概要
作品解説
前作である十二大戦のアニメ化に伴い執筆された。お馴染みの十二戦士に加え、新たに十二星座の戦犯が登場する。
※以下、本編並びに十二大戦のネタバレを多く含みます。ご注意下さい。
あらすじ
十二年に一度行われる、十二支の名を冠した戦士達の戦い―その名は『十二大戦』。
だが、その第十二回大会は十二星座の戦犯に狙われていた。
物語的には前作である「十二大戦」の続編であり、時系列は第十二回大会の別ルート(所謂パラレルワールド)にあたる話である。
登場人物
十二星座の戦犯
十二戦士と対決することとなる十二人の総称で、各々が十二星座の名を持っている。
戦犯と言われる通り、彼らは戦場にて何かしら死刑では済まないレベルの大罪を犯した罪状を持っている。彼らは戦争を強く憎み、「戦争さえなければ」という共通の意思を掲げ、故に「戦争を終わらせる」ために戦う。そのためなら自身の「生」への執着が薄いものが多く、その思いからか常に不倶戴天の敵同士である戦士たちに比べチームワークに秀でているのも特徴といえる。また、彼らも戦士たち同様「願い」を持っている。
フレンド・シープ
本名メーランド・シェリー。命名はおそらく「フレンドシップ(friendship)」からと思われる。巨大なバリカンと櫛を得物とするおしゃれ好きな少女で、名乗りは『数えて殺す』。
「牡羊」の戦犯であり、催眠術を使って相手を眠らせることができる。また、自身に催眠術を施すことで他人に化けることができる。素早さは戦犯トップクラスで、不意打ちとはいえ優勝候補である丑の戦士と卯の戦士を一瞬で亡きものにするほどの実力を持つ。
願いは「お洋服が欲しい」、罪状は「捕虜虐待」。
元々は名家のお嬢様らしく、「その恵まれた生まれを必ず世界に還元しなければならない」という使命感の元、高地の戦場で戦う兵士たちにセーターを配る活動をしていた。しかし、そのセーターに必要な羊毛がなくなった時に捕虜たちの内臓や髪の毛を使った防寒着を作成しそれを、底なしの善意の元無料配布した事で戦犯となる。
ルック・ミー
本名ルーク・ミッシェル。名前は「ミルク」のアナグラムに「look,me(私を見て)」というメッセージをかけたもの。「牡牛」の戦犯で名乗りは『誓って殺す』。
身長185cmの大柄な体躯に純白のウェディングドレスを纏う女性。限定的に対象と自身の遺伝子を混ぜ合わせた戦士を生み出す「想像認信(イマジナリーチャイルド)」という能力を持ち、巨漢で知られる午の戦士を単身で戦闘不能にするなど、かなりの技量の持ち主であることが垣間見える。手にはウェディングケーキを切るナイフと赤ちゃんをあやすラトルを持っている。「~と、ここに誓います」が口癖の厚かましい性格で、「誓います誓いますうるさい」とツッコミを入れられることもしばしば。
願いは「赤ちゃんが欲しい」、罪状は「未成年略取」。
上記の能力の都合上子供を作れない体であるために、子供欲しさに戦場で生まれた嬰児(三歳までの子供)の誘拐を繰り返したことで戦犯となる。ただ、ちゃんと世話をして赤ちゃんでなくなればしっかりと親元に返しているらしく、名前も付けているがセンスが壊滅的なため、勝手につけた名前は例外なく不評だとか・・・。
ダブル・マインド
本名姉-W2222 弟-M2222。二卵性双生児の姉弟で「双子」の戦犯。セーラー服の小柄な姉と大柄な弟から成る「二人で一人の戦犯」である。本名が番号なのは卓逸した能力を持つ戦士を造るための実験体として生まれたため(その際の認識番号と思われる)。肩書は『選択の余地なく殺す』。
姉はクロスボウ、弟はウォーハンマーを武器としている。「ダブル・マインド(二つの脳)」の名の通り二人で膨大な頭脳を共有しており、精神感応を利用し所有する空母および原子力潜水艦を思うままに繰ることができる。もちろん精神も共有しているので常に同時に言葉を話す。そのため作中では、(断罪兄弟に対して)「「キキャャララがが被被っっちちゃゃううかかいい??」」と非常に読みにくく書かれている。
願いは「選択肢が欲しい」、罪名は「窃盗罪」。
十二戦犯の中ではしょぼく聞こえると思うが、盗んだものが空母と原潜と聞くとこの二人の罪状の重さが理解できる。
サー・カンサー
(イラスト右の人物)
本名シーザー・カエサル。知略に優れた「蟹」の戦犯。命名は蟹座(cancer)から。傘を携えた壮年の男性で、『紳士的に殺す』の名乗り通り、常に慇懃な口調で話す。
かつては第八回十二大戦の参加者で、わずか十二分で優勝した実力者(ただしその時の願いを行使してその記録を消している)。今回の十二大戦を画策した張本人でもある。
願いは「名誉が欲しい」、罪状は「内通罪」。
元々は砂粒のように戦争を調停する平和主義者で、終戦後もしつこく交渉を続けていた事で両国から二重スパイの嫌疑をかけられ戦犯となるが、以前から手段を選ばない法律ギリギリ(アウトの方)の交渉を多くやってきたらしく釈明の余地はなかった。また、それにより不名誉を被ったためか、作中で欲しいものは『名誉』だと明言している。
ダンディ・ライオン
本名同じ。『統べて殺す』と名乗る十二戦犯のリーダー格であり、「キング」と呼び慕われている。
軍服を着たガタイのいい男性で、「獅子」の戦犯らしく無骨で剛胆な性格は、カリスマと腕っぷしだけで国のトップにまで成り上がるという経歴からもうかがえる。天文学に傾倒し、無理やり暦を変えて自身の誕生日を獅子座に合わせるなど意外に繊細な一面もあり、彼が十二星座の戦犯を最初に名乗った人物でもある。
願いは「星が欲しい」、罪状は「国家騒乱罪及び反逆罪」。
かつては空軍落下傘部隊所属のソルジャーで圧倒的なカリスマで人心を掌握、国民から絶大な支持を得た上で政府を転覆させた。しかしその後、賊軍及び反対派への苛烈な処刑が国際社会で物議をかもし、政治的に敗北。戦犯となり逃亡するはめとなる。
アイアン・メイ
本名アンディ・マルアル。「乙女」の魔法少女──じゃなく戦犯で、名乗りは『仕えて殺す』。
名前の由来は「アイアンメイデン(鉄の処女)」から(メイドともかけている)。見た目は可愛い金髪ツインテメイドだが男の娘である。キャラデザ担当の中村先生いわく、男の子とわかるように服の前を全開にしたとか。祖母から貰った箒(通販で買ったらしい)で空を滑空する。
願いは「ご主人様が欲しい」、罪状は「敵前逃亡罪、猥褻物陳列罪、その他軽犯罪多数」。
何故この様な格好をしているかと言うと、元は徴兵を避けるために両親から女として育てられた。しかし、それが体制側に発覚しペナルティとして過酷な戦場に送られてしまう。が上官や敵軍の長を巧みに取り入り戦闘を避け続け、やがて『籠絡の女神』と呼ばれるようになる。その後も敵味方入り乱れて逃亡グループ「乙女座銀河団」を率いる事になり戦犯となった。
バロン・スー
本名アーロン・スミス。「天秤」の戦犯で名乗りは『間を取って殺す』。
某歌劇団のような豪奢な身なりをした男装の麗人である。名前の由来は「バランス」と本名のアナグラム。元戦争犯罪者専門の裁判官であり断罪兄弟とは旧知の仲で、戦犯への勧誘さえ行った。
願いは「罰が欲しい」、罪状は「法廷侮辱罪」。
「どんな裁判でもほぼ無罪判決しか出さず、罪を許すためならどんな手段でも取る」といういたってシンプルな理由であるがこれは彼・・・いや彼女が「裁く者」、「許す者」としての矜持を持っていた為である。戦犯となって裁判官から罷免された今でも、自らの矜持のために分銅を武器にしているが、正直なところ失敗だったと思っているらしい。許しじゃなくて重しだし。
スカル・ピョン
本名不明。「蠍」の戦犯で名乗りは『嫌々殺す』。
性別や素性を含む一切の詳細が不明だが、その名だけがささやかれ実在自体疑われている伝説の暗殺者。全身スーツに身を包んだ不気味な容姿に似合わず丸文字で表現できそうなほどに抑揚たっぷりで愛嬌たっぷりなかわいい声で、機械的なカタカナ口調の話し方をする。自らの毒を使った暗殺に長けている。意外と真面目で仲間思いな面もあり、作戦遂行のためなら自分が犠牲になることも自分が全裸になることも厭わない。
願いは「名前が欲しい」。罪状は「不明」(ありすぎてないともいえる)とのことだが、たとえ優勝して願いが叶ったとしても彼(彼女?)の罪はその功績をもってしても免罪どころか減刑ですら不可能かもしれないと言われている。
ウンスン・サジタリ
本名臼杵指足(うすきさしたり)。「射手」の戦犯で、袴に和弓を携えたいかにも弓道部な格好をしている。名乗りは『狙い澄まして殺す』。
島の端から断罪兄弟を射殺するなど、腕前はかなりのものである。一人称は「拙者」で、語尾に「~でござる」と付ける等、喋り方もわりと古風であるが、見た目に反して和食全般が苦手。名前は本名の臼杵と射手座の英語名「サジタリアス」のアナグラム。
願いは「住所が欲しい」、罪状は「機密漏洩罪」。
かつては軍事産業コンツェルンの元社員で、横行する不正への義憤から業界内の秘匿データを世界に向けて公開。しかし、同時に軍事兵器の設計情報と取扱説明書も拡散してしまいそれが原因で数百万から一千万人もの犠牲を出し戦犯となる。武器が弓なのもその反省から原始的な武器を選んだため。
ゴー・トゥー・ヘヴン
本名梧桐(ごとう)ヴァルキリー。「山羊」の戦犯で名乗りは『病的に殺す』。
名前には「ゴート(山羊)」ともかけている。車椅子に乗った病弱で色白の少女であるが、兵器やトラップの製造に精通している。「ダサさ最高」が口癖で、見た目に反してあまり美的感覚にこだわらないフランクな性格。胎児の頃に地雷によって母体ごと身体が四散、とあるマッドサイエンティストの倫理観の欠けた医療行為により命をとりとめるが、無意識に刻まれた恐怖から地面を歩くことを拒否し、車椅子で生活している。実は十二戦士の『戌』の戦士、怒突の商品だった時期もあった。
願いは「健康が欲しい」、罪状は「違法兵器所有罪」。
前述の生い立ちもありあちらこちらを売られたり買われたり攫われたりを繰り返し、その中で見た戦争への憎悪を育て、のちにマッドサイエンティストのもとで「世界からすべての地雷を撤去する」という目的を立て超強力な地雷を作成し戦犯となる
マペット・ボトル
本名トーマス・T・トールズ。名前は「マペット」と「ペットボトル」の語呂合わせと思われる。「水瓶」の戦犯で『ウェットに殺す』の名乗り通り、ウェットに富んだ丁寧な話し方をする。
能力の関係か常にずぶ濡れの姿でレインコートに身を包んでいる青年。液体を自在に操る能力を持ち、海域を操って人間を溺死させたり、薬液や人間の血液を蒸発させることすら可能。
願いは「水が欲しい」、罪状は「放火罪」。
元は十二戦士に憧れ、彼らのようになりたいと思ったが非戦闘地に生まれたため戦士になれず、名声欲しさに敵襲に見せかけて放火し、それを自分で消すという所謂マッチポンプ(水瓶だけに)を繰り返してきた。しかし、続けていくうちに味を占めだんだん大火を求めるようになり、あろうことか自分の故郷に放火した挙げ句に消火に失敗し消失させ、その上証拠を消すためにダムを決壊させ沈めた。後にその証拠が立証されてしまい戦犯となる。
ドクター・フィニッシュ
本名ノクターン不二。「魚」の戦犯で、名乗りは『生かして殺す』。
名前は「ドクターフィッシュ」に「フィニッシュ」とかけている。劇薬と注射器を扱う天才医師にしてマッドサイエンティストであり、免許なしで医療行為や人体実験を行ったために戦犯として追われる身になる。血痕が鱗のように染み付いた白衣を着た魚の尾びれのようなしなやかな長髪の若々しい女性だが、年齢を理由に軽んじられるのを嫌い、大人びたメイクを心がけている。ゴー・トゥー・ヘヴン同様、怒突の商品だった時期があり、毒を使う戦法は彼から教わった。
願いは「モルモットが欲しい」、罪状は「医師法違反」。
幼い頃から、収容所で医療行為をしそれを見世物にされていた。その後、収容所の所長と結婚、釈放されるも新郎と一族を毒殺して逃走。戦場各地の野戦病院に素性を偽って務めたが当然違法であり、裏で行っていた人体実験も露見したため戦犯となる。
『十二大戦対十二大戦』予告編 大戦前夜
ジャンプSQ(2017年11月特大号)の特別付録「十二大戦プロジェクトBOOK」に収録された書き下ろし短編小説。
砂粒と異能肉にスポットが当たっており、十二大戦では見られなかったふたりの関係性を知ることができる。第12回十二大戦の乗っ取りを目論む犯罪人ら「十二戦犯」との対戦前夜を描いたものとなっている(が、実際の十二大戦対十二大戦とは多少食い違う部分もある)。
ネタバレ
戦士、戦犯、結末のネタバレです。また前作、十二大戦のネタバレも含まれますのでご注意ください
十二戦士(詳しい詳細は各記事を閲覧)
「子」の戦士。肩書は「うじゃうじゃ殺す」。本名、墨野継義。
前作の優勝者。脳内で百通りの行動シミュレーションをしその中から1つを真実として確定する能力「ねずみさん(ハンドレッド・クリック)」を持つ少年。
今回の対戦は、その能力の酷使による致命的なバグであると予測していた。ちなみにこの時点で彼は前作の記憶は有している。その上、世界軸を何度も体験しながら何度も殺し合いをしてきたせいで、すっかり精神性が擦り減っている様子がうかがえる。
・・・しかし、これは寝住ではなく寝住に扮した牡羊座の戦犯「フレンド・シープ」であり本人は先の大戦、つまり本編開始前に殺されている。どのように殺されたのか描写はない。
「丑」の戦士。肩書は「ただ殺す」。本名、樫井栄児。
皆殺しの天才と言われる戦士。
今回の対戦の説明を受け、今大会の信用性を懸念したが状況が状況故に協力には合意した。自己紹介として戦士たちの前で名乗った直後、寝住に擬態していたフレンド・シープにより首を撥ねられ殺害される。
「寅」の戦士。肩書は「酔った勢いで殺す」。本名、姶良香奈江。
いつも酔っぱらっており、酔拳を得意とする女戦士。今回の対戦には乗り気になれず、一人彷徨っている際にドクター・フィニッシュと遭遇。非戦闘員と誤認し後から出現したルック・ミーに気を取られた隙に安楽死の薬を打たれ脱落。彼女の亡骸はそのまま海に流された。
「卯」の戦士。肩書は「異常に殺す」。本名不明。
自身が殺害した相手を「おともだち」として使役できる能力「死体作り(ネクロマンチスト)」を持つ戦士。前作の狂気的な感じとは打って変わり、生きてる人間とお友達になりたいらしく、戦犯の捕獲に関して自身の能力の有用性を主張することで場を共闘の雰囲気に持って行った。
失井同様、戦士たちの前で名乗った直後にフレンド・シープにより心臓を貫かれ殺害される。
- 兄
「辰」の戦士。肩書は「遊ぶ金欲しさに殺す」。本名、積田長幸。
平時では声を発し一人称を言わなければわからないほどそっくりな双子の兄。空中に留まることのできる能力「天の抑留」を持つ。
実は事前に天秤座の戦犯「バロン・スー」により今回の情報を得ている上、自分たちの行動は戦犯よりであった事もあって寝返りも可能と楽観視していた。しかし、明らかに敵意を見せる双子座の戦犯「ダブル・マインド」と遭遇。能力を使い弟ともに上空に逃げるが、水瓶座の戦犯「マペット・ボトル」により、自身の武器である冷却放射器「逝女(ゆきおんな)」の燃料を抜かれ、遠距離から放たれた射手座の戦犯「ウンスン・サジタリ」の矢によって弟共々射抜かれて死亡。
- 弟
「巳」の戦士。肩書は「遊ぶ金欲しさに殺す」。本名、積田剛保。
戦士にならなければ兄弟揃って戦犯になっていたと言われるほどの危険人物。地面からの振動を感知する能力「地の善導」を持つ兄同様、バロン・スーから情報を聞き楽観視していたがマペット・ボトルにより火炎放射器「人影(ひとかげ)」の燃料を抜かれ、ウンスン・サジタリにより兄共々撃ち抜かれて死亡する。
最期に二人は「バラバラで戦っては殺される、残った戦士に伝えなければ」と二人ともらしくない事を考えていた。
「午」の戦士。肩書は「無言で殺す」。本名、早間好実。
人体では考えられないほどの防御術「鐙」を使う、屈強な戦士。
描写はないが、ルック・ミ-とアイアン・メイと戦闘になり倒されるが死亡まで至らず、ドクター・フィニッシュの薬によって操り人形となる。その後、必爺と交戦になるも彼の手持ちの爆弾をすべて費やし燻し殺された。(またかよとか言ってはいけない)
しかし、操り人形となっていながらも必爺の名乗りに答えるなど少なくとも戦士としての理性は残っていたようで、少なくとも戦士としての矜持は保ったまま死ねたと思われる。
「未」の戦士。肩書は「騙して殺す」。本名、辻家純彦。
戦士の中では最年長であり、第九回大戦の優勝者。超火力の自家製爆弾「醜怪送り(しゅうかいおくり)」を使う。
「平和主義者の砂粒なら引き留めるだろうから有利な条件を引き出そう」と言う考えが裏目に出て、単独行動をとる羽目になったうえに操り人形と化した迂々真と戦闘。手元の爆弾をすべて使い切ってしまい、最後はすべてを読み先手を打って現れたサー・カンサーに「操り人形にしないでくれ」と頼み、彼の手によって介錯される。
「申」の戦士。肩書は「平和裏に殺す」。本名、柚木美咲。
戦士の中でも圧倒的な力を持つにもかかわらず、それを封印し平和を第一に考える平和主義者の女戦士。
今回のルールには戸惑いを感じてしまい、戦犯サイドに行って先を取られたことで意気消沈しかけていたが、亥の戦士の叱咤激励で持ち前のリーダーシップを発揮する。その後、戦犯側の交渉人サー・カンサーとの会議で、ドクター・フィニッシュとゴー・トゥ・ヘヴンの独断により毒殺されてしまう。しかし、最後に彼らの「戦犯たちの戦う理由」を理解したようで、その顔は安らかなものであった。
「酉」の戦士。肩書は「啄んで殺す」。本名、丹羽遼香 。
あらゆる鳥類と意思疎通が可能な能力「鵜の目鷹の目」を使う女戦士。能力を活用し情報収集で大きく貢献し、鳥を密集させ空飛ぶ絨毯のようにした移動手段としても利用した。大戦の佳境にて怒突にワンマンアーミーを投与してもらい、その影響で毒性の百舌を敵に放ち毒殺する「百舌鳥の毒」を開発。ウンスン・サジタリの討伐に成功する。そして、そのまま隙を見て逃亡を図り海に入るがマペット・ボトルの能力により水圧をかけられ溺死する。
「戌」の戦士。肩書は「噛んで含めるように殺す」。本名、津久井道雄。
噛み技の「狂犬鋲」を隠れ蓑に、体内で調合した毒を使う「毒殺師」で殺さない毒(ドーピング)の生成も可能でその一つが「ワンマンアーミー」である
断罪兄弟同様、戦犯に近い戦士であったが本人曰く「戦犯に限りなく近くない戦士って、それは一体どんな奴だ」ということらしい。
かつての教え子、ゴー・トゥ・ヘヴンとドクター・フィニッシュの存在がネックとなり、前作の好戦的な態度はなりを潜め、砂粒や異能肉などの相性が合わない面々ともコミュニケーションをとっていた。「ワンマンアーミー」の重ね掛け、と言うどんな副作用が出るか分からない事をしようとした教え子に、自身にもワンマンアーミーを打ち込む勝負に出る・・・がそれすらも教え子たちの策であり、意図せず異能肉の射線を塞いでしまい銃弾を受け死亡する。
「亥」の戦士。肩書は「豊かに殺す」。本名、伊能淑子。
弾切れを起こすことなく無限に撃ち続けられる能力「湯水の如く(ノンリロード)」の使い手。
砂粒とは因縁があり、いつか殺すと誓っているが向こうからは親友扱いを受けている。
戦犯の策略により意気消沈しかけていた砂粒を激励した。両者の会談にて砂粒に攻撃を仕掛けたフレンド・シープを銃殺、その後砂粒の死亡を受け彼女からの友情を感じその意思を継ごうとする。しかし、ワンマンアーミーを投与したドクター・フィニッシュにより先読みされ怒突を銃殺したことにより、動揺したことが隙となりドクター・フィニッシュの真空管注射器を受け血液を虚血状態となり死亡。彼女の死を以て十二戦士側は全滅した。
十二戦犯
フレンド・シープ
大会開始前に、寝住を殺害し自己暗示により寝住として完全に成り代わり戦士たちに一番近づき能力「ねずみさん」を使用。前回(前作)の記憶から牛井と憂城の危険性を理解し不意打ちで殺害。その後バロン・スーに擬態し、交渉中に砂粒に不意打ちを仕掛けたが作戦を立てていた砂粒の指示によって、異能肉に蜂の巣にされる。
ルック・ミー
単独行動を取っていた迂々真が、彼女とアイアン・メイと交戦し倒せはしなかったが、瀕死となる。その後、妬良と会話中のドクター・フィニッシュと合流ししばらくはフェードアウトする。最後は、アイアン・メイと共に空を移動中の戦士の前に箒に乗って現れるが砂粒を精神的に追い込むためだけにアイアン・メイに突き飛ばされ転落死する。しかし、彼女も戦犯たちの例にもれず生に執着がないため(意図せぬ形とはいえ)実質これは「自殺」である。
ダブル・マインド
断罪兄弟との一戦の後、ダンディ・ライオンの指揮のもと精神感応を利用しミサイルで戦士たちの拠点を破壊する。そして、わざと逃走先として用意した洞窟へと誘導し自身たちも追ったが・・・実は庭取の能力にて先に発見し、異能肉が不発弾を選り分け、怒突がそれらを運び簡易式時限爆弾を作る砂粒の作戦に引っかかり姉弟揃って自滅した。
サー・カンサー
砂粒との会談中に「隙をついて相手の参謀を潰すことで戦勝を確実にする」という怒突の独断により毒を打ち込まれ、砂粒とは反対の苦痛に歪んだ顔のまま毒殺された。
なお、この和平交渉も作戦の内だったのかは真意は不明のままである。
ダンディ・ライオン
拠点爆破では戦士は倒せないと踏んで、洞窟へ追いつめるなど作戦の指揮を執っていた。が先陣を切ったが故か、それが災いし罠にはまってダブル・マインドと共に爆発に巻き込まれる。巻き添えとはいえ、皮肉にも十二戦犯側のリーダー格を務め、最初に戦犯を名乗った彼が実質、十二戦犯側の最初の犠牲者となった。
アイアン・メイ
ルック・ミーと共に交渉を持ちかけるが、断られたためにサー・カンサーの指示のもとルック・ミーを突き落とし自身も後を追って飛び降り自殺した。
バロン・スー
平和交渉の立会人を引き受ける・・・が彼女もフレンド・シープが擬態した姿であり、名乗ることで催眠が解けフレンド・シープとして襲い掛かるも異能肉によって返り討ちに逢う。フレンド・シープの死亡と同時に本物のバロン・スーも死亡した(これは擬態相手にもダメージが同期されると砂粒は推察した)。
スカル・ピョン
マペット・ボトルが異能肉を仕留める為の囮役を買って出る。地面に潜りスーツだけを出すことで撹乱、全裸になった状態で背後を取って抑え込み、挟み撃ちをしようとしたが、異能肉によって推定されていた為正面から銃弾を浴び、性別も判断できないほどに蜂の巣にされて死亡。
ウンスン・サジタリ
スカル・ピョン、マペット・ボトルと共に庭取の逃亡を阻止しようとした。がワンマンアーミーで思考が遮っていたことで「置き土産」と称した新技「百舌鳥の毒」を口内に侵入させられ、大量の羽毛を吐き苦しみながら転落し岩礁に串刺しにされて討死した。何気に一番えぐい攻撃を食らっている・・・
ゴー・トゥ・ヘヴン
ドクター・フィニッシュと共に最後まで生き残り、自身の作った地雷を踏んで自害する。
最期に「生まれ変わったら学校に行きたい」という思いを語りながら・・・
マペット・ボトル
異能肉を仕留める手として、血液を蒸発させるには触れなければならないためゼロ距離まで接近した。しかし砂粒が直前に施した仙術によって「液体に関する攻撃を防ぐ守り」を彼女の知らぬ間に与えられていた為失敗し、まともに攻撃を食らい倒された。
ドクター・フィニッシュ
実は、最初にドゥデキャプルに変装(特殊整形術)で偽りのルールを戦士側に伝えていたことが明かされる。最後はゴー・トゥ・ヘヴンと共に地雷を踏んで心中した。
作中死亡順番(明記されていなかったりする部分がある為前後する可能性がある)
(開始以前)寝住→(本編開始)失井、憂城→妬良→断罪兄弟→迂々真、必爺→ダブル・マインド、ダンディ・ライオン→ルック・ミー、アイアン・メイ→砂粒、サー・カンサー、フレンド・シープ、バロン・スー→、ウンスン・サジタリ、庭取→スカル・ピョン、マペット・ボトル→怒突、異能肉→ドクター・フィニッシュ、ゴー・トゥ・ヘヴン
戦士側は前作、十二大戦と死亡準が逆となっている。
そして誰もいなくなった・・・・・・
彼らの目的は十二戦士を倒して十二大戦を終わらせること、すなわち「戦争を無くすこと」である。
そして十二戦犯の目論見通り、十二戦士は全滅し、彼らは多大な犠牲を払いながらも見事に勝利、長きに渡る十二大戦の歴史に終止符を打った。
ではなぜ、最後に生き残ったドクター・フィニッシュとゴー・トゥ・ヘヴンは優勝して獲得した「願い」を行使することもなく自害したのか・・・
実はこれはあらかじめ決めていたことで、すべてサー・カンサーによって書かれた筋書きである。
彼らが生き残って何かの間違いで「戦争の英雄」として持て囃されることのないように、そして新たな戦争の火種を生み出さないために、「双方相討ち」という結果を残すことであくまで「下劣な快楽犯による最低の大戦」という体を貫いたのだ。
故に最後に生き残ったドクター・フィニッシュとゴー・トゥ・ヘヴンは「うっかり自分たちの作った武器で死んだ」という滑稽な死に方を選んだのだ。
余談
・異能肉も内心は砂粒が大好きであったようである。
・フレンド・シープは母親の勧めで読モを務めたことがあるが、恥ずかしさのあまりにその雑誌は私財を投入し回収された。
・ルック・ミーの能力で生み出した戦士の寿命はおよそ5分ほどで、それを経過すると霧散して消滅してしまう。そのため彼女はせっかくお腹を痛めて生んだ我が子を抱きしめる間もないまま何人も目の前で喪う現実に心を傷めていた。
・サー・カンサーは蟹を食べるのが上手いらしく、本人曰く「戦争を解きほぐすのと、蟹の身を解きほぐすのは、まったく同じ行為」との事。お前は何を言っているんだ……?
・第八回十二大戦の優勝者である、サー・カンサーが記憶を消した理由の一つして、この時に十二大戦の有力者を割り出すためだったのではないかと思われている。
・ダンディ・ライオンの生来の誕生月は、獅子座ではなかったらしく法改定で無理やり暦を改変したらしい。
・バロン・スーの男装の麗人設定は、フレンド・シープの成り代わりなどがありはっきりしなかった。しかし「ジャンプ+」での対談にて西尾維新氏から「正式に」男装の麗人設定が明言された。
・「性別不明のスカル・ピョンを覗いて男女は1;1になる様に戦犯は制作した」と述べている。
・ゴー・トゥ・ヘヴンの紹介より「ぜんぶ吹っ飛べ。バラバラになれ。人間なんていない方がいい」はっきり言って一番ヤバい。
・マペット・ボトルのレインコートは、耐火性であり安心毛布のように手放せないらしい。幾度の燃え盛る炎の中に飛び込み続けた思い出の品である。
・ドクター・フィニッシュは、ジャンガリアンハムスターとゴールデンハムスターを飼っていたようで名前はアドレナリンとリンパ。
・ドクター・フィニッシュとゴー・トゥ・ヘヴンは怒突の教え子たちである。しかし、今大会にて直接顔を合わせてい両者だが、怒突は2人を覚えているが2人は忘れているようである。
・戦士、戦犯の誕生日は月と日付が同じである
1月1日:妬良、ゴー・トゥ・ヘヴン
2月2日:失井、マペット・ボトル
3月3日:寝住、ドクター・フィニッシュ
4月4日:異能肉、フレンド・シープ
5月5日:怒突、ルック・ミー
6月6日:庭取、ダブル・マインド
7月7日:砂粒、サー・カンサー
8月8日:必爺、ダンディ・ライオン
9月9日:迂々真、アイアン・メイ
10月10日:断罪兄弟:弟(戸籍上)、バロン・スー
11月11日:断罪兄弟:兄(戸籍上)、スカル・ピョン
12月12日:ウンスン・サジタリ (憂城?)
卯の戦士の憂城のみ誕生日が不明である。スカル・ピョンも正確には詳細不明であるため誕生日が本当かはわからない。しかし、戦犯たちの名前の元である十二星座と「月日が同じ」であることから11月でないかと思われる。この事から、残った12月12日が憂城ではないかと予測できる