「あんたを月に招待する。月面のガミラス大使館に」
CV:神谷浩史
概要
- 所属:大ガミラス帝星・月面大使館
- 役職:地球駐在武官
- 階級:中尉
『宇宙戦艦ヤマト2202』に登場する、ガミラス帝国の新規キャラクターの1人である。容姿は金髪に美男子とも言える顔の持ち主だが、何処か独特の雰囲気を纏っている(アベルト・デスラーに通じるとも言える)。無口ではあるが、身体能力に優れるうえにパイロットとしての腕も一流である。しかし、口を開くと歯に衣着せぬ毒を吐く。
上司であるローレン・バレル大使の命によって、ヤマトの乗組員達の動向を調査している。また古代に接触し大使館へと招待する。以後、ヤマトに同行する。
彼の血筋は何か特別なものがある模様だが、明確な事は未だ明らかになっていない。
劇中での活躍
第一章
ローレン・バレル大使の命を受け、肌色を変える特殊なリングを身に付けて地球人に変装、旧地下都市で地球連邦政府からの監視から逃亡中だった古代進に接触し、テレサの正体を彼に知らせるべく月面ガミラス大使館のバレル大使との面会を指示する。
第二章
月面に辿り着いた古代に、バレル大使と共にテレサとガトランティスについての情報を提供した後、古代を連れて地球へ降下、『コスモリバースシステムの副作用』である『10倍の時間が流れる空間』、時間断層を利用した秘密建造ドックを見せる。
ヤマトが地球から離脱した後は、大使館仕様のDWG262ツヴァルケに搭乗し出撃、味方機に追われながらヤマトに合流しようとする山本玲や篠原弘樹ら旧ヤマト航空隊の逃亡劇に乱入し、電磁パルス攻撃によって精密機器を無差別にダウンさせることで目視によるドッグファイトに持ち込ませ、追手を退けた。
その後ヤマト航空隊とともにヤマトへ合流し、オブザーバーとして乗艦をやや強引に希望、島大介などの勧めもあって艦長代理の古代からも乗艦の許可を取り付ける。
ガトランティスの襲撃を受けた第11番惑星への救出作戦が提案された際には、あくまで現実的な判断からこれに難色を示すも、艦長代理の古代の判断を尊重しこれを黙認。更には『やるからにはやらせてもらう』として自らもツヴァルケで出撃、ククルカン級襲撃型駆逐艦1隻を沈黙させている。
第三章
ヤマトが雷撃旋回砲の攻撃を受けて動けない間に、第11番惑星に到着したガトランティス第8機動艦隊本隊の様子を、人工太陽を背にして撮影してヤマトにデータとして送った。やがて瓦礫の下で機関修理が終わるものの、波動砲の使用を躊躇う古代に対し、通信越しで朝焼けを眺めながら
「我がガミラスの作った人工太陽の朝日は、中々に美しい」
と告げると、悟ったように古代も波動砲発射の決意をした。
結果、波動砲が人工太陽の中心核を撃ち抜いたことで大規模な波動共鳴が生じ、第8機動艦隊の動きを止める事に成功する。
その後、救出した民間人を旅の途上で、ガミラス定期便に任せることを提案。惑星シュトラバーゼにおいてランデブーに漕ぎ着けた。しかし、その定期便を指揮するカーゼットと会合するや否、密かに計画を持ったうえでの接触であった事が明かされ、加えてキーマンがとある上位の存在であることを仄めかすことが、カーゼットらの態度で判明する。
カーゼットから反波動格子と呼ばれる謎の装置一式を受けとりヤマトに帰還。そこで予定通りに反ガミラス統治破壊解放軍が来襲、その混乱に乗じて波動機関に潜入し、謎の光子を波動エンジン内に潜り込ませている(その影響が一時機関に見られた模様)。
シュトラバーゼでの遭遇戦の後、宇宙ホタルがヤマト艦内に紛れ込み、その影響をクルー一同が受けている事を早々に感づいたキーマンは、真田志郎にクルーが催眠状態にある旨を告げ、同時に影響を与えている周波数を打ち消させた。その直後、機関室出入り口で桂木透子が接触を図り、意味深に
「仕掛けは無事だった?」
と、己の魂胆を見透かしたような口ぶりで近づき、恋人繋ぎをするかのように手の握ってきたことに訝しげに何のつもりかと尋ねたが、「黙ってあげる」の一言を返して来ただけだった。
第四章
桂木透子とは、しばしば接触を図っており、他者の目の触れぬところで会っていた。どちらかというと桂木側からの接触が多いようであるが、キーマンと会うなり彼の身体に触れ「この温もり」と懐かしげに呟いたり、「いずれ、ヤマトを裏切る」と挑発するような言動が観られた。この直後、アベルト・デスラーの襲撃を受ける事となる。その異空間での戦闘で観測された波動砲と同種の攻撃に、キーマンは思い当たる節があったようで、思わず「デスラー砲」と呟いている。何故、彼がその兵器名を知っているのかは不明であった。
突然の攻撃や、その正確さを鑑みてスパイの存在がささやかれていた中、キーマンは透子を利用してスパイとして確保する為、古代らと綿密な計画を立て行動に移す。透子に対して、逆に積極的に接触し
「俺達は協力しあえる、唯一の存在だ」
と、わざと協力的な姿勢を見せる。
だが、すんでのところで計画は失敗。透子は逃走するも、丁度白色彗星がヤマト前方に現れた。その際の重力干渉波による攻撃で、あわや瓦礫の巻き添えになりそうだった透子をかばい、負傷してしまった(何故、その様な行動に出たのか自分にもわかっていない)。
捕虜となった透子が、キーマンの事をスパイだと暴露しなかったが、そのことを訝しげに思うものの、彼女自身もまたズォーダーに見捨てられた事からか、敢えて最期まで様子を見る事に徹する姿勢を見せた。
テレザート星攻略の際、ガトランティスが反射衛星砲のコピー兵器を導入していたのを知り、彼自身が直接行動に出る。反射衛星の中継衛星を探し当てると、ほぼガミラスのコピーであったことからシステム組み換えが容易に行えた。思わず彼も
「勝手に人の者を盗む悪い子には、お仕置きだ」
と呟き、反射衛星砲の射撃目標をテレザート守備部隊へ絞って自滅させた。
第五章
テレザート奥地のテレザリアムにてデスラーと邂逅していた古代達の下へツヴァルケで駆けつけ、ニードルスレイブを破壊して彼らを助けた。
その後、デスラーと対面し、自らの正体について明かす。それについてはリンク先を参照。
ガミラス星の寿命が近いという問題を前に、キーマンはヤマトかデスラーかの2択を迫られ、一度は反波動格子を用いてヤマトを無力化する。
しかし、その後紆余曲折ありつつも、キーマンは再びヤマトと共に戦う道を選ぶ。
第七章
都市帝国との最終決戦にもツヴァルケで参戦。古代達が中核へ侵入するのをアシストする。
都市帝国が滅びの方舟として完全覚醒しそうになると、最後の波動掘削弾を用いて方舟の中核を破壊しようとする。多数のニードルスレイブに攻撃されて重傷を負いつつも、サポートにきた斉藤始とともに都市帝国中核まで侵出。波動掘削弾を爆破し、自分達もろとも方舟に傷を負わせ、戦死した。
ドラマCD
本編でのシリアス感は何処へやら、ギャグ満載の限定版ドラマCD『誰も聞いてはならぬ裏ヤマト』において主人公的立ち位置で登場。口調は本編同様にシリアス感は残るものの、その本編とのギャップは避けがたい物がある。バレル大使がコミカル感で話すのとは非常に対照的とも言える。章を進めるごとにテンションが上がるバレルに対して、常に冷静さを失わないクラウスではあるが、常識的キャラと思わせつつも、何処か常識離れしている面もある。
食いしん坊万々歳
バレル大使が、月面大使館に赴任してからの初の記者会見にて、地球通を目指すと言いながらも「パフェ」について聞かれて戸惑い返答できなかったことに鑑み、地球で代表される料理(菓子含め)を調達し、バレル大使に食してもらおうとする。因みにこの時は、かなり過激思考があり、パフェの質問をした女性記者を
「反ガミラス派の回し者」
と真っ向から敵視したり、月面を
「ここは敵地です!」
と戦争中であるが如き思考を持っていた(強ち、間違ってはいないかもしれないが)。
しかし知らないということほど恐ろしいものはなく、尽く残念な食し方をする。
最後に「パフェ」とは「パーフェクト」が語源であるということで・・・・あらぬ方向へ。
YOUは何しに地球へ
地球文化(日本文化)に触れようとバレル大使共々、日本へと降り立つ。バレル大使が猫好きであったことから、「キャッツ&ドック2202」という猫カフェへと入ることから始まる。目的地を知らなかったクラウスは呆れていた。
ツッコミもよくしており、店の名前に年号を入れたことに対し
「なんでもかんでも2202なんですね」
といってみたり
「ここの猫は尻尾が二又に分かれていませんが」
と水を差すような事も言う。
また猫にモテたいがために、粉末状の猫用媚薬を持参してきたバレルに対して「何をするんです。駄目ですよ、そんなもの」と常識的に却下している。また阻止しようと粉末の入った紙袋を破ってしまい、猫の気を絶たせてしまい・・・・・・。
Wアナライザーのタンケンボクノフネ
時系列は、ヤマトに同行した辺りである。アナライザーの案内でヤマト艦内を散策していたが、突発的に生じた空間波動によってアナライザーの頭部に、酒瓶が当たって真面に酒を被ってしまう。するとショートを引き起こし、違う次元のアナライザー(cv:緒方賢一氏)が降臨することとなり、いつもと違うアナライザーに一時騒然となった。
またこの回では、やたらと地球文化(特にアニメ)に詳しいキーマンが確認でき、何気なく太田健二郎と意気投合する場面も。
「知っているのか!?」
ある意味、第1章と2章以上にギャップの凄まじい様子。
余談
名前
『ヤマトよ永遠に』に登場したアルフォン少尉は、初期設定では「キーマン」という名前であった。
身代わり
結論だけ先に言うとキーマンは死ぬことが前提で作り出されたキャラである。
製作委員会から福井晴敏に伝えられた本作のオファー内容は『さらば』のリメイクだった(話が逸れるが実は別に『2199』の続編である必要は無かった模様)。しかし、そこに続編を考慮して主要キャラを死なせないという注文が付加された。
それは『さらば』ではなく『ヤマト2』なのでは?と福井でさえ思ったが、あくまでも『さらば』のリメイクという体を崩さないことが前提とされた。要するに主要キャラ死なせずに『さらば』の感動を再現しろという相当な無茶ぶりである。
『さらば』→『ヤマト2』で生死が変わった主要キャラは、古代、雪、真田、佐渡、アナライザーの5名(とデスラー)。そこで古代と雪は1回『さらば』通りに死なせてから最終話で生き返らせるという超展開にし、佐渡はそのまま生存、アナライザーは(最悪修理という手段があるからか)原作通り殺された。厄介なのは非常に印象深い死に様を見せた真田である。主要中の主要キャラともいえる真田を死なせるわけにはいかないが、話を展開を『さらば』に合わせる以上、斉藤とともに殉じるキャラが必要だった(斉藤の立往生をやりたかったとしたらなおさら)。そこで真田の身代わりとして用意されたのがキーマンだったわけである。
痛切を感じるような死を演出するため、視聴者が愛着を持てるようにキャラを活躍させていったと聞くと中々にエグい。
ちなみに共同で脚本を担当していた岡秀樹はこの話を聞いた時「キャラは死なせるために作るんじゃねぇ!」と内心福井に対してキレていたらしい。