本作は動物パニックものだが、人間の敵は人間という点が常に強調されており、後のエデンの檻などと通じるものがある。
あらすじ
片瀬遼は幼なじみ2人と共に山へ釣りに出かけたところ、天候が崩れて山小屋に避難する。そこにはテレビクルーがすでに避難していた。
翌朝、テレビクルーの一人が行方不明になる。遺されたカメラにはヒグマに引きずりまわされる惨殺死体が映っていた。
かくして、この山に潜伏していた逃走中の殺人鬼菊沢隆二を巻き込み、惨劇の幕が上がる…
ちなみに
アイヌ文化においてヒグマ(キムン・カムイ)は「山の恵みをもたらす神」として崇拝対象となっている。しかしいったん人を殺害しその血肉の味を覚えたヒグマは「ウェンカムイ(悪い神)」という魔神とみなされ、討ち果たしたら肉や毛皮をはぎ取らずに呪詛と共に切り刻んで捨て置くべきものとなる。
突っ込みを入れるのも野暮だが、人を引きずりまわして殺している時点でキムンカムイではなくウェンカムイ、である。