概要
キャベツの漬物。塩漬けにしたキャベツが乳酸発酵されることで独特の酸味を持つようになる。
「ザワー」は「酸っぱい」、「クラウト」は「キャベツ」のこと。英語読みの「サワー(sour)」で発音されることもある。
日本の(古い)資料などでは「酢キャベツ」として紹介されるが、一般的なピクルスとは異なり酢漬けにしていない。漬ける際も食塩と香辛料程度しか使っておらず、日本でいえば「塩キャベツ」とだいたい似たようなものであるが、塩キャベツが発酵を伴わないのに対しザワークラウトは発酵させる
塩味の効いたキャベツは呑兵衛にはもってこいの肴というのは世界共通といったところか。
ドイツ以外でもフランスやスイスなど、広く欧米で好まれている。ドイツ料理はもちろん、ポーランド料理でも好んで使われる食材である。
また、ルーマニアやハンガリーをはじめとするバルカン半島諸国では同様の調理法で作られるkiseli kupus u glavicama(「(発酵して)酸味のあるキャベツの塊」の意)という料理があり、区別のため「サワーキャベツ」などと呼ばれる(※キャベツの区分に同名のものがあるが、別である)。ザワークラウトが葉を細かく切って、数日かけて作るのに対し、サワーキャベツはキャベツを切らずに丸ごと使い、数週間程度漬け込んで作るのが特徴。ルーマニア料理の「サルマーレ」などはこれを使って作られる。
特に第二次世界大戦前後のアメリカやイギリスでは、ドイツ人への(やや差別的な)イメージとしても「(ザワー)クラウト」という表現が用いられることがあった。これはドイツ軍が壊血病予防の為にザワークラウトを常食していたのが理由だとか(一方で壊血病予防の為にライムジュースを常飲していたイギリス人は「ライミー」と呼ばれた)。
また、1960年代後半から1970年代にかけて台頭した西ドイツ系のロックバンド群、彼らの音楽性を評して「クラウトロック」と呼ぶが、これも「クラウト=キャベツ」から来ている。当然こちらに差別的な意味合いはない。