概要
食材を塩や味噌、酢などの材料に長時間漬け込み、発酵・熟成させることで調味した食品である。
素材を漬け込むことで風味が増し、同時に保存性を高めることになる。
また、漬け込むことで強い匂いを出すようになることから、香の物、お香々(こうこう)、浅漬けのものはお新香(しんこう)などとも呼ばれる。
本記事では主に日本の漬物について紹介する。
保存技術が発達した現代においてはほぼ調味のみが目的であるが、かつて保存技術が未熟であった頃は、生の食材を長期間保存する手段として「塩や香辛料に漬け込む」という手段が一般的であった。
漬物文化は発酵食品文化とも密接な関わりがあるものであり、それ故各国においてさまざまな漬物が生み出され、その国の人々によって愛食されてきたのである。
梅干しなど漬けたあと干してより保存性を高める手法もとられており、干物との関係も深い。また、いぶりがっこ(いぶり漬け)のように燻製して、乾燥と煙による殺菌効果などを付与するものも存在する。
一方で、特に塩漬けは塩分の高さから高血圧などの健康被害も懸念される。また、野菜から肥料由来のニトロソアミン(亜硝酸塩)などが検出されることもある。
主な漬物
特に日本においてよく供される漬物を、漬け材料の種類ごとに紹介する。
塩
塩蔵とも。最も原始的な漬け材料の一つ。完成品は強い塩味を呈するようになることが多く、しばしば薄い塩水に浸して味を抑える処置(塩抜き)が必要になる。元々高塩分環境である海産物によく使用される他、牛肉なども塩蔵される(コンビーフ:Corned Beef = 塩漬け牛肉)。梅干しは梅の実をシソと一緒に塩漬けした後に天日干ししたものである。
米糠
米糠を乳酸発酵させて作った「糠床」に食材を漬け込む。日本でもっともよく作られる漬け物。代表的なものにたくあん漬け(ダイコンのぬか漬け)がある。糠床は継続的な使用とメンテナンスによってより良質になる特性があり、良い糠床を維持することは和食において重要視される要素である。
酢・甘酢
強力な殺菌作用と呈味力を持つ酢で漬け込むもの。強い酸味を持つことが多い。著名なものにガリ(生姜の甘酢漬け)、紅生姜(生姜の梅酢漬け)がある。また、ピクルスは酢と香辛料を混ぜた調味液に漬けたものである。
酒粕
日本酒の酒粕の他、みりん由来のみりん粕もその甘みから好まれる。酒粕由来のアルコール臭がすることが多い。代表的なものに西京漬けなど。風味付けにからしやわさびなどを入れることも。
味噌
高い塩分と香気成分、うま味を持つ味噌は漬け材料としても優秀であり、古来より好まれてきた。野菜類などに広く使われる。変わったところでは卵の黄身を味噌漬けにしたものが珍味として好まれる。
砂糖
主に果物に使われる方法。蜂蜜がきわめて高い保存性を誇るのと同様、高い糖度もまた保存性を高める要素である。
醤油
味噌と同じく、塩分と旨味の両方を持ち、調味料として日本中に浸透している。野菜などの他、魚を漬け込むものもある。松前漬けなど発酵を伴わないことも多い。
油
広義の漬け物の一種とされるため取り上げる。食材を油で煮込み、その油ごと保存容器に入れて保存食にする調理法で知られる。フランス料理のコンフィが有名。日本国内ではマグロ肉のサラダ油漬けがはごろもフーズによってシーチキンの名前で販売されていることで知られる。
関連タグ
つけもの:漫画『ボボボーボ・ボーボボ』のキャラクター。