概要
タカラより1995年にスーパーファミコン用ソフトとして発売された、同機のソフトでは24Mと大容量である現代を舞台としたロールプレイングゲームで、正式名称は『魔天伝説~戦慄のオーパーツ~』である。
美術設定およびモンスターデザインや、モデルアニメーションで表現されたボスの造形物作成は韮沢靖氏、パッケージイラストおよび登場人物デザインは寺田克也氏が担当。
当時はまだカルト的な作家であった両名のイラストや造形物を画像取込みした美麗なグラフィックは、それ目当てのファンにはたまらない作品であった。(当初は韮沢単独の依頼であったが、人物デザインもたくさんしなければならなかったので寺田が誘われた)
韮沢ファンだったら思い当たる拘りがあるキャラネーミングや、敵ごとに設定されている固有攻撃時の台詞も見所である。
ゲームとしては廃墟と化した日本を舞台に2Dフィールドを移動して、3Dダンジョンを探索、ボスを倒したら次の地域へ移動するという進行が『真・女神転生』とよく比較される。
さらに武器屋や宿屋などの施設は存在せず、敵を倒すと手に入るエネルギーを消費し、武器や道具を自己作成しつつ自身の能力を強化するという、これまた文明崩壊後の世界を舞台とした『ラストハルマゲドン』を思わせるシステムでもある。
ただしそれらの作品と比べると、マップ構成や戦闘バランス全般が大味であることは否めない。
またBGMはハードロック調と思いきや、同一のモチーフのアレンジによる静かでスローテンポな曲が多いため、見た目とのギャップもあった(終盤はおどろおどろしい曲調に)。
あらすじ
突然襲来した不気味な仮面の存在により、母なる大地・地球から宇宙空間に引き離され、宇宙の孤児となった日本列島。
廃墟となった東京で呆然とする主人公の元に、一人の女性から「この事態を救えるのはあなただけ」というメッセージが届く。
さらに日本各地を徘徊するようになった怪物たちには、主人公が創り出せる武器やその女性の超能力しか効かないことが解る。
あなたは日本各地を訪れて手に入れたオーパーツで謎を解き、このオカルト的な存在にあふれた日本列島を救うことができるのであろうか。
余談
- 主人公は寺田デザインの木、火、土、金、水の各属性を持つ5名の中から選び、パートナーとなる女性もその属性に対応した人物となる。
- 日本列島は黒幕によって時空が乱れており、過去や未来、もしくはIFの世界となった各地域を巡ることになり、それぞれの地域ごとに括りがある特徴的なモンスターと戦っていく。
- 東京:秋葉原からスタートし地下鉄線路を通り新宿に行くのが目的。序盤はゲイビーやディバン、ペーパーレスなどの住人をカリカチュアしたモンスターが出現する。
- 広島:ヒバゴンを仲間にして巨大昆虫や虫人が巣くっている帝釈峡白雲洞を探索する。
- 京都:怪しい霧の中、百鬼夜行や山海経の妖怪、サーカスのパレードのような怪物が徘徊しており、各地に封印されていた鬼のパーツが解放されて、琵琶湖のピラミッド島で一体化し復活する。
- 長野:真田十勇士の末裔が、巨大植物や食人植物と戦っている。
- 四国:動く石像や鉱物の怪物が守護する巨大な石造りの古代遺跡となり、住人は石版に封印されて苦しんでいる。
- 九州:平和的な恐竜人間が暮らしており、邪悪な呪術師が操る邪進化した邪恐竜やエンジン原人によって荒らされている。
- 秋田:十和田湖畔に土偶や埴輪の怪物が出現する。
- 富士:樹海で徳川家康率いる東軍と、落ち武者などの怨霊の軍勢が戦っている。
- 北海道:ナスカの地上絵の地下には未来都市が広がり、その科学技術でついに怪物に対抗できる武器も開発したが、各種攻撃に耐性がある抽象的な姿のインベーダーやエイリアンアニマルには劣勢である。
- ???:最終決戦の舞台で、異星の技術で製造された異形のロボットが防衛している。
- イベントで仲間になるモンスターが何体かおり、2体までを戦闘に参加さえることができるので一緒に戦っていく。
- 韮沢キャラのギロチーナは本作の仲間として登場したのが初出である。まだキャラ付けされておらず無口で人語は話さなかった。
- 発売に先行し『ホビージャパン』誌での韮沢氏の連載「クリーチャーコア」で、本作のボスの造形物が紹介された。
- なお韮沢氏は駆け出し時代、オカルト雑誌のイラストカットも担当していた。