概要
大長編ドラえもんとは、『ドラえもん』のアニメ化に伴い1980年から1年に1度『コロコロコミック』に掲載された藤子・F・不二雄による長編漫画である。したがって映画ドラえもんの原作に当たるのだが、120分の映画とは異なる様々な点があり、実際は「原作漫画版ドラえもんの番外編」と見た方が正しい。
スピンオフ作品『ドラミちゃん』で使われた話をたたき台にしたという説がある。ここでは、何話か「どこかへ行きたいという欲望が生まれる」「主人公がその欲望を叶える」「いろいろ関係が破たんして終り」という話が何話か見られる(山奥行ったり海底探検したり穴掘ってたら地球の裏まで抜けたり)。
また、『ドラえもん』の長編版においては、どこかへ行きたいあるいは自分たちだけの空間を作りたいという欲望が発生し、それが叶えられたあとそこの先住民(なおそこが人為的な空間であれこういうのがいる)の一部と仲良くなり、そこを悩ます問題を何とかし、仲良しだった関係が別れなどで破たんして終わる。
映画第9作『パラレル西遊記』は藤子・F・不二雄の体調不良により執筆されなかった。
F先生は映画第18作(大長編第17巻)『ねじ巻き都市冒険記』の執筆中に急逝し、以降はFの遺したプロットを元にチーフアシスタントのむぎわらしんたろうが代筆を務めた。以降、映画第21作(大長編第20巻)『太陽王伝説』までをむぎわらが、映画第22作(大長編第21巻)『翼の勇者たち』から『ワンニャン時空伝』までを岡田康則が手掛けている。
アニメが水田わさび版に移行した2005年には映画が公開されなかったため執筆されず、『恐竜2006』と『新魔界大冒険』はDSゲーム版の攻略本に岡田によるコミカライズが掲載された(故に、漫画版2006DSは映画に登場しないティラノライダーとかが登場している)。以降、既存の劇場版のリメイクは執筆されていない。
オリジナル作品のコミカライズは、『緑の巨人伝』と『人魚大海戦』を岡田、『奇跡の島』以降をむぎわらが手掛けている。
なお、一番最初に刊行された大長編ドラえもんの単行本は第4巻『のび太の海底鬼岩城』(1983年6月初版)である。その後、第1巻『のび太の恐竜』(1983年12月初版)、第2巻『のび太の宇宙開拓史』(1984年3月初版)と巻数を重ね、その次が第5巻『のび太の魔界大冒険』(1984年10月)となり、第3巻『のび太の大魔境』の初版は『海底鬼岩城』から2年3ヶ月『開拓史』から見ても1年6ヶ月近く遅れた1985年9月となった。そして同年の11月に第6巻『のび太の宇宙小戦争』が初版登場し、ようやく全巻が揃った形での通常発刊ベースとなった。