シソ
シソ目シソ科の一年草。中国大陸原産。エゴマ(荏胡麻)は同種で、交雑種も多く見られる。
しそ、紫蘇とも表記される。紫蘇の名の由来は、後漢末期にカニの食べすぎで食中毒を起こした若者に医者がこの葉で紫の薬を作り、回復させたことから「紫」の「蘇る」薬としてこう呼ぶようになったという逸話がある。
赤ジソとその変種の青ジソがあり、その両者に葉に細かい縮みがあるチリメンジソと、葉に縮みがないタイプがある。
特有の香り成分は牛や馬などの草食動物には毒性があり、このためアメリカ合衆国では毒草扱いであったが、近年の日本食ブームにより細々とではあるが流通するようになった。
利用
特有の香りと防腐効果、食中毒原因細菌の増殖抑制効果から、昔から食用や薬に用いられてきた。生食用として流通する大葉は青ジソのチリメンジソの別名。
赤ジソは梅干しや紅ショウガなどの色付けに用いられ、シソジュースにもする。
青ジソは天ぷらにしたり、刻んでそうめんなどの薬味として使われる。
どちらも葉を食用にすることが多いが、花穂や花が散って未熟な花穂を「穂ジソ」と呼び刺身のつまなどに使われる。
近年では、シソ味のドレッシングもある。
エゴマ
漢字で書くと荏胡麻。シソの変種で、アブラジソという別名がある。見た目は青ジソと酷似するが、匂いが異なる。実がゴマ(ゴマ科)の代用に用いられたが、系統的にはゴマとは縁遠い植物である。
日本で古くから栽培され、実から絞ったエゴマ油は古くは灯油として用いられていたが、特有の匂いが嫌われて、ゴマやナタネに取って代わられ廃れていった。
韓国ではこの匂いがむしろ好まれ、韓国料理ではエゴマの葉が肉料理と一緒に食される。日本でも岐阜県の飛騨地方など局地的にエゴマの葉や実を常食する地域もある。
1990年代からエゴマ油の中に必須脂肪酸であるα-リノレン酸を豊富に含まれていることから見直され、食品市場に出回ったが、エゴマ油ではなじみが薄いため、シソ油として販売していた。