概要
1973年から1975年、および1978年から1980年まで「週刊マーガレット」にて連載、アニメ化もされ人気を博し、日本にテニスブームを巻き起こした。
スポーツ漫画(スポ根漫画)の代表格の1つで、現役時代の松岡修造が試合のたびに必ずコミックスを持参したほどのバイブルとしても知られている。
1973〜5年の連載を「1部」、78〜80年の連載を「2部」としており、2部はアニメの再放送による人気上昇を受けて連載再開という形で執筆された。
テーマ
暖かみのある日常風景と厳しい特訓、リアルな試合描写、敗北と勝利、複雑に絡み合う人間関係が濃密に描かれている。
単純な精神論や対比構造ではなく、試練と困難をいかに乗り越え、それぞれのキャラクターがどのように人間として成長するかがテーマ。
お蝶夫人こと竜崎麗香や宗方仁など、インパクトの強いキャラクター達、名言の数々も普遍的な魅力を持っており、現代でも多くの人に読み継がれている。
内容
名門、県立西高テニス部に入部した主人公の岡ひろみが、コーチの宗方仁に才能を見出され、様々な試練や逆境を乗り越え、選手として、人間として成長する過程を描く物語である。
宗方はひろみを、限界を超えたパワーテニスに導くべく猛特訓を始めるが、宗方の肉体は既に病魔に侵されており…。
少女漫画におけるスポ根作品の代表格であるが、スポーツものにありがちな荒唐無稽な必殺技の類は登場しない。
竜崎麗香と組んでのダブルスの試合中に、宗方が塩を舐めさせる(痙攣予防)、「ありもしない必殺技などというものに頼るな」と作中でのマンガ的要素の否定、近年では広く使われる技術となったバウンドの上がり端を捕える「ライジングショット」の描写など、2010年代に「リアルなテニス漫画」として読んでも十分通じる面を含んでいる。
主なキャラクター
映像化
テレビアニメ
1973年10月から毎日放送ホスト・NET系列などで放送開始。
演出は出崎統が担当しており、当時のスポ根らしい濃い演出が多用されている。
視聴率が振るわなかったため、原作の中盤までのストーリーを描き、わずか半年で打ち切りに追い込まれてしまった。通称「旧・エース」。
しかし、再放送で評価された事から、1978年10月から1979年3月にかけて、日本テレビ系列局や長崎放送などで「新・エースをねらえ」のタイトルで新作が放送された。通称「新・エース」。
毎日放送・NET版の続編ではなく、スタッフを一新した上で最初から作り直されており、原作のストーリーに近い内容となったが、放送期間が短かく、原作1部のエンディングまでを描いたことで駆け足のストーリーとなってしまった。
なお、こちらでは出崎統の兄である出崎哲が数話演出を担当している。
アニメ映画
1979年9月に東宝系の映画館で封切られた。
テレビアニメ版の再編集版ではなく、完全新作。主要スタッフは旧と共通となっている。
26話分のストーリーをさらに90分のストーリーに再構築したため、新エース以上に駆け足である。
OVA
タイトルは「エースをねらえ!2」。
1988年3月からリリースされたが、後に日本テレビ系列でテレビ番組として放送された。主要スタッフは旧・劇場版と共通。
宗方コーチの死の直前から死、そしてひろみが失意から這い上がっていく様子を描いた。
原作第2部の半分程度を映像化している。なお、宗方コーチの葬式までを編集した映像が劇場版として公開された。
さらに1989年には、お蝶夫人ら前世代を中心に、ひろみの周辺人物たちにスポットを当てたオリジナルストーリー「エースをねらえ!ファイナルステージ」が製作・リリースされた。
なお、アニメに関しては全てトムス・エンタテインメントが製作を手掛けた。
テレビドラマ
2004年1月から3月にかけて、テレビ朝日開局45周年を記念して企画・放送された。
テレビ朝日系列24局のほか、福井放送、四国放送、高知放送(いずれも日テレ系列)で放送されている。その後同年9月には、2時間特番という形で「奇跡への挑戦」という続編(内容はOVA版に相当)も放送されている。
主演は上戸彩。
この一年後にテレビ朝日はアタックNo.1の実写ドラマを制作・放送しており、こちらでも上戸彩が主演を務めたほか、モブとして一部の俳優が出演している。
なお、先述のように現役時代に強い影響を受けた松岡修造が、テニス監修としてテレビドラマ版に関わっている。
関連タグ
トップをねらえ! ガイナックス制作のアニメ。タイトルは本作+トップガンのパロディー。「先輩とペアを組む主人公」「余命幾ばくもないコーチ」「他校の実力者のライバル」など、随所にその影響が見受けられる。