概要
MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)に属するスパイダーマンを主役とする3つの映画の総称。由来は全ての副題に「ホーム」が付いていることから。
ちなみに監督は全作通してジョン・ワッツが手掛けているが、「ジョン・ワッツ版」とは呼ばれない。
『アメイジング・スパイダーマン』シリーズの打ち切りをきっかけに、スパイダーマンの実写映画化権を持つソニーと、MCUを制作するマーベル・スタジオが二重契約によりスパイダーマンをシェアしている。
これは、ディズニーとマーベル・スタジオが制作しているMCU(『アベンジャーズ』をはじめとする一連のシリーズ)と世界観を共有する新たなスパイダーマンを、ソニーピクチャーズとディズニーが共に展開していくというものである。
スパイダーマンを演じるのは若手イギリス人俳優のトム・ホランド。
- 元々は『アメスパ』のスパイダーマンを演じたアンドリュー・ガーフィールドにオファーされていたが、それまでの彼の演じてきたキャラクター性と大きく異なるため、アンドリュー側が断った。これは、2000年版の『ハルク』でブルース・バナー役を務めたエリック・バナにブルース役としてオファーが来て、エリック側が断った事例と似ている。
2019年には、ディズニー・マーベルとソニーが大揉めしてしまい、一時はスパイダーマンのMCUからの離脱が発表される騒ぎが起きている。
この頃、MCUはちょうど『エンドゲーム』が無事公開され、これから『ファー・フロム・ホーム』を経てフェーズ4へと突入していくという段階にあったが、そのフェーズ4では他ならぬスパイダーマンが主軸を担っていくと発表されていたため、ファンはもちろん共演した俳優達をも巻き込む大騒動となった。複数の共演者達がこの決裂に対して意見を表明したほか、ファンの間では署名活動も起きた。
ちなみに衝突の理由は、ディズニー側が利益の取り分を上げるよう求めたのがきっかけ。もともとディズニーは、ソニーが権利を持っているスパイダーマンを使用するにあたり「製作費は折半・利益の取り分は5%のみ」という破格の条件で契約を結んでいたのだが、いきなり「これからは製作費も利益も折半」、つまり利益の取り分を5%→50%に上げる条件を再提示したため、ソニーを怒らせてしまったようだ。
結局この衝突は、ディズニー側が譲歩する形で和解を見たため、スパイダーマンがMCUから姿を消す事態は回避された。
- この交渉には、MCUでスパイダーマンを演じたトム・ホランドがディズニーとソニーのそれぞれのCEOを直談判し、両社の架け橋になったとの事。
シリーズ一覧
特徴
シリーズを通しての特徴として、まず過去の実写映画版シリーズ(サム・ライミ版、アメスパ)と異なり、ピーター・パーカーが現役高校生であることが挙げられる。
これにより、青春映画の要素が強く出ており、甘酸っぱいラブコメディや、親友や級友とのからっとした爽やかなシチュエーションが多くみられる。
他のMCU作品と比べて、お馴染みのヒーローや主要な関係者の客演が多いのも特徴で『ホームカミング』ではアイアンマン/トニー・スターク、『ファー・フロム・ホーム』ではニック・フューリー、『ノー・ウェイ・ホーム』ではドクター・ストレンジ/スティーヴン・ストレンジがそれぞれ重要な役割として登場している。
特にトニー・スタークは、直接的な登場は『ホームカミング』のみではあるが、MCUではスパイダーマン/ピーター・パーカーの師匠という事もあり、以降の作品では物語の中で何かしらの影響を与え、更にハッピー・ホーガンやペッパー・ポッツも登場した事もあって、実質的にアイアンマンの続編または外伝とも捉えられる作品となっている。
また過去のMCUシリーズのサブキャラクターの再登場も多い。
『ホームカミング』では、『インクレディブル・ハルク』で大学生だったロジャー・ハリントンがピーターの学校の先生として再登場、また『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』でキャップの仲間の一人ジム・モリタを演じたケネス・チョイがジムの子孫でありピーターの学校の校長のモリタ役で登場した。
『ファー・フロム・ホーム』では、『アイアンマン』に登場したスターク社の科学者ウィリアム・ギンター・リヴァが再登場した。
配給にSONYが関わっているからか、いわゆる「芸能人声優」が少なく、アニメで活躍する専業声優・アイドル声優の起用が多いことも特徴と言えるだろう。
ただし全く起用されないわけではなく、他作品からの客演の他、『ノー・ウェイ・ホーム』での藤森慎吾や尾上松也といったケースもある。
- そもそもMCUのみならず、スパイダーマンの実写映画は全体的に見ても芸能人声優の起用が少なく、中村獅童や中川翔子といった例外もいるが、いずれも過去に声優経験があり演技力も高いと評価される芸能人を起用する事が多い。
その代わりなのか、他のMCU作品と異なり、日本語吹き替え版にはタイアップの主題歌が用意されている。
関連タグ
スパイダーマン・ユニバース:スパイダーマンは今後こちらにも出演する予定であるとのこと。2021年公開の『レット・ゼア・ビー・カーネイジ』のポストクレジットシーンにおいてそうした展開を示唆する内容が盛り込まれている。
実写映画シリーズ
サム・ライミ版→アメイジング・スパイダーマン→ホーム三部作