー論上の概念。パルコの渋谷進出から始まった渋谷、原宿での若者文化の総称。古くは竹の子族などのストリート文化も含む。アキバ系に対する概念であり、新人類世代以降のサブカルチャーはファッションの渋谷系とオタクのアキバ系に分けられるとされる。