「君は愚かだね… けど…」
「良い人間だ 俺は好きだよ」
概要
黒の暴牛の副団長にして、複数もの悪魔を従える『悪魔憑き』の魔法騎士である。
魔法属性は『影』。ナハト自身が触れているモノを影から影へと移動できる。
スペード王国への潜入時にも使われ、スペード王国の兵士に見つかり交戦した時も、一瞬で姿を消し不意に襲って影の中に敵を引き込む事も出来る。
※以下、単行本未収録につき、ネタバレ注意。
「見た目の悪い奴や過去に悪い行いをした奴が、良い行いをしてそのギャップで好感度が上がる…みたいなのがオレは嫌いなんだよ」
「始めからずっと良い人間が一番偉い」
黒髪に長い髪をポニーテールで束ねた髪型が特徴の青年。
常に笑みを絶やさず優男の印象を受けるが、それに反し性格は非常に厳格で時折目を開く事があり、その眼光の鋭さはアスタもビビらせている他、善悪関係なく無法者への評価は厳しくヤミの事は団長であるにも関わらず「ロクデナシ」と厳しく思いつつも、心から嫌っているわけではない(昔は険悪な仲ではなかったように思える描写がある)。
一応は黒の暴牛の古参メンバーだが、ほとんどアジトに姿を見せないばかりか足を踏み入れもしていなかった。そのため、他の団員はおろか、各団長を含むほとんどの魔法騎士は彼の存在を知らなかった(ちなみに彼自身は自分の所属には別段興味はなく、本人曰く「魔法騎士として動ければ何でもいい。副団長ともなれば自由に色々出来て便利」との事)。
その理由は、スペード王国に潜入捜査をして、王国打倒の手がかりやクリフォトの樹に関する内容を中心に情報収集していたからである(ちなみに完全に余談だが、彼がゴーシュを「没落貴族」、マグナやゾラを「下民」と呼んで罵っている描写があることから、彼も元々は良家の生まれで、バレずに中枢まで行き着けたのは旧王政派と繋がっていたからなのではないかと推測される)。
魔法帝もそんな彼の存在と事情は把握していたが、彼が悪魔憑きになっていたことに関しては、自分達の前に再び現れるまで知らなかった。
また、ジャックは彼と少なからず面識があったようである。
死闘の果てについにダンテを撃破したアスタとヤミだったが、乱入してきたゼノンによってヤミが拉致されてしまい、重傷を負って助けに行くことすらかなわず自分の弱さを嘆くアスタの下に突如として現れた。
アスタの事を色々と言いつつも、「良い人間だ」と認め、「ヤミを救いたいならば、悪魔の力の使い方を教える」と話を持ち掛けた。
後日、ヤミとヴァンジャンスが欠けた団長会議(ヴァンジャンスの代理でユノが出席)に突如として現れ、異を唱える者に複数の悪魔を呼び黙らせ、長期に渡ってスペード王国に潜入して集めた情報を各団の団長達に情報提供し、冥域の魔法騎士であるアスタこそが「悪魔を倒す鍵」であると信じ、彼を短期間で必ず最強にすると宣言。
野心はあまり見られず、依然として素性も知れず、まだまだ掴み所のない人物であるが、漆黒の三極性(ダークトライアド)を始めとする私利私欲のために平気で他者を傷つけ陥れようとする輩の存在を決して許さず、「神が赦しても悪魔が赦してもオレが赦さない」と言い切る辺り、意外と情に熱い面も。
またリアリストの一面もあり、同じ団員達に対しても「ちゃんとしてないヤツらが嫌い」と一切の妥協を許さず、黒の暴牛の現状を理解した上でこれまでの個性の全否定とも言わんばかりにそれぞれの短所を淡々と指摘。グレイから見た目で判断しないで欲しいと反論されても、「見た目で判断されたくなければ、そういう見た目をするなよ」と極めて冷静に正論で返している。
但し、彼の言い分を要約すると、そもそも魔法騎士団としての職務をまともにこなしてないのに都合良く良い面や些細な功績だけを評価してもらおうと言うのは甘すぎるということであり、まともに現場に出ずにアジトで食っちゃ寝生活してばかりで、給料泥棒扱いされるのも無理はないような時期もあったため、言葉だけでなく悪い意味で行動で証明している点も忘れてはならない。
逆にアスタは、多少礼儀作法が解ってない面はあるものの、基本的には品行方正かつ真面目で率先して仕事に励んでおり、悪魔抜きでナハトの言葉を実践している。
また、ナハトは主観で人を称する際に『好き』『嫌い』、『良い』『悪い』をよく使っており、善悪や正義の価値観がハッキリしているようである。
上記のセリフの通り仲間内には厳しい一方、決して弱肉強食に溺れた実力主義者ではなく、正義感や真面目な性根が行き過ぎているだけで善行を常にできるもしくは努力していける人間に敬意を持てる等、魔法騎士としても人間としても、「副団長」の肩書きに恥じない優れた人格者であるのは間違いないだろう。