概要
金田一少年が解決した事件の一つで、ノベルスシリーズ第四弾。
派手な前作とは作風が一転し、狭く深く掘り下げた「シンプルイズベスト」な作風になっている(舞台は無駄に広く、容疑者候補は無駄に多いのだが)。犯人とあるトリックのインパクトが凄い。
犯人は所謂「能条タイプ」なのだが、ある理由でミスリードが激しく、二重オチのような印象になっている。
あらすじ
南房総沖にある小島・不知火島で、医大を目指す学生のために開かれる「不動ヒポクラテスセミナー(FHS)」に、アルバイトに来た一と美雪。
その島は、鬼火が見える怪談があることから、「鬼火島」と呼ばれていた。
元サナトリウムだった「栄光寮」恒例の肝試しに参加することになった一たち。
午前零時になると共に、名前の不吉さから空き部屋にされている「百日紅(さるすべり)の間」の鍵穴から部屋を覗くと、受講生の一人・森村圭一が入院着を着た何者かに、首を吊るされる姿が目撃される。
しかし、鍵を開けて中に入ってみると、犯人はおろか死体すらも忽然と消えてしまっていた。
やがて、密室内で首吊り死体が発見される形で、第二の殺人、第三の殺人が起きる。
被害者はすべて、現在植物人間になっている海老沢邦明の苛めに参加していた連中だった。
はたして真犯人「午前零時の悪霊」とは何者なのか。入院着を着た犯人と、一が島に来る際に病院で見せられた少年・海老沢邦明の関係は一体…?
登場人物
メインキャラクター
ゲストキャラクター
- 塚原伝造(CV:西川幾雄/演:品川徹)栄光寮の寮長。
- 川崎洋三(CV:堀内賢雄/演:布施博)FHSの数学講師にして不動総合病院の医師。
- 森村圭一(CV:鈴木琢磨/演:前野朋哉)FHSの受講生で、嫌味な性格の高校三年生。
- 加藤賢太郎(CV:浪川大輔/演:千葉雄大)FHSの受講生で、森村にいつもくっついている高校三年生。
- 椎名真木男(CV:柏倉つとむ/演:増田貴久)FHSの受講生で、弱気な性格の高校三年生。
- 新谷百合(CV:矢島晶子/演:森口瑤子) 栄光寮のコック。
- 太田綾(CV:川崎恵理子)FHSの受講生。ツンケンした態度で振舞う高校三年生。
- 白石美穂(CV:永野愛/演:大野いと)FHSの受講生。オカルト好きな高校三年生。
- 花村麻美(CV:長沢直美)FHSの英語講師。
- 大野公平(CV:堀川亮) 栄光寮のアルバイトスタッフで元FHS受講生の医大生。
- 川島豊(CV:草尾毅/演:桐山漣)FHSの受講生。かなり馴れ馴れしく気さくな性格の高校三年生。
- 富永純矢 FHSの受講生。無口で大人しいコミュ障の高校三年生。アニメ版・ドラマ版には未登場。
- 海老沢邦明(CV:なし/演:間宮祥太朗)元FHSの受講生。植物状態になっており病院で入院中。
アニメ版
苛め描写と殺人描写がかなり抑えられたことと、映像化によって舞台の規模の大きさと話の規模の小ささのギャップが目に見えるようになったことにより、原作以上にミスリードとシリアスな笑いが増している。
よく分からないシーンで切れる某キャラ♂、某キャラ♀が大胆な行動に出るオリジナルエピソード、格好いいカットが増えている犯人(原作では挿絵が少なかった)など、見所が盛り沢山である(金田一の「スマイルスマイル」発言など、他の東映作品のパロディも目立つ気がする)。
ただし、映像が中心でグロが抑えられている為、犯人を初めとした登場人物の設定が控え目になっている。
ドラマ版
登場人物の人数がかなり抑えられ(犯人と犯人の関係者を除き、原作で人気が高かった人物を中心に大幅カットされた)、犯人と舞台の設定がより詳しくなった。
備考
- 『首吊り学園殺人事件』と同様に予備校と苛めと首吊りがテーマの事件だが、作風は異なり、復讐よりも苛められっ子同士の友情がテーマになっている。
- 各キャラの部屋割りに植物の名前のドアプレートが使われているが、作中でトリックに使われたのは○つだけであり、エピローグの花言葉に使われたのはドアプレートにない花であった。
- 『電脳山荘殺人事件』の次の事件らしく、川島豊のあだ名が「ユウタ」である。
- 富永純矢くんはアニメにもドラマにも出れずに不憫。『邪宗館殺人事件』では別の純矢くんの出番が増えている。
- 『殺戮のディープブルー』のTVCMに某人物が登場した(他の人物は全員原作漫画版)。
関連タグ
受験生 医大生 苛め/いぢめ 謎の白い粉 推理小説 ブロマンス
KINDAICHI…この事件のトリックが取り上げられた。
剣持警部の殺人…オマージュ的な事件。
電脳山荘殺人事件 → 鬼火島殺人事件 → 上海魚人伝説殺人事件