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オメガバースの編集履歴

2020/09/29 10:48:29 版

編集者:ハラコ

編集内容:語句の修正

オメガバース

おめがばーす

海外(主に英語圏)の二次創作より発祥した特殊設定のこと。狼の群れにおける社会性をモデルとした人間関係または肉体関係の描写を軸とする、特殊嗜好の一種。大きな特徴として「男性の妊娠や出産」を扱う。

🐺概要

海外(主に英語圏)の二次創作ファンフィクション)において、ファンが用いている特殊設定「 Omegaverse 」の日本語表記。

正式名は「 alpha / beta / omega dynamics 」で、Omegaverseは略称である。-verseは英語圏において特定のコミックキャラクターやテレビシリーズ等の架空の世界を表す接尾語。

簡潔に設定を言うと

の群れの階級社会 + 両性具有の要素が合わさった設定 」

オメガバースを採用する作品の大半は、この設定が基本となっている。

作品によっては更にここに若干のケモノ半獣人的要素が付随する場合もある。

見所は

男性同士での性交結婚出産が普通に行われ、発情期というロマンある設定に、その体質に絡むカースト要素やディストピア要素を孕んだ世界観が魅力となり、それでいて設定にかなりの自由を許してくれる創作ハードルの低さが二次創作において重宝されるようになった。

また、オメガ性の設定(後述)の性質上、これが使用される創作では男性妊娠妊夫)要素が主であるものが非常に多いが、BLのみでなくNL百合GL)で使用されることもある。

この辺はOmegaverse記事の方にまとめたのでどうぞ。

🐺特徴的な設定

🐺「第2の性(3種)」と「階級」

オメガバースにおける特徴的な設定として「 男性 / 女性 」の他に、狼の階級呼称に由来する「 アルファ / ベータ / オメガ 」という第2の性、3種類の性別がある。

オメガ性の人間は発情期になると性欲が向上して身体に力が入らなくなり、更にはフェロモンを発して社会的に有能なアルファ性の人間を誘引・興奮させてしまう体質を持っている。これが定期的にまたは不定期に一週間程続くため社会での扱いが悪い。「番」や「抑制剤」と言った回避手段もあるが完全ではない。

よって、

男性女性備考
αアルファ男性アルファ女性支配階級。身体機能・知能が高くなりやすいエリート体質。
βベータ男性ベータ女性中間層。数が一番多い。
Ωオメガ男性オメガ女性下位層。発情期を原因として社会的に冷遇されている。

計6種類の性別が存在しており、それぞれの体質・能力の違いから社会での評価・待遇に歴然とした差別がある「階級社会」となっている。

この中でも太字で記した「アルファ女性」と「オメガ男性」は事実上の両性具有である。低俗な書き方をするなら、「孕ませる優等女」「孕まされる下等男」がいるということだ。

(男女としての機能を失っているわけではないのでアルファ同士の結婚もあり得る。作品によって設定は異なるがアルファ女性はアルファ男性との結婚に憧憬する部分も多い。ただアルファ女性が自ら妊娠する確率がものすごく低いことと、いざ結婚してみるとアルファ同士の為、お互いプライドが高く、マウントの取り合いになる為、アルファ同士の結婚生活は長く続かないとされる。)

🐺設定の背景・由来

元々は海外を中心に洋画海外ドラマ系ジャンル内において広がりを見せていたが、現在は日本でも、ありとあらゆるジャンルで用いられている。

海外ドラマ『スーパーナチュラル』で狼男を題材としたエピソードが放映されたのをきっかけに二次創作が拡大したと言われるが、英語圏では昔からMPreg男性が妊娠出産をするジャンルを指す Male Pregnancy の略)という呼称が存在するため、同種の嗜好はさらに以前から存在していた、とする説もある。

日本の腐女子の間ではオメガバースと設定が似ている商業BL漫画『SEX PISTOLS』のタイトルと設定を借りた「セクピスパロ」がジャンルの通称として定着しかけた時期があったが、オメガバース設定の浸透により、同傾向の特殊設定を指す呼称としてこちらが定着している。

  • ケモノジャンルの浸透具合が背景

海外、特に性描写について厳格なアメリカでは、ある種の逃げ道として「Furry」と呼ばれるケモノジャンルが醸成されており、人型のキャラクターに動物に関する要素が付随する嗜好や設定が多い。

人狼モノ設定のファンタジー創作なども非常にメジャーであるため、オメガバースもなど群れを作る動物の行動や社会を、人間社会に当てはめたもの 」が土台となっている。そのため、キャラクターの身体面にもの要素に合わせた特徴が付随することがある。

件の『スーパーナチュラル』が二次創作を刺激する作風だったこともあり、作中に登場した狼男の設定を、実際のオオカミ社会の構造と絡めて、二次設定「オメガバース」が誕生した――という説が有力とされる。

  • オオカミの群れ

パックと呼ばれるの群れは、一組の繁殖ペア(いわゆる番・つがい)を中心とした家族間で厳格とも言える上下関係が成り立っており、雌雄それぞれの最上位個体を学術的に「アルファ」と呼称している(リーダーという概念とは異なる)。

群れは基本的に家族で構成され、全体で繁殖ペアの子育てを助ける。十分に成長した雄は群れを離れ、雌は群れに残るのが一般的だが、単独での狩りが難しくなる冬季には群れに入る個体が多くなる。群れの中でアルファの座を勝ち取った雄は繁殖の機会を得る機会も増えるため、繁殖期の前には激しい順位争いが起こる。

アルファ以外の個体はアルファに従属するという点では大差ないものの、パックの性質によっては常に順位変動が起こっており、個体間の上下関係が頻繁に入れ替わったりする。呼称としては第2位を「ベータ」とし、以下ギリシャ文字順に呼ばれる。

中でも下位の個体は特に「オメガ」と呼ばれ、未熟な個体(前年に生まれた子どもなど)が位置する。群れで狩った食料にもほとんどありつけず、時には群れの仲間からあからさまにいじめられることもある。群れに残るメリットがなくなった個体は群れを離れて一匹狼となったり、他の群れに加わってマシな順位に付いたり、番を見つけて新たに群れを作ったりする。

🐺詳細解説の前に補足:下記の設定は結構無視して大丈夫👍

下記のような設定はあくまでも主に基本とされているものであり、描き手・書き手によって設定の細部は異なるため、実際のところはこの限りではない。

(オメガ男性が実際に女性器を持つ男ふたなり(男性器+女性器)やカントボーイ(男性の心身に女性器のみ、男性器無し)であったり、アルファ女性が陰核を陰茎状にせずとも鳥類の交尾のように穴同士をすり合わせる行為からの射精で相手を妊娠させたりする等)

オメガバースは作者によって様々な設定が存在する、非常に自由な世界である。

より詳しくは外部リンクのサイトを参照されたい。

🐺アルファ性 (Alpha)

数が少なく、生まれつきエリートでリーダー的、ボス的な気質を持ち、社会的地位や職業的地位の高い者が多い。総攻めであり、特にオメガ性に対しては絶対的な攻め手である。強引で支配的だが、作品によっては「持てる者の苦悩」も受け持っており、傷つきやすいところもある面倒なやつら。

発情中のオメガとの接触は、どんなに理性的なアルファであっても抗しきれない強烈な発情状態を引き起こし、時に暴力的なまでの性交に及ぶこともあるため、この性質を嫌悪するアルファもいる。なお、オメガの発情抑制薬に相当するものが存在しないため、一度発情したアルファを、同じく発情しているオメガが止めるのはほとんど不可能。

狼の要素がより多い設定の場合、鋭い牙を持つなど身体面に関しても動物的要素が多く含まれ、亜人もしくは半獣人と呼べるものとなっている。

🐺アルファ性の性器に関する特殊設定

アルファ女性 (Alpha Female, AF)

勃起すると陰茎状にまで変化するクリトリスと精巣があり、他の女性やオメガ男性を妊娠させることが出来る。

  • アルファ男性 (Alpha Male, AM)

狼の要素が強い設定だと、男性器の根元に亀頭球のような器官がある。

亀頭球(Bulbus Glandis, 俗称 Knot)とは犬科の性器の根元にある器官で、交尾中に拳大の瘤に腫れあがり、射精が終わるまで抜けなくなることで受精の成功率が上がる。なお犬科動物の射精は非常に長く、10~30分ほど続く。更に詳しくは該当記事を参照のこと。

こういった「性交における動物的な要素」は特にFurryグループ(ケモナー)の人が使用することが多いと言われている。

この場合、性器全体の形状もケモチン(完全に動物の性器として描かれる)であったり、あくまで犬科の要素は亀頭球のみで他の形状はヒトチン(人間の性器基準)であったりするなど、作者の好みによって描写には差異がある。

🐺ベータ性 (Beta)

最も人口が多く、身体的特徴や行動等も一般的な普通の人間と変わらず、発情期も存在しない。

オメガ性の発情に誘惑されることもあるが、アルファ性ほどの激しい反応は起こらず、自制も可能。中にはオメガ性のフェロモンがまったく効かない設定も存在し、そこでのベータ性からすれば発情オメガは「体調が悪そう」くらいにしか見えない。

ベータ性同士の子供は高確率でベータ性となる……が、裏を返せば稀にアルファ性やオメガ性が生まれることもある。子供の時はβとされていたが年齢を重ねたら急にΩ(α)の体質に、といった場合もある。ベータ性同士で結婚することが当たり前になっているが、ベータ男性がオメガ男性(または女性)と交際したり結婚する作品も存在する。

🐺オメガ性 (Omega)

数はアルファ性よりも少なく、絶滅危惧種のように扱われることもしばしばある。呼称の由来の通り、社会的には冷遇される除け者として描かれることが多い。

一部では通常よりも体格が小さいという設定もあるが、必ずしもそうとは限らず、いかなる容姿、体格であろうとオメガ性になりうる。

10代後半から「ヒート (発情期)」が現れるようになり、当人の意思に関係なく、約3ヶ月に1度の頻度で、1週間ほど強いフェロモンを撒き散らすようになる。手近なアルファやベータに見境なく欲情してしまうため、外出もままならなくなる。総受け

現実において女性が被ってきた諸々の性的なリスク、社会的な不利益のメタファーとして見る向きもある。

🐺発情期(ヒート)について

ヒート(heat)と呼ばれる発情期が巡ってきたオメガ性はほぼ一週間、発情と繁殖以外に何もできなくなるくらいの脱力感や性欲の増進などに悩まされる。更には番のいないフリーのアルファ(時にはベータ性)を性別問わず強く惹き付けるフェロモンを発する。

アルファ性との「番(つがい)」が成立することで発情が変質し、フェロモンを放出しなくなる、またはヒートそのものが収まる場合もある。

オメガバース世界でオメガ性が低い地位にいるのは主にこの体質によるもの。(下記)

🐺抑制剤

発情期を抑制剤などで物理的に抑え込もうとするオメガ性も存在し、中には発情期を隠してベータ性として振る舞う者もいる。しかし、抑制剤自体も副作用があったり、品質や本人との相性で効きが悪く完全には抑えれない等の不完全なものが多い。

また、日本ではあまり見かけないが、この抑制剤に保険が適用されておらず高額の薬代が掛かるためアルファに屈するオメガや、お金の無い番のアルファから資産家のアルファに鞍替えするオメガ等の設定もある。

また、抑制剤と避妊薬は別であり、抑制剤を使用していても避妊をしなければ、発情期中のオメガ性が性交した場合妊娠する可能性がある。もちろん最初から避妊薬が配合されている抑制剤も存在すれば、アフターピルのような性交後の避妊対策がある場合もある。

🐺ネスティング(巣作り)

nesting = 巣づくりという習性が設定されていることもあり、好意を抱く相手や、番となったアルファの私物を無意識にかき集めてしまうことで、フェロモンと同等のアピールとする。ヒートとの組み合わせによっては、「抑制剤で発情は抑えているけれど、うっかりネスティングで好きな相手にオメガだとバレてしまった」なんてことも出来る。

🐺オメガ性の性器に関する特殊設定

🐺オメガ女性(Omega Female, OF)

女性ホルモンが通常よりも多く、ベータ女性やアルファ女性よりも卵巣が大きい。

胸や臀部なども平均以上に大きいとされる。そのためいわゆる安産型の体型をしていると思われる。

🐺オメガ男性(Omega Male, OM)

膣や子宮はないものの、直腸の奥に子宮と同じ機能を持つ生殖器があるため、発情期にはアルファ・ベータ男性やアルファ女性と性交し妊娠することが出来る。発情中のオメガ男性は肛門から膣分泌液のような粘液が出る。

またオメガ男性の男性器はアルファ男性やベータ男性のそれよりも小さく、設定によってはそもそも睾丸精巣が存在しないこともある。そのため生殖に関してはほぼ産む側に徹しており、種側になることは出来ないとされる。

🐺オメガ性の冷遇

オメガ性の特性上、発情期になると周囲とのトラブルを引き起こし、本人もまともな労働力として使えなくなることから、繁殖(主に産む側)に関することのみが仕事とされていた歴史がある。

そのため現代社会においての社会的地位でも最も低いカーストにあり、「優しくか弱い家庭的な性」として扱われながら冷遇され蔑まれることも多い。

実際にオメガ性が自立するにも就職先が制限されることが多く、低賃金労働に就いたり、その体質を活かした仕事などに従事することがある。たとえまともな仕事に就けても結局は発情期が足を引っ張り、職場内で冷遇・腫れ物扱いされ、それでも仕事を続けると上司に身売りしている噂を流されたり…………など。

これも元ネタであるの群れにおいて、最下層のオメガ個体は主に群れ全体のストレスを軽減するという役割を持つためと思われる。

差別描写については重く激しい差別というわけではなく、他の性に比べると若干仕事に就きにくい程度や、先進国における女性蔑視程度ということも少なくない。

中には冷遇とは全く逆で、希少種として大切にされている設定であることもある。それはそれで逆に家の奥で軟禁され、親が決めた相手と結婚するといった自由ない人生になる。

🐺アルファとオメガの特別な繋がり「番」

アルファとオメガの間にのみ発生する特別な繋がりを「番(つがい)」と呼ぶ。

フリーのオメガはフェロモンを発してフリーのアルファを誘い、番になったオメガは以後フェロモンを発さなくなる。番になる基準は運命的なものであったり、性行為の際にアルファがオメガのフェロモン分泌腺があるうなじや喉元を噛むことでフェロモンが変質し、番になったことが周囲にも判別できるようになる等々、設定は様々。

なお、ベータとオメガで繁殖は出来るが、番関係にはならないと言われる。

この番は本能的なもので、通常の恋人関係や婚姻関係よりも強いものとされ、一旦番になるとどちらかが死ぬまで解除されないと言われる。生理的にも他の相手との性交がしにくくなる側面があり、以後は番とのみ行為に及ぶようになる。

しかしアルファの個体によっては、オメガ側が一方的に番を解除され引き剥がされる場合もある。この状態のオメガは非常に強い精神的ストレスを負い、以後は番を作れなくなってしまう。一方で発情期が再発するため、二度と番を得られないまま発情期を抱えた一生を送ることになる。

🐺注意事項

女体化などと同じく、好き嫌いが分かれる特殊設定である。

身体的にふたなり的な要素を含む点、

キャラクターの容貌が著しく変わる獣化に近い要素を含む点、

現実社会の少数者差別や、性差別を想起させる差別問題、

階級社会など、人により意見が分かれる社会問題的な要素を含む点、

すべての作品の設定にこれらが共通するわけではないが、どれも生理的ないし文化的嫌悪感を引き起こしやすい設定である (この手の描写に免疫を持っていなければなおのこと)。

二次創作の場合は特に、タグ付けや注意書きを徹底して、節度ある棲み分けを行うことが望ましい。

現状として、「厳然とした階級社会があり、それに抗う術がない」という設定がpixivを含む日本語の作品には多く、それに対する批判もある。しかし、オメガバース設定の発祥である英語圏では、差別的な社会を描くことで、現実の性差別や階級差別に問題提起する意味合いを持つ作品も少なくない(Political Ficやディストピア小説などの要素を含むもの)。

社会への問題意識を持っていて、それを表現したい、あるいはもっと単純にディストピア萌えがあるのなら、そういった切り口でオメガバースを扱うのもいいだろう。

多様な設定こそが醍醐味でもあるオメガバースにおいて、あなたの作品が、オメガバースのひとつのスタンダードになるかもしれないのだから。

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外部リンク

日本語

日本語での詳細な解説(個人blog)

海外fanficでしばしばみかける設定など

疑義と批判的見解の例(個人blog)

英語

fanfiction(二次創作)のための用語解説wikiの記事。歴史や概略など。

※リンク先成人向けのため注意

有志によってまとめられた設定、世界観、用語等についての詳細な解説

上記AO3内の記事の日本語訳(原文投稿者許可済)※こちらは全年齢

※生殖器の図解画像があるため閲覧注意

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