概要
週刊少年マガジン(講談社)にて1989年から1993年にかけて連載された。単行本は全23巻。
当時競馬界はオグリキャップやタマモクロスをはじめとした芦毛ブームに沸き、それを見た週刊少年マガジン編集部の方針で連載が開始された。実は競馬漫画の先駆けともいえる馬なり1ハロン劇場より2ヶ月早く、競馬漫画をいうジャンルをいち早く作ったのはこの漫画であると言える。
JRAの支援を受けていたことから競馬場やトレーニングセンターなど基本的な描写はほぼ忠実であるが、スポ根漫画でよくある「作者がルールを知らない」や「方針によるルール無視の展開」といった内容が本作でも見受けられ、ルールだけでも「ジュニア時にGⅢ1着、朝日杯3歳ステークス(GⅠ)2着の馬が皐月賞トライアルで掲示板外となったため皐月賞に出走できない(賞金額での出走権を無視)」「皐月賞で落馬しそうになり、なんとか馬にしがみついていた騎手がゴール判定で馬から体が離れた(この時点で地面にはついていない)という理由で落馬となり失格(実際は「騎手が地面についた」時点で落馬判定)」「40勝(現在は30勝)未到達の騎手を日本ダービーで騎乗不可で一悶着あったが、有馬記念でなぜか障害5勝しかしていない騎手があっさり騎乗し出走(有馬記念も30勝未満は騎乗不可)」など突っ込みどころ満載で、さらに「塩を塗って消毒」「マイルレースの馬が3200mに出走しステイヤーと最後まで競う」「噛まれた馬が包帯ぐるぐる巻いて出走」などスポ根漫画のおかしな部分が随所に出ていた(「塩を塗って消毒」という行為は馬が暴れて怪我をする危険性があるため、厩務員サイドから講談社へ抗議がいったという話もある)。
このように突っ込みどころ満載なネタ漫画の部分もあるが、連載期間は4年と長期にわたっており、スーパーファミコンでゲーム化もされている。また、その後大ヒットとなるみどりのマキバオーやウマ娘プリティーダービーも本作品の影響を受けている部分がある。
登場人物
騎手
;森川駿(もりかわ はやお)
本作の主人公。父の跡を継ぐため獣医を目指そうとするも牧場の借金返済とシルフィードに乗るため騎手になる。
;夕貴潤(ゆうき じゅん)
マキシマムの騎手。4年で200勝と一大ブームを巻き起こす。一方で元々は孤児で、その生い立ちが勝利に拘る要因になっている。
;島村圭吾(しまむら けいご)
駿の同期。障害レースの騎手であったが、ヒヌマボークの騎乗依頼を受け、平地初勝利が有馬記念となった(現実ではほぼ不可)。
;谷村健太郎(たにむら けんたろう)
駿が騎手になるまでのシルフィードの主力騎手。
馬主
;森川修一郎(もりかわ しゅういちろう)
駿の父親で森川牧場のオーナー。馬の流行風邪によって多額の借金を抱える。表面的には駿に冷たい態度をとるが、実は子煩悩。
;岡恭一郎(おか きょういちろう)
マキシマムの馬主で、「馬を見る天才」と称される。マキシマムに凱旋門賞優勝の夢を託すも破れ、シルフィードに託すことになる。
;氷沼蒼人(ひぬま そうじん)
ヒヌマボークの馬主で、太平洋戦争で妻子と馬を失うも生き残った芦毛の馬を育て、「馬を見る神様」と称されるようになる。
その他
;菊池正太(きくち しょうた)
シルフィードの調教師。普段は酒ばかり飲んでいるが、調教師としての腕は超一流。
;松造(まつぞう)
森川牧場の従業員。修一郎があまり語らない性格のため、代弁する役を担っている。
登場競争馬
;シルフィード
芦毛の馬。浅屈腱炎を患っていたためセリ市で30万円と評されたが、走法がシンザンに酷似しており、また強力な末脚を持つ。モデルは初期はタマモクロスであるが、途中からメジロマックイーンになっている。
;マキシマム
シルフィードのライバル。セリ市で3億円の値が付いた良血馬。日本ダービーまでは無敗であったが菊花賞でシルフィードに敗れ、有馬記念で骨折し一命を取り留めるも引退。
;ヒヌマボーク
シルフィードやマキシマムより馬齢が1つ上の芦毛馬。普段は力を抑えるためブリンカーをつけている。
関連タグ
吉田豊:騎手になったきっかけがこの漫画に影響されたことを雑誌で述べている。それが影響されてか騎乗した馬のウマ娘でのキャラのネタとなり、このタグが作られている一因にもなっている。
安藤まほろ:まほろ(メイドロボット)が操るサポートメカの名称の一つが『シルフィード』の名前を冠している。またこの作品におけるシルフィードは飛行ユニットである。なお名称の由来自体は作者が熱心なSTG信者である事から1988年にゲームアーツから発売された『SILPHEED』の方だと思われる。