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概要編集

週刊少年マガジン(講談社)にて1989年から1993年にかけて連載された。作者は本島幸久、単行本は全23巻。


当時競馬界はオグリキャップタマモクロスをはじめとした芦毛ブームに沸き、それを見た週刊少年マガジン編集部の方針で連載が開始された。実は競馬漫画の先駆けともいえる馬なり1ハロン劇場より2ヶ月早く、競馬漫画をいうジャンルをいち早く作ったのはこの漫画であると言える。


連載期間は4年と長期にわたっており、スーパーファミコンでゲーム化もされている。また、その後大ヒットとなるみどりのマキバオーウマ娘プリティーダービーも本作品の影響を受けている部分がある。


登場人物編集

騎手編集

森川駿(もりかわ はやお)

本作の主人公。父の跡を継ぐため獣医を目指そうとするも牧場の借金返済とシルフィードに乗るため騎手になる。

夕貴潤(ゆうき じゅん)

マキシマムの騎手。4年で200勝と一大ブームを巻き起こす。一方で元々は孤児で、その生い立ちが勝利に拘る要因になっている。

島村圭吾(しまむら けいご)

駿の同期。障害レースの騎手であったが、ヒヌマボークの騎乗依頼を受け、平地初勝利が有馬記念となった(現実ではほぼ不可)。

谷村健太郎(たにむら けんたろう)

駿が騎手になるまでのシルフィードの主力騎手。

馬主編集

森川修一郎(もりかわ しゅういちろう)

駿の父親で森川牧場のオーナー。馬の流行風邪によって多額の借金を抱える。表面的には駿に冷たい態度をとるが、実は子煩悩。

岡恭一郎(おか きょういちろう)

マキシマムの馬主で、「馬を見る天才」と称される。マキシマムに凱旋門賞優勝の夢を託すも破れ、シルフィードに託すことになる。

氷沼蒼人(ひぬま そうじん)

ヒヌマボークの馬主で、太平洋戦争で妻子と馬を失うも生き残った芦毛の馬を育て、「馬を見る神様」と称されるようになる。

その他編集

菊池正太(きくち しょうた)

シルフィードの調教師。普段は酒ばかり飲んでいるが、調教師としての腕は超一流。

松造(まつぞう)

森川牧場の従業員。修一郎があまり語らない性格のため、代弁する役を担っている。

登場競走馬編集

シルフィード

芦毛の馬。浅屈腱炎を患っていたためセリ市で30万円と評されたが、走法がシンザンに酷似しており、また強力な末脚を持つ。モデルはタマモクロスであるが、途中からメジロマックイーンの戦術・走法なっている。

マキシマム

シルフィードのライバル。セリ市で3億円の値が付いた良血馬。日本ダービーまでは無敗であったが菊花賞でシルフィードに敗れ、有馬記念で骨折し一命を取り留めるも引退。

ヒヌマボーク

シルフィードやマキシマムより馬齢が1つ上の芦毛馬。普段は力を抑えるためブリンカーをつけている。


本作の評価編集

JRAの支援を受けていたことから競馬場トレーニングセンターなど基本的な描写はほぼ忠実であるが、当時の週刊少年マガジンでよくあった「明らかに現実とは異なる」描写がいくつか見受けられた。以下、一例を挙げていく。

  • シルフィードは産まれた時に屈腱炎を発症していたが、屈腱炎は後天性であり産まれた時に発症することはまず起きない。なお、治療として焼烙療法が使われていた(現在はレーザーや超音波を使った治療が主流)が焼烙の火傷に対しての治療が必要で、治療翌朝に放牧させることもありえないとされる。
  • 当時美浦に坂路調教場がなかったことから、主人公が「雨の日の調教で最終コーナー後コートを脱いでセーターに雨水をしみ込ませて自重を重くし、坂路と同じ状況にする」という練習方法を行なったが、体重のかかり方が違うため意味をなさず、むしろ負担重量の急激な変化は馬に多大な負担がかかり故障の原因になるため、実際の調教ではまず行われない。
  • ライバルの1頭であるカザマゴールドが皐月賞トライアルのスプリングステークスで6着(掲示板外)となったため皐月賞に出走できないとなっている。しかし実際はジュニア時にGⅢレースで1着、さらに朝日杯3歳ステークスGⅠ)で2着に入っていることから獲得賞金枠で皐月賞に出走する権利がある(スプリングステークスが掲載された1990年当時の皐月賞は18頭立てに対し優先出走権のあるトライアル枠はスプリングステークスと弥生賞の各5枠ずつで、残り8枠は獲得賞金枠であった。なお、翌1991年から条件が改定となり、スプリングステークスと弥生賞の枠が3枠に減った代わりに若葉ステークスがトライアルレースに追加(2枠)され、獲得賞金枠も10枠に増えている)。
  • 皐月賞で落馬しそうになり、なんとか馬にしがみついていた谷村騎手がゴール判定で馬から体が離れたという理由で落馬処分となったが、実際は地面についていない状態のままゴールラインを超えた場合は落馬とみなされないと判断された例がある。地方競馬の例であるが、2018年7月17日に行われた浦和競馬場第6レースで的場文男騎手が1着でゴールする直前に馬から投げ出されたが、地面についていない状態でゴールラインを超えたとの理由でそのまま1着と認められている(但し谷村は手綱も手放しているが、的場騎手は手綱を握っている)。
  • 障害レース通算5勝の島村騎手が有馬記念に出走しているが、有馬記念は通算30勝しないと騎乗することができない(騎乗条件に達していなかった森川駿の日本ダービー騎乗で農林水産大臣の介入などJRAと散々揉めた描写があったため、なおネタにされている)。
  • 鬱血を槍みたいな道具で刺して抜いた後、卵と塩とネギを塗って消毒という描写があるが、「塩を塗って消毒」は馬が暴れて怪我をする危険性や虐待に近い行為と受け止められ、厩務員サイドから講談社へ抗議が行われたという逸話がある。

末期になると「マイルレース専門の馬が3200mのレースに出走しステイヤーと最後まで競う」(但しトーセンラーが春の天皇賞で2着に入り、その後マイルチャンピオンシップで優勝したことがある)や「噛まれた馬が包帯ぐるぐる巻いて出走」など明らかにスポ根ありきで展開されていった。このような状況になった理由について以下の理由が指摘されている。

  • 当時の週刊少年マガジン編集部の方針で、現実とは異なっても「面白ければよい」という理由でありえない内容が描かれることが多かった(同時期に連載されていた名門!第三野球部スーパードクターKでも専門家や関係者から描写の不自然さについて指摘があった)。
  • 作者が競馬をまったく知らなかった。実際に「週刊Gallop」が本人に取材した際そのように答えており、また続編の「蒼き神話マルス」以降は競馬漫画を一切描いていない。

もっともこれらは憶測の域に過ぎず、「マガジンではよくあること」として気にしない方がよい。





関連タグ編集

シルフィード:曖昧さ回避。

吉田豊:騎手になったきっかけがこの漫画に影響されたことを雑誌で述べている。

星野スミレ:作中にリポーターとして出てくるオマージュキャラクター。作者が星野スミレの大ファンで、pixiv上でも多数投稿されている。

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