十二大戦対十二大戦
じゅうにたいせんたいじゅうにたいせん
概要
あらすじ
十二年に一度行われる、十二支の名を冠した戦士達の戦い―その名は『十二大戦』。
だが、その第十二回大会は十二星座の戦犯に狙われていた。
物語的には前作である「十二大戦」の続編であり、時系列は第十二回大会の別ルート(所謂パラレルワールド)にあたる話である。
登場人物
十二星座の戦犯
十二戦士と対決することとなる十二人の総称で、各々が十二星座の名を持っている。
戦犯と言われる通り、彼らは戦場にて何かしら罪状を持っている。彼らは「戦争を憎んでいる」という共通の意思を掲げ、故に「戦争を終わらせる」ために戦う。そのためなら自身の「生」への執着が薄いものが多く、その思いからか仲が悪く別々で行動する戦士たちに比べチームワークに秀でているのも特徴といえる。また彼らも願いを持っている。
フレンド・シープ
本名メーランド・シェリー。命名はおそらく「フレンドシップ(friendship)」からと思われる。名乗りは『数えて殺す』。「牡羊」の戦犯であり、催眠術を使って相手を眠らせることができる。素早さは戦犯トップクラスで、不意打ちとはいえ、丑の戦士と卯の戦士を一瞬で亡きものにするほどの実力。
願いは「お洋服が欲しい」、罪状は「捕虜虐待」。
「その恵まれた生まれを必ず世界に還元しなければならない」という使命感の元、高地の戦場で戦う兵士たちにセーターを配る活動をしていた。しかし、そのセーターに必要な羊毛がなくなった時に捕虜たちの内臓や髪の毛を使った防寒着を作成しそれを、底なしの善意の元無料配布した事で戦犯となる。
ルック・ミー
本名ルーク・ミッシェル。名前は「ミルク」のアナグラムに「look,me(私を見て)」というメッセージをかけたもの。「牡牛」の戦犯で名乗りは『誓って殺す』。身長185cmの大柄な体躯に純白のウェディングドレスを纏う。限定的に自身の兵隊を生み出す「創造妊娠」という能力を持ち、巨漢で知られる午の戦士を単身で戦闘不能にするなど、かなりの技量の持ち主であることが垣間見える。手にはウェディングケーキを切るナイフと赤ちゃんをあやすラトルを持っている。「~と、ここに誓います」が口癖の厚かましい性格で、「誓います、誓いますうるさい」とツッコミを入れられることもしばしば。
願いは「赤ちゃんが欲しい」、罪状は「未成年略取」。
能力の都合上子供を作れない体のために、子供欲しさに戦場で生まれた嬰児(三歳までの子供)の誘拐を繰り返したことで戦犯となる。ただ、ちゃんと世話をして赤ちゃんでなくなればしっかりと親元に返しているらしく、名前も付けているがセンスが壊滅的なため、勝手につけた名前は例外なく不評だとか・・・。
ダブル・マインド
本名姉-W2222 弟-M2222。二卵性双生児の姉弟で「双子」の戦犯。海兵姿の小柄な姉と大柄な弟から成る「二人で一人の戦犯」である。本名が番号なのは実験体として生まれたため、その際の認識番号と思われる。肩書は『選択の余地なく殺す』。姉はクロスボウ、弟はウォーハンマーを武器としている。「ダブル・マインド(二つの脳)」の名の通り双子で脳を共有しており、精神感応を利用し所有する空母および原子力潜水艦を思うままに繰ることができる。同時に言葉を話すため(断罪兄弟に対して)「「キキャャララがが被被っっちちゃゃううかかいい??」」と非常に読みにくく書かれている。
願いは「選択肢が欲しい」、罪名は「窃盗罪」。
十二戦犯の中でしょぼく聞こえると思うが、盗んだものが空母と原潜と聞くとこの二人の罪状の重さが理解できる。
サー・カンサー
本名シーザー・カエサル。知略に優れた「蟹」の戦犯。命名は蟹座(cancer)から。『紳士的に殺す』の名乗り通り、常に慇懃な口調で話す。
願いは「名誉が欲しい」、罪状は「内通罪」。
元々は砂粒のように戦争を調停する平和主義者で、終戦後もしつこく交渉を続けていた事で両国から二重スパイの嫌疑をかけられ戦犯となるが、以前から手段を選ばない法律ギリギリ(アウトの方)の交渉を多くやってきたらしく釈明の余地はなかった。また、それにより不名誉を被ったためか、欲しいものは『名誉』だと明言している。
ダンディ・ライオン
本名同じ。『統べて殺す』と名乗る十二戦犯のリーダー格であり、「キング」と呼び慕われている。「獅子」の戦犯らしく無骨で剛胆な性格は、カリスマと腕っぷしだけで国のトップにまで成り上がるという経歴からもうかがえる。天文学に傾倒するなど意外に繊細な一面もあり、彼が十二星座の戦犯を一番最初に名乗った人物でもある。
願いは「星が欲しい」、罪状は「国家騒乱罪及び反逆罪」。
空軍落下傘部隊所属のソルジャーで圧倒的なカリスマで人心を掌握、国民から絶大な支持を得た上で政府を転覆させた。しかしその後、賊軍及び反対派への苛烈な処刑が国際社会で物議をかもし、政治的に敗北。戦犯となり逃亡するはめとなる。
アイアン・メイ
本名アンディ・マルアル。「乙女」の魔法少女──じゃなく戦犯で、名乗りは『仕えて殺す』。見た目は可愛い金髪ツインテメイドだが男の娘である。名前の由来は「アイアンメイデン(鉄の乙女)」から(メイドともかけている)。キャラデザ担当の中村先生いわく、男の子とわかるように服の前を全開にしたとか。祖母から貰った箒(通販で買ったらしい)で空を滑空する。
願いは「ご主人様が欲しい」、罪状は「敵前逃亡罪、猥褻物陳列罪、その他軽犯罪多数」。
何故この様な格好をしているかと言うと、元は徴兵を避けるために両親から女として育てられた。しかし、それが体制側に発覚しペナルティとして過酷な戦場に送られてしまう。が上官や敵軍の長を巧みに取り入り戦闘を避け続け、やがて『籠絡の女神』と呼ばれるようになる。その後も敵味方入り乱れて逃亡グループ「乙女座銀河団」を率いる事になり戦犯となった。
バロン・スー
本名アーロン・スミス。「天秤」の戦犯で名乗りは『間を取って殺す』。某歌劇団のような豪奢な身なりをした男装の麗人である。名前の由来は「バランス」のアナグラム。断罪兄弟とは旧知の仲で、戦犯への勧誘さえ行った。裁判官から罷免されたものの、自らの矜持のために分銅を武器にしているが、正直なところ失敗だったと思っているらしい。許しじゃなくて重しだし。
願いは「罰が欲しい」、罪状は「法廷侮辱罪」。
どんな裁判でもほぼ無罪判決しか出さず、罪を許すためならどんな手段でも取る。
といういたってシンプルな理由であるがこれは彼・・・いや彼女が「裁く者」、「許す者」としての矜持を持っていた為である。
スカル・ピョン
本名不明。「蠍」の戦犯で名乗りは『嫌々殺す』。性別含む一切の詳細が不明だが、その名だけがささやかれ実在自体疑われている伝説の暗殺者。挿絵の全身スーツに身を包んだ不気味な容姿に似合わず丸文字で表現できそうなほどに抑揚たっぷりで愛嬌たっぷりな声でカタカナ口調の話し方をする。自らの毒を使った暗殺に長けている。意外と真面目な面もあり、作戦のためなら自分が犠牲になることも全裸になることも辞さない。
願いは「名前が欲しい」、のだがたとえこの願いが叶ったとしても免罪どころか減刑ですら不可能かもしれないと言われている。
罪状は「不明」(ありすぎてないともいえる)。
ウンスン・サジタリ
本名臼杵指足(うすきさしたり)。「射手」の戦犯で、袴に和弓を携えたいかにも弓道部ふうの格好をしている。名乗りは『狙い澄まして殺す』。島の端から断罪兄弟を射殺するなど、腕前はかなりのものである。見た目に反して和食全般が苦手。
願いは「住所が欲しい」、罪状は「機密漏洩罪」。
軍事産業コンツェルンの元社員で、横行する不正への義憤から業界内の秘匿データを世界に向けて公開。しかし、同時に軍事兵器の設計情報と取扱説明書も拡散してしまいそれが原因で数百万から一千万人もの犠牲を出し戦犯となる。武器が弓なのもその反省から原始的な武器を選んだため。
ゴー・トゥー・ヘヴン
本名梧桐(ごとう)ヴァルキリー。「山羊」の戦犯で名乗りは『病的に殺す』。名前には「ゴート(山羊)」ともかけている。車椅子に乗った病弱で色白の少女であるが、胎児の頃に地雷によって身体が四散。倫理観の欠けた医療行為により命をとりとめるが、無意識の恐怖から地面を歩くことを拒否し、車椅子で生活している。願いは「健康が欲しい」。兵器製造に精通しており、実は十二戦士の『戌』の戦士、怒突の商品だった時期もあった。
罪状は「違法兵器所有罪」。
前述の生い立ちもありあちらこちらを売られたり買われたり攫われたりを繰り返し、その中で見た戦争への憎悪を育て、のちにマッドサイエンティストのもとで「世界からすべての地雷を撤去する」という目的を立て超強力な地雷を作成し戦犯となる
マペット・ボトル
本名トーマス・T・トールズ。名前は「マペット」と「ペットボトル」の語呂合わせと思われる。レインコートに身を包んだ「水瓶」の戦犯で『ウェットに殺す』の名乗り通り、ウェットに富んだ丁寧な話し方をする。液体を自在に操る能力を持ち、人間の血液を蒸発させることすら可能。
願いは「水が欲しい」、罪状は「放火罪」。
元は十二戦士に憧れ、彼らのようになりたいと思ったが非戦闘地に生まれたため、敵襲に見せかけて放火し、それを自分で消すという所謂マッチポンプ(水瓶だけに)を繰り返してきた。しかし、だんだん大火を求めるようになり、あろうことか自分の故郷に放火した挙げ句に消火に失敗し消失させ、その上その証拠を消すためにダムを決壊させた。後にその証拠が立証されてしまい戦犯となる。
ドクター・フィニッシュ
本名ノクターン不二。「魚」の戦犯で、名乗りは『生かして殺す』。名前は「ドクターフィッシュ」に「フィニッシュ」とかけている。劇薬を扱う天才医師にしてマッドサイエンティストであり、免許なしで医療行為や人体実験を行ったために戦犯として追われる身になる。年齢を理由に軽んじられるのを嫌い、大人びたメイクを心がけている。ゴー・トゥー・ヘヴン同様、怒突の商品だった時期がある。
願いは「モルモットが欲しい」、罪状は「医師法違反」。
幼い頃から、収容所で医療行為をしそれを見世物にされていた。その後、収容所の所長と結婚、釈放されるも新郎と一族を毒殺して逃走。戦場各地の野戦病院に素性を偽って務めたが当然違法であり、裏で行っていた人体実験も露見したため戦犯となる。
『十二大戦対十二大戦』予告編 大戦前夜
ジャンプSQ(2017年11月特大号)の特別付録「十二大戦プロジェクトBOOK」に収録された書き下ろし短編小説。
砂粒と異能肉にスポットが当たっており、十二大戦では見られなかったふたりの関係性を知ることができる。第12回十二大戦の乗っ取りを目論む犯罪人ら「十二戦犯」との対戦前夜を描いたものとなっている(が、実際の十二大戦対十二大戦とは多少食い違う部分もある)。