誘いに導かれしものは
疾風にさらわれ その風が闇の化身と知る
贄は避けられぬ闇に覆われしまま
生果てるまで吸い尽くされ
給仕はひたすらに主への緑酒を捧げ続ける
贅を尽くし満を持して 闇は月光の下 姿を現す
概要
『モンスターハンターライズ:サンブレイク』のメインモンスター。
白銀の甲殻が美しい気品漂う古龍種で、別名「爵銀龍」。
獲物の精気を奪い、糧とする生態があり、夜の闇に紛れて獲物の背後に忍びより襲いかかり、そのエネルギーを吸い尽くしてしまう。何気に明確に食性が判明している数少ない古龍だったりする。
凛とした優雅な見た目に似合った気品を感じさせる優美な動きと、獲物を瞬時に捕らえて精気を吸い取る残忍さの両面を兼ね備えた多彩な技を持ち合わせている。
外見は一見すると王道スタイルのドラゴンといったところだが、よく見ると顔全体が白い甲殻のようなものに覆われ、さながら髑髏でできた仮面を被っているような印象を受ける。怒り状態になると、赤い眼光が眼窩(がんか)の奥から見えることも相まって、見る者に底知れぬ威圧感と恐怖心を与えてくる。
周囲に共生関係にある妖しく光る蝶のような羽を生やしたヒルのような生物「噛生虫キュリア」を従えており、それらを率いて獲物を誘導、捕獲したり、首にネクタイのように張りつかせることで彼らからエネルギーを受け取れるようである。さらにハンターの生命力を吸収すると秘められた凶暴な本性を剥き出しにしたさらなる変貌を遂げるともいわれている。
実際に、プロモーション映像第2弾ではキュリアを追いかけていたリオレウスを強風とともに連れ去った上で首筋を咥えて捕らえたあと、弱ったリオレウスを埋め尽くさんばかりと大量のキュリアが群がり生命力を吸い尽くすというショッキングなシーンがあるほか、前脚につかみ上げられた女性ハンターが口元へ運ばれ、しゃぶり付かれて吸血されるさまを翼でゆっくりと覆い隠していく拘束攻撃の様子も映っている。
戦闘中においても小型モンスターを前述したキュリアで襲撃、吸収するなど、古龍種のなかでは珍しい行動を取る。また、臨戦態勢以外では座り込む頻度が高かったり、弱っていないにもかかわらずクエスト開始直後に眠ったりといった行動を見せるなど、緩急が激しいモンスターでもある。
異国の地にある王国を何度も崩壊寸前にまで追いやってきた恐るべき古龍であり、かつて繁栄した文明が見る影もなくなり今はモンスターたちの牙城となった「城塞高地」に取り残された古城を住処としており、王国の領域を脅かさんとする最大の脅威にして最重要ターゲット「王域三公」の一体に数えられている。
戦闘能力
外見はいわゆる“ドス古龍”骨格なのだが、同様の骨格を持つ既存の古龍と比べても身体能力に優れており、ほかには見られない独特な動きでこちらを翻弄してくる。尻尾と翼は突き刺す、叩きつける、薙ぎ払うなど、特に強力なメル・ゼナの主要な武器として利用される。その攻撃の一つひとつもトリッキーなものが多く、素早い動きで尻尾を叩きつけたのちに地面に沿わせて尻尾を刺突する攻撃や、翼を払う動作で衝撃波のようなものを生じさせる攻撃などが見られる。
ブレス攻撃も扱い、龍属性の炎のようなエネルギーを地面に向けて発射し、前方扇状に連鎖爆発を起こすブレスに加え、従えるキュリアから球体のエネルギー弾を放つといった行動も見られる。
総じて速度の緩急が激しく、静止状態で姿勢を固めたと思ったら、突如素早い攻撃を繰り出してくるなど、不意を突かれることが多い。
怒り状態になると悪魔のように目が赤く発光する。より威圧的な容姿となるが、メル・ゼナの真の脅威は形態変化後にある。
戦闘開始からしばらくすると翼を畳んで直立、咆哮とともに赤黒いオーラをまとい、形態変化する。
この状態は「血氣活性状態」と呼ばれ、メル・ゼナの甲殻は黒ずみ、翼膜や体毛の一部などが赤く変色する。多くの攻撃が二連続になって手数が増えるなど、より苛烈な攻撃を仕掛けてくるようになる。
行動にも変化が見られ、この形態となったメル・ゼナが身を隠すように翼を畳むと、メル・ゼナの体が影にも似た黒い霧のようなものに包まれる。そして次の瞬間、さながら瞬間移動のような超高速度での移動を行うという、初見では度肝を抜かれる技を披露する。
点と点で移動するかのような衝撃的な見た目に反して、形態変化中の使用頻度が極めて高く、その上直後に攻撃を行うため、回復のために一度退いたにもかかわらず遠くから一気に距離を詰められてとどめを刺されることや、突然ハンターの側面に回って不意打ちを喰らうといったことが多々ある。
この超常現象と見紛うほどの移動能力は、体に纏ったキュリアを介して溜め込まれた膨大なエネルギーの波動を利用した高速移動であり、キュリアからの精気が十分に満ちた血氣活性状態の時のみ使用できる「技」である。
のちに登場することになった、メル・ゼナの原種ともいえる「原初を刻むメル・ゼナ」も、キュリアに寄生される前の本来の姿では使用することはできず、キュリアの浸食がすすむにつれ、この技が解禁されていくこととなる。
形態変化中は常に不意打ちに気を配らなければならないため、非常に危険かつ厄介な反面、ライゼクスの電荷やマガイマガドの鬼火と同様に、体毛のある発光している部位などは大きく軟化しており、さらにこの手の形態変化のご多分に漏れず、ダメージを与えると解除とともに大ダウンを狙えるというメル・ゼナにとってもハイリスクな形態であるため、隙を上手く突いてダメージを与えることが求められる。
解除しないままでいると、鬼火臨界状態マガイマガドの”大鬼火怨み返し”のように大技を放ってくる。飛び上がったあとにフィールド円周に爆発するブレスを放ち、技の終わりに真下へ向けて爆発するブレスを発射。龍属性の衝撃波を拡散させてフィニッシュとし、通常の形態へと戻る。
メル・ゼナ戦独自の仕様として、一部の技を受けると「劫血(ごうけつ)やられ」になり、メル・ゼナとの生命力の駆け引きが発生する。
具体的には、自然回復が発生せず、回復アイテムの効果も減少した上で継続ダメージが発生し続けるが、代わりにモンスターへ攻撃を命中させると与えたダメージに応じて自身の体力が回復するというもの。『MHXX』の「妖刀羅刹」や『MHW:I』の「龍脈覚醒」に近いと思われる。
体力が0になると、共生していたキュリアと体を覆っていた赤黒いオーラが周囲に霧散していくという、さながらジンオウガのような討伐演出がある。
メインモンスターらしく、★5以上の多くのクエストに登場する。
特に高難度クエストへの登場が多く、「高難度:優雅たる爵銀」「高難度:真実を追い求めて」「高難度:月夜の舞踏会」「高難度:紫電一閃」「高難度:傍若無人に一太刀を」「凶双襲来:紅の回帰」などのアップデートで追加された高難度クエストに加えて、集会所最終クエストにあたる「高難度:災厄を祓いし猛き炎」にも登場するなど、何かと恵まれている。
余談
- デザインモチーフは吸血鬼もしくはドラキュラ伯爵をメインコンセプトとしており、古龍としてどのような災厄をもたらす存在なのかの生態設定やビジュアル、モーションの両方に通じるキーワードとして「伯爵」、「気高さ」、「高貴さ」、「狡猾さ」などを加えながら詳細を詰め、現在のデザインに至ったという。
ちなみに、「ドラキュラ」は“竜の息子”を意味する(本来は「ドラクル(竜公)」を意味し、ドラキュラとして有名なヴラド三世の旗印のワイバーンからついた異名であるが、串刺し処刑などによって政治的、宗教的敵国扱いを受けた際、キリスト教において竜は悪魔である事から「ドラキュラ(悪魔公)」と呼ばれたのが語源)言葉であり、ある意味ドラキュラの本質にもっとも迫ったキャラのひとつと言えるのかもしれない。
- サンブレイク発売前に配信された体験版では前回のマガイマガドと同じく、上級者向けのクエストとしてこのメル・ゼナの討伐クエストが用意された。制限時間も15分となっており、かなりの強敵に仕上がっていた。
- 王域三公のルナガロンと同じエリアにいる場合、縄張り争いを行う事がある。ルナガロンによってひっくり返されるも切り返し、逆に尻尾で拘束。そのまま大きく引き摺りつつ上空へ投げ、飛び上がったメル・ゼナが勢いよく地面に叩きつけて縄張り争いが終了するという古龍の格の違いを見せつける縄張り争いとなっている。
- 形態変化時の瞬間移動はメル・ゼナと距離を取っていると、こちらに高速でスライドしてくる姿が見える。点と点で移動するテレポーテーションではなく、黒い霧を煙幕として用いた高速移動のようだ。また、この際、ほとんど四肢や翼を動かしていないが、これはメル・ゼナも単なる身体能力で移動しているわけではなく、キュリアによってもたらされる莫大なエネルギーを、「波動」として放出、それに押し出されるように動いているからである。公式のフェイスブックのインタビューなどにてその詳しい原理が明かされている為、興味がある人はそちらを検索してみることをお勧めする。煙幕と蟲を用いた高速移動と言えば、カムラの里ハンターのファストトラベルに通ずるものがある(大翔蟲+煙幕)。
- 戦闘前の睡眠や、戦闘中の捕食行動、戦闘直後に座り込む姿から、古龍種としてもエネルギーの効率が悪いのではないかという説がある。メタな設定的に見れば吸血鬼やドラキュラ伯爵といったイメージから普段は眠っている、生物から吸血を行うというイメージを反映したものだと考えるのが自然だが、クエスト開始直後の睡眠や戦闘中の捕食などは古龍種としてはかなり異質。メル・ゼナの行動が、岩盤がえぐれたり風圧のエフェクトが発生したりする様子も相まって、消耗が激しそうに見えるのもそう思わせる原因の一端かもしれない。
- 戦闘BGM名は『朱に染むる夜宴/メル・ゼナ』。上記のキーワードを活かした作曲になっている。また、有料DLCを購入すると集会所や観測地点で公式アレンジされた『朱に染むる夜宴/メル・ゼナ:メタル ver.』を聴く事も可能になる。
- 白銀の美しい甲殻は西洋甲冑をモチーフにしており、『モンスターハンターライズ』におけるメインモンスター・マガイマガド(東洋の鎧兜がモチーフ)と対になる形になっている。
関連イラスト
関連タグ
ZAZY……CMネタ。
DIO……吸血鬼関係かつ瞬間移動のような能力つながり。体験版の配信後、多くのハンターから上述の攻撃から呼ばれるようになった。こちらも瞬間移動に見える攻撃にはカラクリがある。
イヴェルカーナ……前作のメインモンスターで「ドス古龍骨格」「気品と優雅さを感じさせる風格」「鋭い尻尾を主体に戦闘する」という点が共通している。また、無料タイトルアップデートにより復活した際、本種との縄張り争いが追加されている。
歴代メインモンスター
マガイマガド(モンスターハンターライズ)→メル・ゼナ(モンスターハンターライズ:サンブレイク)→???(モンスターハンターワイルズ)
外部リンク
※以下討伐後のイベントにつき、ネタバレ注意!
メル・ゼナが討伐された事で宿主を失ったキュリアも直に消滅して行くのでは…と思われていたが、その勢力は衰えるどころか逆に増していく一方であり、ついには城塞高地一帯をモンスターの死骸で埋め尽くすほどの脅威と化してしまった。
それもそのはず、なんとキュリアにはメル・ゼナのほかに真の主が存在していた。メル・ゼナはキュリアの真の主に対してかねてから敵対していたと同時に、自身もまた知らぬままキュリアに命を吸われ、彼らに利用されていたうちの1体に過ぎなかったのだ。
メル・ゼナ自身は本来キュリアを使用する能力は持っておらず、真の主によりキュリアを放たれたが、キュリアの力を克服し、何とそのまま共生関係を結んでしまうという驚愕の適応性を発揮していたのである。
その真の主が猛き炎の手で討伐されてしばらく経ったのち、ふたたび百竜ノ淵源の出現報告が入る。そして百竜夜行の再来を阻止するべく挑む主人公に手を貸す乱入者の1体として、新たに名乗りを上げたのだった。
フィオレーネ「待て、様子が変だ。」
2023年6月に予定されているボーナスアップデート。
公開されたPVには、メル・ゼナが出現する城塞高地の4番エリア。そしてそこに向かう主人公ハンターとフィオレーネ。現れた敵を前に古傷を抑える彼女は声高らかにここで決着を付けることを宣言する。
「ここで、終焉を刻む!」
謎の斬撃によって一部が裂かれたロードマップ。そこに映されていたのは我々のよく知るメル・ゼナとよく似た独特の形状の翼と咆哮。しかしその体色は通常個体の真紅ではなく、淡い藍色に染まっていた‥‥。