燃えよ、アフリカン拳(カンフー)!
-ポスターのキャッチコピーより-
独裁者たちをカンフーでぶっ飛ばせ!
-予告編ナレーションより-
概要
「アフリカン・カンフー・ナチス」(英:African Kung Fu Nazis)とは、ガーナのB級映画。
脚本は日本在住のドイツ人映像作家、セバスチャン・スタイン。監督は「ガーナのジョージ・ルーカス」の異名を持つサミュエル・K・ンカンサ(通称ニンジャマン)が担当した。
その内容と作中でのパワーワード連発などで、Twitterなどで一大旋風を巻き起こした。
略称は「アフカン」や「カンナチ」など。
ファンのことは「名誉ガーナアーリア人」と呼称する。
あらすじ
1945年、第二次大戦に敗れ、死んだはずのドイツ第三帝国総統アドルフ・ヒトラーと大日本帝国首相東条英機。
しかし、彼らは秘密裏に潜水艦でガーナに亡命。呪いの込められた「血染めの党旗」とカラテの力でガーナの人々を洗脳し、忠実なしもべ「ガーナアーリア人」に仕立て上げていた。
通っていた道場をナチスに壊滅させられ、彼女もヒトラーに寝取られた青年アデーは、洗脳されたガーナの人々を救うべく、ヒトラーの開催する「天下一武道会」に参加する・・・・
登場人物
影蛇拳道場/反ナチス陣営
アデー(演:エリーシャ・オキエレ)
カンフーを学ぶガーナ人の青年。通っていた道場をナチスに襲撃され、師匠はナチスに殺され、彼女は寝取られた。
その復讐を果たすべく、ヒトラー主催の「天下一武道会」に挑む。
ナチスによる道場襲撃の際、東條英機に右手の小指と薬指をケジメされている。
アデーの師匠(Shadow Snake Master)(演:アンドリュース・メンサー)
アデーの通う道場でカンフー「影蛇拳」を教えていた男性。道場がナチスに襲撃された際に殺害される。
その後、生前から乗りたがっていたトヨタ車を模した棺に納められ、葬られた。
アカンテ(演:ウォーカー・ベントル・ボアテング)
アデーと同じ道場に通うカンフー使い。
道場の中でも一二を争う実力者。
アデーと同じく天下一武道会に参加するが、あろうことかアデーと対戦することになってしまう。
マスター・ペテブシ
いつも路上で酔いつぶれている飲んだくれ。しかし、その正体は密造酒を飲んで酩酊して戦う酔拳、「月輝拳」の達人。
道場瓦解後にアデーの師匠となったうちの一人。
腰には酒の入った瓢箪を吊るしている。
ペテブシとは、ガーナの酒の一種。
アデーに酔拳を教えるものの、自分の酔拳ではゲーリングの鋼輪拳には敵わないと言い、さらに別の技を身に着けるように勧めた。
三本指のジョー
道場が瓦解したのち、アデーの師匠となった一人。三本指拳法の達人。
アデーに三本指拳法を伝授する。
常に大声で笑っており、アデーに対し「(指を)めためたに切ってやるよ」と言うなどエキセントリックな言動が特徴。
なお、彼を演じた方は撮影後、喧嘩がもとで銃殺されている。ご冥福をお祈りいたします。
巫女
ガーナ人の巫女。アデーが血染めの党旗に惑わされぬよう、聖霊を授ける。ちなみに、日本語字幕では、呪文は「あほんだらしばくぞ~」と繰り返し唱えていることになっている。
聖霊
巫女からアデーに授けられた聖霊。日本語字幕が関西弁なので、とても物騒なことを言っているように見える。
「やったらんかい!旗を焼いてしまうんや~!」とアデーに血染めの党旗を焼くように言う。
ナチス陣営
アドルフ・ヒトラー(演:セバスチャン・スタイン)
作中では東条英機とともに潜水艦でガーナに亡命。この地で侵略活動を開始した。
胸に卍が書かれている。
東條英機(演:秋元義人)
大日本帝国陸軍大将、第40代内閣総理大臣。史実では1948年に絞首刑に処されている。
作中ではヒトラーとともにガーナに亡命。カラテの力でガーナの人々を洗脳する。
攻撃するときは拳が光る。
演じるのは、セバスチャン氏の友人、秋元義人 氏。
本職は「秋元サービス社(A.S.S)」という便利屋で撮影当時は府中、現在は相模原を拠点に活動している。俳優ではないが「何でも屋」だからという理由で出演を決めた。
秋元サービス社CM(セバスチャン監督も出演)
ヘルマン・ゲーリング(演:マルスエル・ホッペ)
ドイツ第三帝国航空大臣、ドイツ空軍国家元帥。ヒトラーの側近。
第二次世界大戦終結時には職を解任されていたはずであるが、なぜかついてきている。
演者の関係でガーナ人が演じている。また、演者はドイツ語が話せなかったため、ドイツ語っぽい言葉を話しているらしい。
「鋼輪拳」の使い手であり、圧倒的な強さを誇る。
作中では「ホースマン・ゲーリング」や「ライスマスター・ゲイリン」と表記される場合もある。
アドンコマン
作中至る所に登場するモブキャラ。もとは撮影中に現れたアドンコ(後述)の宣伝マン。大口スポンサーになってくれたため、登場することになったらしい。
天下一武道会でゲーリングの隣に座っていたり、ヒトラーたちと怪しげに内緒話をしていたりするが、物語の本筋には全く関係ない。
ゲーリング役が度々撮影をボイコットしたため、登場シーンが大幅に増えた。
メイキング映像によると、「かなり酔った頃に、満場一致で」出演が決まったらしい。
アドンコマンの出演している現地のCMはこちら。↓
その他
エヴァ(演:ンケチ・チネドゥ)
アデーの彼女。定職に就かずカンフーの夢ばかり追い求めるアデーにうんざりしてきている。
その後、東條英機に(ナニを見せつけられた後)連れ去られて洗脳。ヒトラーの愛人「エヴァ・ブラウン黒人ver」にされてしまう。
大きな黒人の女の子(演:アマンダ・アチアー)
天下一武道会の参加者。実際に「大きな黒人の女の子」という役名であり、行司の東條からもしっかり「大きな黒人の女の子」と呼ばれている。
天下一武道会ではモンゴリアンと対戦。激闘を繰り広げた。
勝利した後に名前を呼ばれたときは、東條がど忘れしたのか「さっきの黒人の女の子」と呼ばれていた。
朝堂院大覚
エンドロールにしか出てこない謎のおっさん。「日本最後のフィクサー」とも呼ばれている。
スタイン監督の友人である縁で出演することとなった。
本編に登場していないのは、朝堂院氏がテロリスト扱いでパスポートが無効になっており、ガーナに渡航できなかったから。
ちなみに、ガーナのクフォー元大統領と知り合いだったらしい。
作中用語
血染めの党旗
呪いの力が込められてるとされる旗。
旭日旗(海軍仕様の日の丸が偏ったもの)の日の丸部分に「卍」(ハーケンクロイツではない)が染め抜かれている。
人間を洗脳できるらしく、ヒトラーたちはこれを用いてガーナの人々を洗脳。「ガーナアーリア人」にしていた。
また、これを燃やすことによって洗脳を解き、ガーナアーリア人を元に戻すことができる。
ガーナアーリア人
ガーナの人々が洗脳された後の姿。
顔は白粉で白塗りにされ、ヒトラーたちの命令に従う。
作中では至る所で見ることができる。
血染めの党旗を燃やすことによって洗脳を解くことができる。
アドンコ
ガーナの伝統的な薬酒。とてもアルコール度数が高いらしい。(40度ほど)
作中でも至る所に登場し、道場が瓦解した後、アデーにカンフーを教えた酔拳の達人は、常に腰にアドンコを入れた瓢箪をつるしている。
ヒトラーと東條によると、味については次の通り。
アドンコビターズ:薬みたいな味。甘くないイエーガーマイスター。
アドンコジンジャー:ビターズにショウガの辛さを足した感じ。
どちらかというと、薬酒に近いようである。
体には絶対いい味だとのこと。
2020年2月に行われた試写会では、視聴者全員にこれが振舞われた。
ちなみに、アドンコ先進国のガーナには、消毒液「アドンコ・オリジナル・ハンドサニタイザー」や、エナジードリンク「アドンコ・ネクストレベル」も存在する
天下一武道会
ガーナでヒトラーと東條英機が開催した格闘技大会。某アニメとは関係ない。
世界中から集まった最強の格闘家たちが互いに戦い、勝者を決めるトーナメント方式。
負けた者には死あるのみの無情な武道会であり、勝者は敗者に自らとどめを刺さなければならない。
見どころ
ガーナ人俳優のアクション
こちらの映像を見てもわかるとおり、この映画に出演したガーナ人俳優たちは、素晴らしいアクションシーンを演じている。
しかも、彼らは専門のトレーナーなどがいるわけではなく、カンフー映画の見よう見まねでここまで動けるようになったというのだから驚きだ。
ガーナの生活、風習
予告編等でも見られる「ヒトラーに殺害された師匠をトヨタ車を模した棺で葬る」シーン。
これは、ガーナで見られる「Fantasy Coffin」と呼ばれる習慣であり、故人の生前に縁のあるものや、生前から所望していたものをモデルとし、オーダーメイドされるものである。
また、東條英機が「テンノーへのシノギ」を集めるシーンは、実際にクマシの市場で撮影されており、日本では見られないような品物が並んでいる様子を目にすることができる。
ちなみに、ガーナでは「フフと米とブッシュミートのケツの穴を食べる」とか・・・
hoi2 Mod
Twitterユーザーの横山少佐氏によって、公式公認のhoi2 Modが製作されている。
1933年からのスタートとなっており、公式より提供された画像や音楽などを多く使用したものとなっている。
現在鋭意製作中とのことで、完成と公開が期待される。
そして、日本での劇場公開初日を控えた2021年6月11日、満を持して公開された。
日本での配給
内容が内容なので、日本の配給会社からは配給を拒否されている。
ただし、2020年12月23日からアマゾンプライムで配信される予定なので、気になる方はそちらを覗いてみることをお勧めする。
レンタル200円、購入1000円。
そしてとうとう、2021年のエイプリルフールに、劇場公開が報じられた。
これを受け、Twitterユーザーたちは大喜びしている。アドンコで乾杯だ!
余談
- 2020年2月に行われた試写会では、先述したようにガーナの酒「アドンコ」が振舞われている。製作者曰く「この映画は素面で見てはいけない」らしい。
- 脚本を書いたセバスチャン・スタイン氏によると、この映画は前日に深酒をし過ぎ、二日酔い状態のときに頭に浮かんだ「アフリカ」「カンフー」「ナチス」の三つのワードから発想したそうだ。わけがわからないよ
- 撮影のために借りていた会場で撮影していたところ、キリスト教徒のオーナーにブードゥー魔術をしていると思われて追い出されたらしい。アデーとゲーリング・東條英機との最終決戦の会場が屋外なのはこのため。
- 撮影中に近所の住民に警察を呼ばれ、撮影に使っていたプロップガン(偽物の銃)を警察に本物と間違えられ、セバスチャン監督とニンジャマンたち撮影クルー一行が逮捕されかけた。ちなみに、プロデューサーのダニー・ボーイは警察にアドンコを勧めていた。
- 同じ枢軸国として戦ったイタリアは、第二次世界大戦でポンコツ過ぎたので入れてもらえなかった。ヒドイ!
- 2020年12月20日に行われた先行オンライン上映会に現れた東條役のヨシト氏は、前日に町田の酒場で暴れて肋骨を折り、出禁になった足での登壇であったため、トーク中に爆睡する姿がしばしば見受けられた。
- なぜか一日中ピントが合わないカメラマン(ガーナスタッフ)のせいで、後日スタインはガーナの風景として、グアムの素材を挿入せざるをえなくなった。
- 大きな黒人の女の子役のアマンダ氏が、兄弟の結婚式に「アフリカン・カンフー・ナチス」一行を映画の衣装を着用の上で招待したことがある。この時、ガーナの民族衣装に身を包んだ首長の横でヒトラーと東條が踊り狂うというとてもカオスな空間が出来上がっていた。
- ニンジャマン監督作品は以前より度々話題になっており、「2016(2011年)」はそのトンデモさからアメリカのトークショーで取り上げられたり、日本でもネット記事が作成されているほど。また同監督の「B-14(2012年)」はグロテスク系の検索してはいけない言葉として検索してはいけない言葉wikiにまとめられている。そして何とデビルメイクライも2012年に実写化をしている。クォリティーはお察しください。
「2016」トレイラー
「B-14」トレイラー
ガーナ版マトリックス
「デビルメイクライ」
デビルメイクライってなんだっけ?
- 上記の動画に対して、公式Twitterアカウントが「早速セバスチャン監督にこの動画を見せたところ、『次回作でこのシーンをやろうよ』と言ってました!! おっぱいぷるんぷるん(中略)いや〜、大作どうもありがとうございました!!細かいネタまでいろいろ拾っていただき、おかげさまで腹抱えて笑う新年初日となりました」と反応している。どうした公式
- また、ファン有志によって、ボイスロイドの解説動画も制作された。(ネタバレ注意)
- ついでに言うと、Twitterにアップされた二次創作作品はのほとんどが公式巡回済みであり、中には公式公認のものまである。
- アマゾンプライムでの公開後、日本で売っていないアドンコを飲みたい名誉ガーナアーリア人たちが続出。カルディのホームページやアドンコの本社。国内のガーナ料理店に問い合わせが集中した。詳しくは、Twitterで「#ADONKO飲みたい」で検索していただきたい。
- 公式ツイッターアカウントのエゴサ力がすごい。なお、この記事ももれなく捕捉されている。
リアル/オンラインイベント
ガーナアーリア人総決起集会
2021年4月29日20:00から開催。
6月からの劇場公開を前にして、ガーナアーリア人たちの結束を高めるために開催された。
当日は、ヒトラーと東條からのあいさつに加え、アドンコの輸入に向けて尽力してきたまけいぬ氏から、アドンコの輸入についての課題等の説明があった。
また、少しでも発言をするとヒトラーに大臣に任命されたため、「アドンコ大臣(まけいぬ氏)」や「pixiv担当大臣(この記事を最初に作った人)」、「音楽大臣(東條のと氏)」などが爆誕することとなった。
ファン向けのリストバンドやポスターのデータも配布された。東條のと氏曰く「家の前などにぜひ貼ってほしい」とのことである。また、リストバンドを装着して映画館に行くと、特典がもらえる「かもしれない」とのこと。
そして最後は「天皇陛下万歳」と「シ!カ!」(ガーナアーリア人の敬礼)で締められた。
劇場公開舞台挨拶
いくつかの劇場で、上映後に開催。
イベント内では、ヒトラー役兼共同監督のセバスチャン・スタイン氏や東條英機役の秋元義人氏によるトークショーのほか、ガーナと日本をオンラインでつなぎ、ニンジャマン監督のお話もあった。
開催日と会場は次の通り
開催日 | 時刻 | 会場 | 場所 |
---|---|---|---|
6/12 | 12:50の回上映後 | シアター・イメージフォーラム | 東京都渋谷 |
6/19 | 16:50の回上映後 | シアター・イメージフォーラム | 東京都渋谷 |
6/20 | 16:45の回上映後 | センチュリーシネマ | 名古屋パルコ 東館8F |
6/27 | 16:30の回上映後 | KBCシネマ | 福岡県福岡市中央区 |
7/11 | 14:50の回上映後 | シアター・イメージフォーラム | 東京都渋谷 |
7/16 | 18:40の回上映後 | シアター・イメージフォーラム | 東京都渋谷 |
主題歌
主題歌は、ガーナの人気ラッパー、オデュポン氏が歌っている。
まだ正式な題名はなく、「African Kung Fu Nazis theme」や「アフリカン・カンフー・ナチスのテーマ」などと呼ばれている。
原曲
公認サポーターVtuber、東條のと氏による日本語版。
反響
その内容と作中でのパワーワード連発で、発表当初からTwitter等の一部ネット界隈で一大旋風を巻き起こした。
その後、アマゾンプライムでの公開や、ドイツでの劇場公開にあたって各国の字幕が作られたが、クマウッド映画(ガーナのクマシ近郊で作られる映画)でドイツ語と日本語に翻訳されたのは、「アフリカン・カンフー・ナチス」が初めてである。
イギリスでも好評を博し、イギリスNo.1の映画雑誌「STARBURST」では
- 葉っぱ吸ってる奴が絶対にいる
- 大きな黒人の女の子は、80年代WWFの悪役レスラー
- 「ザ・ネバーエンディング・プロダクトプレイスメント」即ちアドンコ
と評され、5点満点中、最高評価の5点をいただいている。
かつてナチスに滅茶苦茶にされたフランスでも受けており、レビュー動画もある。
また、アマゾンプライムでは5点満点のユーザーレビューで4.3という驚異的な高評価を叩き出し、「大爆笑!」「歴史に残るB級」「やりたいことを全力でやった映画」「こういう映画を観たかった」と大絶賛コメントが飛び交い、急遽劇場公開が決定した。
さらに、ゲーム「艦隊これくしょん」の吹雪や「ウマ娘プリティーダービー」のアグネスタキオン、「ガールズ&パンツァー」のノンナなどを演じる声優の上坂すみれ氏も本作を視聴しており、「このタイトルに「えっ?」と思った人はとにかく一度見たほうがいいです。 混ぜるな危険、頭が爆発すること間違いなし!」という評価を寄せている。
その他に、サメ映画翻訳家のサメ映画ルーキー氏、俳優・彫刻家の片桐仁氏も本作を視聴し、いずれも好意的な評価を寄せている。
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日本語字幕版予告編。ナレーションは若本規夫。
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