概要
シソ科オドリコソウ属の一年草。日本では本州以南に分布し、北海道で見られるものは移入もしくは近縁のオドリコソウ・ヒメオドリコソウの誤認とみられる。またヨーロッパ原産のヒメオドリコソウも日本全国で見られ、しばしばホトケノザと混同される(ホトケノザと混じって群生していることもある)。
雑草とみなされる一方、3月から5月にかけての可憐な紫色の唇状花で春の風物詩として愛される植物でもある。花は主にハチにより受粉される虫媒花で、ハチの少ない夏になるとつぼみのままで結実する閉鎖花となる。たまに秋にも花をつけているのを見かけることもある。花には蜜を溜めており、ほんのりと甘いホトケノザの蜜を味わった人もいるのではないだろうか。
結実した種子にはスミレと同様、アリの好むエライオソームという物質が付着しており、アリにより遠くまで運ばれることが知られている。
本来、「ほとけのざ」とはキク科のコオニタビラコのことを指した。ロゼット葉が仏像の蓮座に似ていることからそう呼ばれたのだが、いつからかシソ科の本種を指すようになってしまった。春の七草の「ほとけのざ」はコオニタビラコのことである。コオニタビラコは粥などにして美味しく食べられるが、シソ科のホトケノザは(毒こそないものの)青臭く食用には向かない。ただし、近縁種のオドリコソウは天ぷらなどとして食べられる。