概要
「車高」と「短い」を掛け合わせた俗語。
「ローダウン」とも言う。
日本ではどのようなルートで広まったかは定かではないものの、アメリカでは1930年代から50年代にはこの手の車高を下げるカスタムが行われていたという。
白人層では1930年代に登場した「ホットロッド(Hot rod)」と呼ばれる一連のカスタムの一環で、現在程ではなくとも車高を下げる者も居たという。また1950年代にヒスパニック系などの間で登場した「ローライダー(Low rider)」も、車を優美に見せるためかかなり思い切った”シャコタン”カスタムがなされた。(但しローライダーは油圧で車高を上下できるサスペンションという秘密兵器があった。)
いずれも、「カーレース」といえばマシンが車体を大きく傾けてタイヤを鳴らしながら走ってた頃の話である。
1970年代に入ると、モータースポーツではシルエットフォーミュラに代表されるような、空力部品が地面の近くまでを覆い、車高を大きく下げたマシンが現れ始めた。これが当時大勢いたスポーツカーに熱狂する若者たちや暴走族の心の琴線に触れ、全国的に広まったと言われている。
程度によるが車高を下げると実際見栄えが良くなり、運動性能も上がるとあってカスタムでは定番のメニューである。レーサーでカスタム界の巨匠の一人である谷口信輝は、「男は黙ってシャコタン・ツライチ」と度々発言しており、カスタムの基本であることがうかがえる。
反面、下げすぎるとサスペンションのストローク量が確保出来なくなる(=揺れを吸収できない)ため乗り心地が悪くなる。レーシングカーがシャコタンでもしなやかな足回りを実現しているのは、それだけ高価かつ高性能なサスペンションを用いているからで、お金の無い人がバネを短くしただけでは突き上げがキツくなるのは当然だ。なのでシャコタンにしたいが乗り心地も気になる人には、高価になるが車高調やエアサスをオススメする。
なお最低地上高の高さは9cm以上必要と法律で定められている。ヤンチャな人たちの間では、煙草の箱(だいたいセブンスター)が車体と地面の間に入るかどうかが指標とされることも。
そもそも法律以前に、低すぎると車体下部をガリガリと地面に思い切り擦りつけてしまい、排気管や触媒をダメにしてしまう。多少の段差を超えるのも困難になるので、踏切や店に入る際に立ち往生なんていう、危険な状態に晒されることもあり得る。
しかしそんな困難を甘受してでも、ハの字タイヤ+シャコタンに執着する猛者は今も一定数おり、車好きというジャンルの奥深さを(悪い意味でも)知るのである。
近年はSUVブームの影響で、大径タイヤを履かせて車高を上げる「シャコアゲ」というカスタムもじわじわ人気を集めている。
純正シャコタン
平成時代に突入すると、ファッション目的でメーカー純正でシャコタン状態に仕上げた車両が発売されるようになる。
ホンダのS-MXやダイハツのムーヴがその起源で、量販車から車高を15mmほど下げたグレードを設定した。
以降他メーカーにも普及したが、いずれも改造車のような思い切ったものではなく、せいぜい15mm~20mm程度の変化しかなく目視では判別しづらい。
また、バイクにおいても低身長者の足つき性を確保するため、主にオフロードタイプで純正のシャコタンが設定される車種がある。