解説
ウリ科カボチャ属の植物を一括してカボチャと呼んでいるが、ニホンカボチャ、セイヨウカボチャ、ペポカボチャの三つが代表的な種類で、それぞれに多様な園芸品種がある。
カボチャという名前の由来は、日本にカボチャを持ち込んだポルトガル商船の寄港地のひとつカンボジアに由来するという(当時はカンボジア伝来と誤認されていた模様)。
方言によってはカボチャを「ナンキン」と呼ぶ事もあるが、これも同様にポルトガル商船の寄港地に南京が含まれていた事に因む。
収穫期は夏から秋、収穫から一ヶ月程度保存することで甘みが増す。
身は非常に固いが加熱することで芋のようにやわらかくなる。
可食部は皮とその内側の身、中心の種とワタは日本食においては食べることは珍しいが、西洋では種をナッツの一種として食用する。また品種によってはおもちゃカボチャのように加熱しても皮が硬いままで食べられないものもある。
蔓状の茎が地面に這うように広がるが、朝顔のように支柱を必要とすることはない。ただし、家庭菜園でスペースが足りない場合は必要になってくるし、坊ちゃんカボチャのように果実が小さい品種は支柱に這わせると果実が土で汚れないためきれいな果実が収穫できる。
花は雄花と雌花に別れて咲くため、昆虫や人間の手などによる花粉の媒介が不可欠である。
アメリカ大陸原産で、ウリ科野菜には珍しくデンプン質が豊富なため大航海時代以降、慣れない土地で食糧不足に陥った移民たちの命をつないだだけではなく、その有用性からあっという間に世界中に広まった。
文化的には、アイルランド系移民によってハロウィンのランタンの材料として、かつて使われていたカブに取って代わって一般化した。
上記のハロウィンや日本の冬至のものだけではなく、ボスニアなどの東欧では収穫せずに放置すると吸血鬼が生まれる、スリランカでは病魔の王サンニ・ヤカーに捧げて健康を祈る、などの伝承も生まれている。
このタグが付けられているイラストは、ハロウィン関連のイラストが多い。
その他には、カボチャを使った料理のイラストなどがある。
品種
栗かぼちゃ
西洋カボチャの品種のうち、市場でもっともよく見られる品種。果実が栗のような食味からこの名がある。果実は一般的には扁球系で、品種によっては果実の先が尖って栗の実を逆さにしたような形状のものや、ラグビボール型になるもの、ヘチマのように細長くなるものがある。
代表品種に「えびす」「みやこ」「くり将軍」などがある。
果皮は黒皮、白皮、赤皮、青皮がある。まれに果皮が黄色味のピンク色の品種もある。明治期に北海道に渡来していたハッバードという品種が原型。こちらはまさかりを使わないと割れないほど固いためまさかりカボチャともいわれる。
ミニカボチャ
果実が全体的に小さい品種で、日本カボチャの「小菊」や、ペポカボチャに属する品種のうち、菊座型で白地に濃い緑色の縦縞模様の「錦甘露」や模様のない「テーブルクイーン」も含めることもあるが、普通は西洋カボチャの中でも果実が手のひら大の大きさになるものをいう。
「坊ちゃん」「ほっこり姫」「栗っプチ(旧名は栗坊)」などの品種があり、いずれも保存がきき、また栄養素もえびすカボチャの4倍以上含まれる。
アトランティックジャイアント
西洋カボチャの一種で、香川県小豆島ではこのカボチャの大きさを競うコンテストが行われる。
果実はとても大きくなり、オレンジ色に熟す。自身の重みで果実がひしゃげるため、果実が大きいものほど見た目が悪い。
果肉は大味になりやすく、食用にはあまり向かないためもっぱら砕いて家畜の餌にする。
コリンキー
夏に農産物直売所やスーパーの地場野菜コーナーで見かけることが多い品種。西洋カボチャの一種で、黄色いタマネギ型の果実が特徴である。
受粉から1週間ほど立った頃の若い果実を収穫し、サラダや漬物に調理して食べる他、完熟したものはジャムにされる。
菊カボチャ
日本カボチャの一品種で、上から見るとキクの花のように見えることから。果実は黒に近い緑色から熟すと赤みの強い茶色になる。地方ごとの在来種が多い。また、表面が溶岩のようにでこぼこしている縮面(ちりめん)という品種もある。
「牧野新日本植物図鑑」では「ボウブラ」という名称で本種の図版が登場し、「本種(ボウブラ)をカボチャと呼ぶのは正しくない」としている。
鹿ヶ谷カボチャ
京都の伝統野菜の一種で、果実は瓢箪型で溶岩のようにでこぼこしている。こちらも熟すと黒っぽい緑色から赤みの強い茶色に変色する。種子は果実の下部に入る。
京都安楽寺では夏にこのカボチャを食べるカボチャ供養が行われる。「牧野新日本植物図鑑」では「カボチャ 一名トウナス」という名称で言及され、「ボウブラよりやや遅れて導入され、京都近郊で栽培されたためシシガタニの名もある」としている。
バターナッツ
近年日本でじわじわと浸透しだした品種。元々はアメリカの品種だが植物学上では日本カボチャ。瓢箪型でベージュ色をしている。種子は果実の下部に入る。
煮付けるのにはあまり向かず、お菓子やスープにする。
鶴首カボチャ
柄杓型をした珍しいかぼちゃで、日本カボチャに分類される。福岡県や宮崎県などで多く栽培され、おそらくは中国で栽培されたものが導入されたと思われる。歌碑の表面の色は最初は黒に近い緑色だが、熟すと黄色くなる。種子は果実の下部に入る。
島カボチャ
バターナッツかぼちゃのように瓢箪型で、果皮の表面は緑色地に黄色い散らし模様が入る。
沖縄県で栽培されてきた品種で、前述の通り大喰は瓢箪型だが、自家用に栽培されるものは菊座形やパパイヤ型をしている。
ズッキーニ
ズッキーニの項を参照。
オモチャカボチャ
オモチャカボチャの項を参照。
金糸瓜(そうめんカボチャ)
オモチャカボチャやズッキーニと同じペポカボチャの一種で、果実は俵型で薄い黄色。種をとって果肉を茹でると繊維がそうめん状に解れるためこの名がある。炭水化物が含まれないためダイエット食によい。
Pumpkin
アメリカの品種。オレンジ色で大きさはまちまちだが平均すると大玉スイカほどである。こちらはハロウィンのランタンにしたりパイやプリンを作ったりする。
キントウガ(金冬瓜)
現在は見られなくなったが、江戸時代の植物図鑑である「本草図譜」に掲載されているカボチャの一種。後に植物学者の牧野富太郎によりペポカボチャの一種であると判明している。大型で果実は黄色味のオレンジ色で、冬瓜に似ていることからキントウガの別名がある。ちなみに、丸型のタイプがありそちらはアコダウリと呼ばれる。
カボチャをモチーフにしたキャラクター
特撮
ゲーム
絵本・神話
その他
ネタ
余談
- ハロウィン用のものはオレンジ色で大きめのものはハロウィンカボチャ、小型で色や形が様々なものはおもちゃカボチャないしは飾りカボチャと称され観賞用に栽培される。またジャンボカボチャと言う重さが200kgを超える品種もある。この2種類は味が薄いため食用には適さず、観賞用以外はピクルスに加工するか砕いて家畜の飼料にする。
- 玄関先や庭先にジャンボカボチャを飾る場合は、内部が腐敗して液状化するために撤去するタイミングを誤ると大変なことになるので注意が必要である。
- 日本で食べられているカボチャは英語で「スクワッシュ(squash)」と呼ばれていて、パンプキンですらなかったりする。ただし、日本のいわゆる栗かぼちゃを海外で「Japanese pumpkin」と呼ぶ例もあり名称の混乱が起きている。
関連タグ
野菜 植物 食べ物 西洋カボチャ ペポ ズッキーニ どでカボチャ
表記ゆれ