概要
砂糖の原料として栽培され、世界的にはブラジル、インド、中国南部が主な産地。現在の日本では沖縄県、奄美大島などで栽培されている。十分な日照が必要な植物であるため南方向きの作物だが、九州や四国の一部地域でも栽培されている。
竹のように見える茎の中に糖分を豊富に含んだ髄があり、汁を絞って飲んだり砂糖を精製したりする他、食用にもされる。搾りかす(バガス)は製紙用にも利用される。
また、サトウキビ由来のアルコールはラム酒や黒糖焼酎のほか、精糖後の糖蜜(モラセス)から燃料などに用いられるバイオエタノールを作ることがある。
余談
発酵糖蜜から連続蒸留によって精製した「醸造用アルコール」はアルコール度数36度未満になるよう調整して甲類焼酎として販売される。風味に癖がないのでカクテルベースやリキュールの材料、梅酒などの果実酒のベースとして用いられる。
また、醸造用アルコールを日本酒に添加することで、日本酒の風味調整にも使用される(アルコール添加)。これはもともと吟醸酒を醸造するために開発された技法だが(現在は醸造技術の進歩によりアルコール添加を行わない純米吟醸酒も醸造可能)、三倍増醸酒として、酒量の水増しに使用されたこともあるため、現在でもアルコールを添加した日本酒全般が批判されることがままある。なお、アルコール添加に醸造用アルコールではなく米焼酎を使う、というこだわりの酒蔵もある。
また、味の素に代表されるうま味調味料の原材料としても知られる。
以上三種とも『美味しんぼ』に批判された経歴がある(特に後者二つは同作の代表的な批判材料にされている)。一方で同じ廃糖蜜由来のアルコールでもラム酒については称揚されている。今ではその賛否は分かれるが、ネット界隈では「作者は味の素に親を殺された」などとネタにされることもある。
歴史
原産はインドとされており、ペルシャのダイレイオス一世が西アジアへサトウキビを持ち帰り、国家機密として密造し、輸出品として周辺諸国へ売り捌いたのが、西洋への伝播に繋がった。本格的な砂糖の輸出入は、10世紀末から十字軍遠征時代になって確立され、大航海時代になって中南米進出後の侵略で得た土地に、大量生産する事で製糖産業を確立させた。