注意
本記事には東方Projectの二次創作作品である「幻想少女大戦」のシリーズ全般に関する次のネタバレが含まれます。
- 本記事の示す特定のキャラクターに関する事柄全般
- 上記1.に関連して、「幻想少女大戦」シリーズ全般に関わる全体のストーリーの概略
- 上記2.に関連して、作中の一部のエピソード
同作シリーズに関するネタバレを望まれない場合は本記事のこれ以降の記述はお読みにならず、
本記事から移動してください。
本記事では、当該のキャラクターが登場する各作品間の連続性の観点及び本記事構成の都合上、例えば
「(未プレイの)第四作のネタバレは避けつつ(クリア済み)の第三作の部分だけ見てみようかな」
といったニーズには対応できていません。
シリーズを通したプレイ及びクリアがまだの場合も同様に以降の記事をお読みいただくことは推奨できませんので、この場合も本記事の以後の記述はお読みにならず、本記事から移動してください。
概要
東方Projectの二次創作作品である幻想少女大戦のシリーズに登場するオリジナルキャラクター。
普段は「メーコ」と呼ばれるため、「数え羊の」を冠した名前は通り名や二つ名のような位置づけと言える。作中のキャラクター紹介では原作東方Projectで語られるような二つ名としては先述の通り「なし」となっているが、記述部分では「数え羊」が二つ名のようなもの、ともされている。
「 私は数え羊のメーコ。れっきとした羊の妖怪よ 」(メーコ、「幻想少女大戦 夢」)
幻想少女大戦は「幻想少女大戦 紅」、「幻想少女大戦 妖」、「幻想少女大戦 永」、「幻想少女大戦 夢」の四作品から成る四部作構成の作品であるが、「数え羊のメーコ」としてその姿を伴って登場するのは最終作の「夢」である。しかし実際には「紅」を含む全作品にその登場が見られており、霧雨魔理沙をはじめとした多数の人間や妖怪と出会っている。
ただし初登場含めそれ以前は他の姿に変化しており、その正体は「夢」序盤まで不明であった。
オリジナルキャラクターと原作キャラクター
「幻想少女大戦」制作サークルであるさんぼん堂は、二次創作作品にオリジナルキャラクターを登場させることについて賛否があることを了解し、自サークルメンバー間においても議論があったとしている。
その状況にあって、「幻想少女大戦」の四部作構成では特定の東方Project原作キャラクターを最終的な敵役として設定するのではなく、(本作中に登場する)原作キャラクターを極力多くプレイヤーサイドにする(=「嫁」を敵役にしない、あるいは敵役のままにしない)ことや、多数の原作キャラクターたちを味方に巨大な相手に挑むという本作の二次創作ならではロマンを大切にしており、最終的な敵役にはオリジナルキャラクターを設定することでこれを実現している。
オリジナルキャラクターのテーマ曲もまた、専用のオリジナル楽曲となっている。このとき、「二次創作内のオリジナル」という点の議論と葛藤は音楽面を通してもそれがあったことなどが「夢」サウンドトラックにおけるブックレットでも語られている。
いわば原作キャラクターたちを全力で愛するためのオリジナルキャラクターという側面も帯びたものである。
幻想少女大戦作中、及び同作におけるさんぼん堂のオリジナルキャラクターに関する視点や位置づけについては「永」ゲーム中ライブラリーの「シロ」キャラクター紹介項目(ライナーノーツ部分)も参照。「永」クリア後の全情報解禁後の記述が詳細。
「夢」においても複数のキャラクター記事などでオリジナルキャラクターの意味について触れられている。
一方で「一堂に会した原作キャラクター」を実現するにあたっても解決すべきテーマがある場合もある。
一部の原作キャラクターについてはそのキャラクターの性質上特定の場所を離れて他の面々と同行できるのか、別の場所に移動してしまって大丈夫なのかといった、同行自体が難しいのではとされるキャラクターもある。
例えば原作東方Projectのキャラクターである鍵山雛は、その「厄神様」という性質上本人の意思とは無関係に他者に「厄」を与えて不幸をもたらしてしまう。「話題に出すだけで不幸になる」ともされるなど、徹底的にアンタッチャブルな存在として見られることもある。
東方Project原作者もまた雛の取り扱いについては特有の難しさがあると言及する(『東方外來韋編』参、メディスン・メランコリー紹介項目)など、雛が集団活動することにはハードルがある。
幻想少女大戦においても雛が多数のキャラクターたちの集いに同行できるかについて「 設定的に議論の余地がある 」ともされており、創作上のテーマとしてその難しさに直面している(鍵山雛キャラクター紹介、ライナーノーツ部分。「妖」他)。
二次創作作品である幻想少女大戦作中では、雛本人も当初人々の輪に加わることを遠慮していたが、他の妖怪や人間たちに輪に交わるよう誘われ、そして受け入れられたことで雛自身もまた宴会の機会を皮切りに弾幕戦も共にする中で自然と馴染んでいく。
また雛自身の他者への思いやりの深さは人々に苦しみや不安・恐怖を与え続ける(=「厄」の過剰な発生にも至りかねない)異変に対して、解決に身を投じようという想いにも至っており、多数の幻想郷住民たちが異変解決に乗り出すとあって雛もまたこれに積極的に参加するなど、雛側からの意欲も高い。
雛からの動機と雛を輪の中に加えていこうとする周辺の想いとが重なって、雛もまた一堂に会する原作キャラクターたちの輪の中に溶け込んでいくのである。
ただし作中では厄を集めたり溜め込んだり振り撒いてしまったりという性質を無視して物語を進行させているわけではなく、以後も雛本人がそれに気を使って人々の間に入ることをためらったり言葉を発することのできない(SOSを発信できない)相手に対する接触を雛側から極力避けたり、厄を嫌う人々の住まう場所に赴くのを控えたりといった様子も見られているなど、雛の個性としてエピソード中で関連をもつこともある。この雛の特性はメーコとの間でも話題となったり対話のテーマとなったりすることがある。
「 仲間になれないのは悲しいのでご容赦を 」
(「妖」他、鍵山雛キャラクター紹介・ライナーノーツ部分より)
雛もまた、幻想少女大戦の「登場する全てのキャラクターに味方としての活躍の機会」を、とのコンセプトを実現する一人であり、そのための工夫がなされたキャラクターの一人でもある。
キャラクター個別のテーマ曲という観点でも、原作東方Project中で個別のテーマ曲を持たないキャラクターについては当該のキャラクターについての原作中での関連から例えば原作CD収録作品をベースに本作独自の楽曲アレンジで対応するなど、音楽面についてもキャラクターの集合を実現すべく原作リスペクトを多分に含んだ可能性の探究がなされている。
このような雛や原作で個別のテーマ曲未設定のキャラクターの例をはじめ、本作では原作キャラクターの集合を実現するために本作ならではのアイデアが多数織り込まれており、それらのアイデアがそれぞれの作中エピソードを通して集い、最終的にメーコなどのオリジナルキャラクターへと挑むのである。
作中での登場
メーコは先述の通り「紅」から登場しており、それ以降すべての作品に登場している。
「紅」から「夢」の第3話相当話(第58話)までは浮遊する小さな白い毛玉のような姿をしており、言葉を発することもない。ただし体をゆするなどして意思を表現することはしていた。
毛玉当時の名前は「シロ」で、命名者は魔理沙(「紅」)。そのネーミングについて魔理沙と親しくなった面々からは「 安直 」とも言われている。シロとしての外見は原作東方Projectにも登場するケセランパサラン(『東方茨歌仙』)の白色のもの、といったイメージ。
シロ時代を含めると、全作を通して作中の「幻想郷縁起」(キャラクター紹介)に作品ごとの記述を伴った個別の記事がある、いわばシリーズ皆勤キャラクターの一人。
「紅」
異変調査の帰り道(第3話)、河城にとりとともに魔法の森の中でキノコを探していた際に「 でっかい胞子 」あるいは白い「 毛玉 」として発見された。
捕獲しようとする魔理沙の手を逃れつつ、そのまま魔理沙らとともに魔理沙宅までついてくる。
家の中では捕獲に対応できる道具があったこともあって、今度は本格的に捕えられることとなる。
捕獲後に納められた場所は「 なめ茸 」が入っていたというちょっと生臭い瓶。
なお「 瓶詰め 」の処遇は妖精たちなどには脅し文句として通用する。
魔理沙は言葉を話さぬ小さなシロについて雑に扱うようでいて魔理沙なりの愛情をもって接しており、自身の追い求める魔法について話しかけたりシロが何を食べるのか試したりと、シロとの関係を楽しんでいる。
魔理沙はシロを捕まえて以降、不思議な夢を見るようになる。
その夢では何者かの言葉を通して今まさに起こっている異変の首謀者の所在地や探索すべき場所などが語られ、魔理沙はこの夢の、いわばお告げのような言葉に導かれて「紅」における異変である「紅霧異変」の中心へと突き進んでいくこととなる。
「妖」
引き続き魔理沙のペットとして登場。本作では瓶詰から解放されている。
移動中などは魔理沙の帽子に入っていることも。
魔理沙のもとから離れることもあるが、しばらくすると戻ってくるため、自由にされている。
本作では魔理沙以外の複数の面々との交流も生まれており、魔理沙以外の誰かに懐いて魔理沙のジェラシーを買ったり神社で森近霖之助に預けられたりといった様子が見られている。
霖之助からは動物として認識されている。
一時期魔理沙がとある場所に捕らわれた時なども帽子の中に隠れて共にあった。
そのため拘束下で眠りに落ちた魔理沙に夢のお告げを伝えることも出来た。
しかし夢はもちろんのことシロ本人も脱出のために何らかの物理的な助力を行うことはできなかった。
本作でも魔理沙からシロ(毛玉)に手足があるかどうかまさぐられるなど、荒っぽくもフレンドリーな、魔理沙らしい接し方がみられている。
前作で夢を通して何者かの言葉を受けたのは魔理沙だけであったが、本作では魔理沙以外のとあるキャラクターにも夢を通した接触が行われている。ただしこちらは相手に何かを告げたり情報を教えたりするものではなく、相手の境遇に対する共感や励まし、心配に近いものであった。しかし言葉を受けた側が長らくの強い緊張状態にあったことに加えて言葉そのものが直接的過ぎたこともあり、かえって不安を煽り、強いストレスを与えてしまう結果となった。
「永」
「永」ではそのストーリーの進展によってシロと魔理沙らとの関係は大きく変化する。
これに合わせてシロの行動もこれまでとは大きく異なるものとなる。
- 前半
「妖」同様に魔理沙のペットとして登場。
序盤では魔理沙のもとから離れており、博麗霊夢らの一行に同行していた。
霊夢によれば瓶入りのまま神社に放置されていたとのこと。
瓶詰の処遇から完全に開放されたわけではなかったようである。
一行に魔理沙がいなかったこともあり、夢のお告げは魔理沙以外の人物になされている。
このキャラクターは先の「妖」でも夢を通して言葉が贈られている。
時に扱いが際どい魔理沙の手からは離れたものの、こちらでも漬け酒のタネにされかかるなど苦難が続く。
一連の騒動の後は再び魔理沙の元に戻り、新しく開催されたとある展覧会を共に回るなどしている。
魔理沙によればシロは展覧会ではどこか落ち着きがなかった様子である。
- 中盤
展覧会での刺激を経て新天地への憧れを得た幻想郷の面々にあって、魔理沙もまたその動向に乗じ、新しい土地への冒険に臨もうとしていた。
そして様々な準備を経ていざ出発という折、魔理沙は再び夢を通して言葉を聞くこととなる。
しかしここでの言葉はこれまでのように魔理沙の冒険を力づけるものではなく、その冒険を取りやめるよう求めるもので、別世界の価値観を拒絶するものだった。
夢での対話は平行線となり、魔理沙はこの要求を受け入れることなく、声の主に冒険の無事を祈るよう願い、夢の主もまたやむなくそれを受けるのだった。
この冒険ではシロは魔理沙宅でお留守番となった。
- 後半
冒険は思わぬ波乱となったものの、魔理沙もまた無事に帰還する。
そして帰還後、以前は話の途中で途切れてしまった夢の相手と再び夢を通して話すこととなる。
今回は夢の相手は忠告を目的としており、守矢神社の面々など外来の、「新しいもの」に対する強烈な警戒を説いた。相手が警戒を向けた人々に実際に触れている魔理沙はこれに反発するも、夢の相手は感情的にこれを制しようとする。
自らが危険と断ずるものを排斥しようとする様に、魔理沙は夢の相手からのこれまでの情報提供などを感謝しつつも明確に反対の意を示す。
夢から明け、後日この夢について他の面々に魔理沙が意見を求めた際、同席していたある人物によってシロや「シロの本体」ともいえる夢の主らについて語られる。その人物によれば、シロは夢の主の「使い魔」。
魔理沙らはその話を通して夢の主とシロに不穏なものを感じるようになる。
このような経緯もあって、直後に発生した怪異の調査ではシロは博麗神社において行かれる(柱に括り付けられる)こととなった。
- 終盤
魔理沙らはその後異変解決に挑みこれを無事丸く収めることに成功するが、事が落ち着いたかと思われたその場にシロが突如として登場する。
シロは、当該の異変を起こしたものの、すでに和解していた相手に対してシロと同じような姿をした多数の黒い毛玉たちをけしかける。この際の攻撃を目の当たりにしたとあるキャラクターは、シロの中に攻撃対象に対する明確な敵意と、幻想郷を含むすべての楽園的世界からの排除を成そうとする念の存在を見、そのためなら元異変の首謀者の生命さえ感知しないという意思を読み取っている。
シロらの攻撃の結果、異変の元首謀者の力は暴走して制御不能となり、本人の意図とは無関係に幻想郷や関連する世界にも破滅の危機をもたらすこととなった。
魔理沙らはなんとかそれを収めるものの、その暴走は幻想郷の一部に甚大な被害を与え、異変の元首謀者にも心身ともに深い傷を負わせることとなった。
これによってシロと魔理沙らとの関係は決定的に断絶することとなる。
「夢」
「永」での決別以後シロはしばし行方をくらましており、魔理沙たちもその行方を追っていた。
その足取りをつかむことはできなかったが、妖怪たちが開催した先の戦いからの復興と未来への進歩に向けた新しいイベントに際してシロの側から行動をおこし、魔理沙たちの前に姿を現した。
当初はこれまでの様に毛玉として現れていたが、魔理沙らに追い詰められたことで「メーコ」としての正体を現す。毛玉からの変化を解いたことで言葉(発話能力)も回復した。
メーコは自身の目的と、その向こう側にある「夢渡まくら」(むわたり-)という存在について魔理沙らに示し自らの目的を遮らないよう語るも魔理沙らに受け入れられることはなく、言葉を通しても両者は道を分かつこととなる。
ここまでが「夢」体験版で語られるメーコにまつわるストーリーであり、続く「夢」本編ではメーコのさらなる活動や暗躍が語られることとなる。
来歴
メーコは近年までは外の世界にあった。
しかしメーコの妖怪性の基である「羊の数え歌」が人々の間で信じられなくなり否定されようとしたことでその存在性は薄まっていた。羊の数え歌とは、眠れないときに羊が一匹、羊が二匹…とカウントするとやがて眠気がやってきて気付けば眠っている、というもの。
存在の危機にさらされていたころ、同じく人々の間で「夢」の意義が薄まっていたことでその存在性が消えようとしてた夢にまつわる妖怪であるまくらと出会う。まくらもまた存在の危機にさらされていたものの、力も居場所も失ったメーコをまくらは助け、メーコにとってもまくらは支えとなっていった。
二人は外の世界での辛苦を経て、やがて結果外の世界で忘れ去られたもの、非常識とされたものが流れ着く土地である幻想郷へと至る。
二人が幻想郷に至ったころはちょうど紅霧異変の前兆や妖怪の山での問題の発生など表面化の有無にかかわらず大きな騒動のさなかであったため、二人がひっそりとやってきたこともあってか結界の管理者たちもメーコやまくらの幻想郷入りを見落としていた。
幻想郷に至ってからは偶然出会ったとある人物の助力を受け、まくらと共に幻想郷の観測をはじめる。そしてまくらが幻想郷の姿から自身の理想を見出すと、その実現のためにメーコもまたまくらの元で行動を起こすのである。
東方Projectにおいては妖怪やあるいは神でさえ、否定されたり忘れ去られたりすれば存在が消滅する。そしてそれらの消滅の危機に瀕した幻想の存在を受け入れることができるのが幻想郷である。
幻想少女大戦においても、この原作設定が生かされている。
性格
シロ時代のメーコは言葉を発しないものの先述のようにボディ(?)ランゲージで意思疎通を図っており、瓶に納められるなど嫌な状況には抵抗したり(「紅」)優しくしてくれる心地の良い相手にはじゃれたり(「妖」)とその身体を用いた表現は豊かである。
言葉はなくとも感情豊かで人懐っこい、愛嬌のある振舞いであったこともあり、これが「永」終盤での一連の動向へのギャップにもつながる。
メーコ本人としては、気が小さくそれでいて調子に乗りやすい。状況や雰囲気に流されて内々の事情を一部話してしまうなど調子に乗りやすいところに加えて思慮の浅いところもあるものの基本的な部分はまっすぐにして純朴で、大切な誰かのために自身を擲つ意志の強さも持つ。
シリーズ全体を通して、とても一生懸命。
小心さか心配の故か状況をネガティブに捉えがちであるが最終的には「まくらのため」という筋の通った信念を軸に状況を好転させようとするアクティブさも持つ。
ただ、作中のアクティブさは時にはその状況だけに悲壮な覚悟と言えるものであることもある。
まくらへの想いは先述のように外の世界で力を失っていたところ、同様の境遇にあったまくらに拾われ共に苦しい日々を過ごし、それでもまくらに励まされてきたことなどによって醸成されてきた。
作中では揺らぐことのない信頼や忠誠心などの形で語られている。
幻想郷に至ってまくらがその理想を見出すと、その実現のために身を投じて力を尽くす。
先述のような、シロ時代の瓶詰などの様々な苦難にも耐えながら、まくらからの魔理沙らへの助言などを仲介してまくらの意向を実現し続けてきた。
そしてまくらと魔理沙らが反目して以降、メーコ(シロ)もまた様々な冒険や日常を共にしてきた魔理沙から遠ざけられるが、この離別を機に自ら行動を起こすことを決意したまくらの戦力として先述の「永」終盤のような極めて過激で危険な行動をおこし、魔理沙らとも直接的に対峙することも厭わない姿勢を見せる。
この際のメーコの心を強く支えているものもまくらへの想いである。
まくらについて語る際はメーコもまた生き生きとしている。
メーコは「まくらの役に立つことができる」こと、「まくらの夢の実現のために力を尽くせる」ことを心の底からの喜びとしている。
ただし、一方的にまくらの意向を唯々諾々と遂行する依存や思考を放棄した服従・妄信という訳ではなく、敬愛するまくらが願っている世界を(以前の幻想郷へ至るまでの自身の苦しみの体験もあって)自らも理想とし、その実現のためにまくらの力になる、というメーコ個人の意思、内側からの動機づけがしっかりとある。その想いは、終盤に(無茶なものではあるものの)メーコの力ともなる。
その実、長く共にあった魔理沙らに恩を感じていたりシロ時代に様々な人々からかけてもらったやさしさを覚えていたり、大切なまくらの理想のためながら自分が他者を傷つけたことについて心を痛めてもいるなど、メーコ自身のやさしさもまたある。
メーコの中には自らに力がないことに対する悔しさもあり、その自覚のゆえに行動力でカバーしようとしたり意思の力で無理やりに限界を越えようとするなどメーコを突き動かすものには理想への願いと同時に無力な自分自身(とメーコは思っている)への葛藤もまたある。加えてかつて人間たちに忘れ去られたという「受け入れられなかった」という想いがトラウマともなっている。
自分に力がないこと、そのために十分にまくらの力になれないことの悔しさを抱きながら、それでもメーコは奮闘を続ける。
戦線に立って以後は、強烈な個性を持つ、並み居る幻想郷の強者たちとも次々対峙することになるため、気苦労・ストレスは絶えない。弱気な部分や無力さへのコンプレックスもあるため、実戦経験豊富だったり元々の性格だったりで元気で強気で個性的な幻想郷少女たちの言葉には押される場面も多い。
しかしまくらの理想のために自他の戦力差をよくわかっていてもなお苦手な戦闘にも挑んでゆく。
例えば当初の戦略的な優勢を覆されて絶対的な劣勢に墜ち自身にも戦力にも大きなダメージを負ってなお自らを奮い立たせて(涙目になりながらも)退かない様、あるいは大切なもののためにボロボロに成り果てようとも最期まで諦めずに食らいつこうとする姿勢には、先述のようなメーコの想いの強さとその為に力を尽くしきる芯の部分の意志の揺るがない強さを見て取ることができる。
「 ここで私が負けたら、みんなとの思い出も星になっちゃう 」(メーコ、「夢」)
関連する作中のライナーノーツの言葉を借りれば、メーコについては盲目的で依存的といった見方と献身的で健気といった見方の両者がある。自身の弱さのコンプレックスとまくらへの忠誠心は自己犠牲を厭わない「 極端な精神性 」へと至らせており、「 悪行 」とも評される作中での行動も併せてキャラクター性のどこに注意を寄せるかによって評価が変わる、紙一重の部分がある。
環境や出会いこそ違えば、その根の部分の前向きさと明るさ、一生懸命で頑張り屋な部分から、どこか抜けた所も愛嬌に、人々に愛され信頼されていた個性かもしれない。
作中ライブラリなどで閲覧できる表情カットには困り顔や泣き顔、涙目、不安、ハイライトなしなど不穏なものが多いが、本編エピソード中では満面の笑顔や元気な表情、何かを誇るような表情、照れ顔など明るい表情も多い。
熱意がからまわって失敗したりコミカルな様子になることもあるなど、メーコのパーソナリティには人間的な多様な魅力も感じさせる(ただし本人は妖怪)。
まくら以外の関係性としては、作中ではメーコの戦力ともなった使い魔の羊たち(後述)のお手入れをしたりその食糧問題を考えたりと、羊たちについても心を砕いている。
ゲームキャラクターの「気質」パラメータは「慎重」(「夢」)。「気質」はステージ中の「パワー」の増減に補正値を掛けるもので、「慎重」のキャラクターも特有の増減補正値を持つ。
ただしあるシーンでは別の性格へと変化しており、補正値の特性も変化したものに対応するものとなっている。
メーコとまくら
メーコがまくらに対して絶対的な信頼を寄せるように、まくらの側にも、かつて同じ苦しい境遇を乗り越え、今は自らの夢にまっすぐに共感し、行動してくれるメーコに対する深い愛情があり、「永」最終盤のような目的のために過激で冷徹な判断を下すこともあるもののメーコについては始終心配を傾け続けていた。
かつての「 求めても求められなかった 」というまくらの絶望感はメーコの人々に求められなくなる絶望感にも共通するもので、作中での切なる夢の実現のためなら犠牲を厭わないという心理状態にまで追い詰められた緊張感もまた二人に共通している。
同様の体験から外の世界の進歩的なもの(人々の昔ながらの素朴さを失わせるもの)を嫌う点も共通する。
例えばメーコについて、シロ時代の先の「永」における展覧会での落ち着きのなさなどについてシロの正体としてのメーコを知る人物によれば幻想郷とは異なる世界の文化文明に対する警戒的な心情によるのではとされ、実際にメーコは後にその展覧会を開催した人物たちに対して(展覧会の開催という点とは別に)怒りや拒否の想いをぶつけてもいる(「夢」)。
それぞれの妖怪性という観点ではメーコが人々に害をもたらしその恐怖を糧とするタイプの妖怪ではないのと同様にまくらもまた悪夢を食べ吉夢をもたらす「獏」として人々に有り難がられる「聖獣」としての側面ももつ存在であるなど、そもそもの存在性の基盤における人間との関係性についても共通点を持つ。メーコもまくらも人間に対して本来は友好的。
原作東方Projectの一部の人物に見られる評価である「 人間友好度 」(※)であれば、平時であれば「高」や「極高」などの評価がなされたかもしれない。
加えて、メーコは眠りをもたらし、まくらは眠りの中で出会う夢を操るという、互いの能力が「眠り」という生命の生理現象の過程を通して影響しあうことのできる二人でもある。
※稗田阿求による評価尺度のひとつ。『東方求聞史紀』他。友好度などを通した阿求による他者評は幻想少女大戦作中でも阿求の執筆物に登場してる様子で、会話中にもそれを基にしたものが一部登場する。
容姿
シロに変化していた際は、先述のように白い毛玉の姿をとる。
瓶に入れられたり魔理沙の帽子に隠れたり、あるいはどこかに縛り付けられたりという描写から、そのおおまかなサイズを想像できることだろう。
なお、幻想少女大戦にはシリーズを通して名物の敵雑魚キャラクターとしての「毛玉」バリエーションがあるが、一連の毛玉たちとは異なりシロには顔のようなものはなく、シロは本当に毛玉状態である。
メーコとしては長袖・スカート・パンプス風の靴といった基本要素で、メーコならではの特徴として羊の角のようなものが各側頭に一対ある。髪の色は白色の傾向がより強い明るめの灰色。
羊毛の質感の、もこもことした髪はやはりウールのような独特のうずを巻くようなくせがある。
後ろ髪は背中中央付近から腰付近までの長さで、先の方を黄色のリボンでまとめている。
伸びた後ろ髪の毛のも先端含めかなりもこもことしている。
瞳の色はブラウンがかった濃い黄色の系統から成る。
スカートのカラーは白地と青緑系統の二色。正面や縁の全体に白色の柄や模様がみられる。
スカートの下にはドロワーズを着用している。
ソックスについては着用している可能性と着用していない可能性があるが、着用していると見る場合は赤系統の、薄い朱色に近いものをドロワーズの足先方向の中まで履いている。ハイソックスのようなものかもしれない。
靴のカラーは黄色系統、黄土色が近いか。
手には先端が野草の「ぜんまい」のようにフック状に折れ曲がった「クルーク」と呼ばれる杖を持つ(次述)。その長さはメーコの背丈と同等程度かやや杖の方が短い。
また容姿とは異なるが、とある演出でのみ、その声を聴くことができる。
これは原作東方Projectにみる「にゃーん」や某狼女の遠吠えにも近い感覚であるが、メーコの場合変化を解いた後の姿のシーンでこれが実装されている。
なお、「幻想少女大戦」の最終版の黒幕に関わるストーリープロットは「紅」の段階から設定がなされ「夢」開発段階でもぶれることなく制作が進められたが、一方のメーコに関してはシナリオ上流動的な存在だった。
さんぼん堂サークルメンバーの記述によれば、メーコは当初「 最期まで毛玉の親玉 」のような位置づけで、「メーコ」としてのキャラクターは形成されていなかった。
しかし制作過程で個別のキャラクターを形成する提案がなされ、容姿などについても「 羊の妖怪 」や「 見た目は幼く 」などの要素を盛り込みつつ「数え羊のメーコ」が形成されたという生誕の過程がある(幻想少女大戦制作記録 2017年2月15日付記事)。
メーコのキャラクター造形に至る経緯は「夢」の「メーコ」キャラクター紹介項目でも裏話なども交えながら語られている。
「夢」サウンドトラックにおけるブックレットによれば、メーコは「 羊、羊飼い、ふわもこ 」といった「 割とオーソドックスな組み合わせ 」のイメージによる。同作中では決定稿に至るまでのメーコの様々なイメージデザインも掲載されている。ここではケープの着用や長めのスカート丈、比較的ストレートな髪先など、作中に登場する姿以外のメーコの様々な可能性をみることができる。
次述の「クルーク」にも様々なバリエーションが想像されており、中には牧場の柵のような、メーコの羊飼いの要素を強く想像させるものも見られる。
そしてブックレット中には二人のデザイナーによるそれぞれのメーコが描かれている。
確認できる範囲での両デザイン間での違いは主に腕(長袖上の手首部分)に金色のブレスレット様の装飾を身につけているかどうか。
同ブックレットでのカットの一つではメーコは左手を腰に、クルークを手にした右手を外側にしており、体幹部分正面をよく把握することが出来る。ゲーム中のメーコは胸元付近でクルークを両手で持っていることから一部のドット絵によるカットを除いて正面だけが見える機会が少ないこともあり、立ち絵を通した正面カットは貴重である。
またもう一つのメーコのカットはその周辺の要素・シチュエーションも含め、「夢」をクリアしたプレイヤーにはその意味が深く理解できるものともなっている。
メーコのデザインの考案が開始されたのはブックレット掲載の年表によれば「永」サウンドトラック頒布後であり、その中にはかなり野心的なデザインもあったことが没案併載で語られている。
「夢」サウンドトラックのブックレットでは容姿などに関連するものの他にもメーコに関連した様々な事柄が語られており、さんぼん堂においてメーコが愛されている様子も見られている。同時に、その道のりについてメーコ関連の変遷は容姿だけでなくシナリオ面でもあったと語られており、初登場シナリオや終盤のイベントでそれぞれの形でリテイクが発生していたとしている。
「クルーク」
「クルーク」とは、羊飼いがもつ、先端が野草の「ぜんまい」のように杖軸方向に湾曲した「シェパーズ・クルーク」(「羊飼いの杖」)と呼ばれるもの。
長い距離を歩く遊牧の民の歩みの支えとなることをはじめフック状の先端で羊たちが食べる牧草に混ざる危険な雑草の有無を調べるため草原を薙いだり群れから外れた羊をひっかけて群れに連れ戻したり、あるいは野生動物から羊を守る際には武器としても使われるなど、その用途は多岐にわたる。
「羊飼い」はキリスト教ではイエス・キリストの象徴(イエスがたとえ話として用いた「善き羊飼い」が由来)として語られることもあり、「善き羊飼い」に導かれる、イエスや神に救いを求めるすべての迷える人々を指す語として「ストレイシープ」(「迷える羊」)がある。
プロテスタントなどの教職者の階位の一つに「牧師」があるがこれも先の羊飼いの例えを基にした「羊飼い」を意味するラテン語「 Pastor 」に由来する名称である。
本作中にも「ストレイ」の語はエピソードタイトル他複数の形で登場する。
シェパーズ・クルークの「脱落した羊を救う」という用途からは、「救いを必要とする人々(ストレイシープ)を救う」というニュアンスにも繋がっており、キリスト教では宗教的な意味のある杖として司教の階位などで用いられている。
このようなキリスト教文化に由来して、日本でも比較的容易に見ることのできる身近なものとしてはクリスマスツリーの飾りの一つに、ストライプ柄などでコーティングされた先端がU字型に曲がったオーナメント(キャンディ・ケイン)があり、これのモデルがシェパーズ・クルークである。
その道具としてのコンセプトは今日でも重宝されており、日本でも例えば動物園で動物の管理のために使用されるアルミやゴムを構成素材とするシェパーズ・クルークもある。
メーコ自身もまた羊の要素を持つ妖怪にして多数の羊を使役する「羊飼い」であるが、一方でメーコ自身は外の世界では否定と忘却、無関心という存在性の根源に対する無自覚の迫害を受けた「ストレイシープ」でもある。
ここにあって純朴な羊飼いは自らを認め愛を寄せ、導きをもたらしてくれる「善き羊飼い」としてのまくらに出会い、そのやさしさに応えようと持てる力のすべてを賭すのである。
この他、エジプト神話のオシリス神もシェパーズ・クルークと同様に先端がフック状になった「牧童の杖」をもち、これは「ヘカ」と呼ばれるとも。
また余談ながら、pixivを運営するピクシブ株式会社の旧社名の一つに「クルーク株式会社」がある(2006.7~2008.10)。もちろんメーコとは無関係。
能力
作品に最初に登場した際の姿である毛玉のような姿に変化する能力をはじめ、毛玉状態でも空中を飛び回ったり身体を動かすなどして意思を示したりするなどの能力の表れがみられている。
毛玉状態でもかなりのスピードで空中を移動できる。
自身の身体を通してまくらの夢を操る能力を仲介することが出来、先述のようにまくらが魔理沙らと夢で対話する際の重要なファクターとなっていた。
シロ時代の弾幕ごっこなどにみる能力のほどは不明ながら、自分と同様の姿をとる多数の黒毛玉達は連携して相手を圧迫したり、取り囲んだ状態で一斉放電したり、何らかの「接続」に食い込んだりと特殊な能力も発揮している。
またシロは一度だけレーザーを発射している(「永」)。
他の羊の使用するレーザーを見る範囲では、「ヒュプノス光線」に相当するか。
これは「夢」でシロが個別の敵ユニットとして登場した際には使用しない。
この他メーコのスペルカード(後述)である<数羊「カウントレスシープ」>でもその演出中に僅かな間ではあるがシロの変化形態をみせる。
毛玉の変化を解いてメーコとしての姿を示して以降はまた異なる特性の能力を披露している。
ゲーム中に設定されているメーコのキャラクターステータスは登場回によって異なるものの、主に次のようなものがある。
- 全体を通して固定の要素
登場回をまたいでも変わらないパラメータとして、「サイズ」や「コスト」といったものがある。
メーコのサイズは「S」で、コストは「2.0」。
味方側のキャラクターと比較すると、本作中では橙などがやはりサイズ「S」・コスト「2.0」である。
また「地形適応」というパラメータがあり、これはマップ中でそのキャラクターが現在配置されている「地形」に対する適応力を示すもので、「空」「陸」「水」「夜」の四属性から成る。D~Sの五段階(またはSSを含めた六段階)で評価され、「A」を軸に、B以下には負の補正、S以上には正の補正がかかる。メーコはすべて「A」。
ただし地形適応は武器にも設定されており、武器の地形適応はキャラクターユニットのものとはまた異なる。
シロの時はサイズ「SS」、コスト「1.0」で地形適応は空中A、陸上B、水中C、夜A。
メーコのウールは撥水性(水A)があるがシロ時代の直線的な毛の質感では水を吸ったりでその環境に弱い(水C)…などという想像もできるかもしれない。
- 精神コマンド
精神コマンドとはキャラクターごとに設定されている特殊な効果をもたらすコマンドで、それぞれの設定された「精神ポイント」を消費することで様々な効果を得たり相手に何らかの効果を与えたりすることができる。
各キャラクターに最大六つ設定されており、メーコの場合は次の六つが設定されている。
名称 | 消費値※ | 効果 |
---|---|---|
献身 | 20 | 指定した味方ユニットのMPを50回復 |
信頼 | 15 | 指定した味方ユニットのHPを2000回復 |
必中 | 10 | 使用してから1ターン、すべての攻撃の命中率が100%(上限値)になる。 |
直撃 | 10 | スキルや弾幕などで補正されるダメージ減少を無効化。一部これに優先するものもある |
集中 | 10 | 使用してから1ターン、命中率及び回避率に30%の正の補正がかかる |
捨て身 | 10 | 与ダメージが1.8倍になり移動時の弾幕効果も無視するが、攻撃後、必ず被弾する |
※消費値とは、当該の精神コマンドを使用するために消費される精神ポイントのこと。キャラクターごとに精神ポイントの保有数は異なる。基本的に一つの話の中で消費したものは特定のアイテムを使用したり回復に対応する技能を持たない限り同じ話の中では回復しないが、話をまたぐなどすると回復する。
この精神コマンドはシロ時代はまた異なり、次の五つが設定されている。
名称 | 消費値※ | 効果 |
---|---|---|
閃き | 10 | 次戦闘一回に限り敵の攻撃を完全に回避する |
鉄壁 | 10 | 一ターンの間装甲値が二倍になる |
必中 | 10 | (メーコ時と共通)使用してから1ターン、すべての攻撃の命中率が100%(上限値)になる。 |
直撃 | 10 | (メーコ時と共通)スキルや弾幕などで補正されるダメージ減少を無効化。一部これに優先するものもある |
集中 | 10 | (メーコ時と共通)使用してから1ターン、命中率及び回避率に30%の正の補正がかかる |
※上記注と同様
- 攻撃面
次のリストはメーコがもつ攻撃技・武器である。
名称 | 演出・性能 |
---|---|
クルーク | 杖による打撃攻撃 |
サンダー・ラム | 全身に電気を帯電させた後、杖に集約させて放出し相手頭上に雷撃を落とす。ウールと静電気という危険な出会い |
サンダー・ラム(MAP) | MAP兵器。MAP兵器とは反撃を受けず、さらに広範囲(マップ上の複数相手)を攻撃できるというもの |
どとうの妖怪羊 | 黒羊を召喚し、突撃させる。その際は本人もそのどとうの突撃に巻き込まれる |
この他、幻想少女大戦特有のシステムとしてマップ上の一定範囲にステータス・パラメーターダウンと味方側または敵側に特殊効果を付与するなどで常時影響を与える「弾幕」の展開があり、メーコもまた弾幕を展開する。メーコの弾幕には「パワーが一定値以下の敵軍(ここでは魔理沙ら自軍側)のキャラクターを行動不能にする」という効果がある。
シロの時の攻撃は「体当たり」のみ。
この他とある場面では「殴打」という技が追加されることがある。演出は必見。
- 防御面
次のリストはメーコがもつ特殊な防御・補助系の能力である。
名称 | 効果 |
---|---|
ウールガード(メーコ) | 全属性のダメージを1100軽減(MP5消費) |
HP回復(小) | ターン開始時、HPが最大値の10%を回復 |
特殊耐性 | パワー下限が100となる他、一部のバッドステータスやデバフの類を無効化する |
ウールガードにみる「全属性ダメージ軽減」とは、「バリア貫通」という特殊な付与属性をもつ攻撃以外のすべての攻撃を一定量(ここでは「1100」)軽減するというもの。効果発揮には「MP」という数値を消費し、「MP」は様々な武器や技を使用する際にそれぞれごとの消費がなされることがある他、空中を移動すると移動したマス目の分だけ消費する。
ダメージには相手側の「攻撃力」に関わる様々な要素の他、防御側の「装甲値」をはじめ「地形適応」など両者の変数が組み合わさって計算される。
この他「特殊技能」としてHP(体力)が低下するほどに命中率・回避率・防御力・クリティカル率に正の補正がかかる「底力+」(「底力」+「気合避け」)、自弾命中・回避成功・被弾・相手撃墜のすべてで通常よりも「パワー」の上昇に正の補正がかかる「P回収(オール)」、パワー上限が通常の150から170になる「パワー限界突破」、パワーが規定数以上の時に命中・回避のパラメータに正の補正がかかる「見切り」、サイズ差による与ダメージを無効化する「サイズ差補正無視」などをもつ。
この特殊技能についてまとめると、メーコは相手との体格差に関わらずダメージを与えることができ、また自軍の羊などが倒されたり相手をやっつけたり、あるいは自分が攻撃をあてたりダメージを受けたり避けたりするほどに上限はあるものの「パワー」やパラメータに補正がかかっていくわけである。右肩上がり。
さらに後半には新たに一つ技能が解放され、攻撃スタイルもさらに強化される。
一方でその解放と共に防御能力の一部を失う。
- その他
とある場面ではどのような経緯かは不明ながら「おいも」(さつまいも。ゲーム中に登場するアイテムの一つ)を所持している。おやつだろうか。撃墜するとこの「おいも」を落とすので以後は自軍側のアイテムとして使用できるが、妙な罪悪感がある。
なお、「おいも」については「夢」サウンドトラックにおけるブックレットにて、さんぼん堂の歴史においても特別な思い出があるものとしての記載がある。
スペルカード
「 こんなときのため みんなと一緒に特訓してたんだから! 」
(メーコ、自身のスペルカードについて。「夢」)
メーコは今日の幻想郷の流儀であるスペルカードルールに則ったスペルカードも準備している。
ただし実際のスペルカード(及びスペルカードルール)の意味とは違った理解の仕方をしている。
一部のものを除いて個別の武器として使用され、戦闘シーンにも個別の演出がある。
スペルカード名称 | 弾幕効果※ |
---|---|
羊符「マウントシープ」 | 相手側に回避不能・移動不能を付与する |
数羊「カウントレスシープ」 | パワーが一定値以下で行動不能・戦闘後相手のパワーを10減少させる。メーコのカットインあり |
夢顕「無限羊」 | 攻略まで特定の使い魔的キャラクターを生成し続ける。攻撃技としては使用しない |
※「弾幕効果」とは、先述の「弾幕」のようにマップ上で常時自分または他者に影響を与えるもの。
この他にもさらに複数のスペルカードも展開する。
枚数を負うたびにスペルカードの深度も高まるものの、メーコ自身もまた失われていくこととなる。
黒毛玉・羊たち
シロ時代に使役した黒毛玉は主に集団戦法をその戦術としており、上記の様に自身を顧みない突撃、集団で包囲しての圧迫・放電などの攻撃が見られるほか、遠距離の相手に対してはシロと同様にレーザー(ヒュプノス光線)を発射する(「永」)。
この黒毛玉の正体はメーコが使役する「黒羊」であり、この黒羊はもこもこの羊毛に羊のような巻き角をもつ。外見は羊毛による毛玉のような外見で、角以外のものを確認することはできない。
毛玉たちもメーコの変身解除と同時に変化を解かれており、その際には毛玉時代の雌伏を経て晴れて豊かなもこもこの羊毛も解放されるため、あわせて黒羊などは「ウールガード」などの防御系の特殊能力も解放される。
ライナーノーツによれば、この羊たちは自身が動物の性質を帯びる妖獣とは異なり、メーコの使い魔のような存在であるため、分類としては妖怪に位置する。
羊には黒毛のものの他、赤毛のものや白毛のものもある。
大きさや力、あるいはゲームキャラクターとしてのステータスの長所と短所のパターンも様々。
メーコは先述のように自身の戦術や自らのスペルカードにおいても羊たちの力を借りている。
メーコの力の高まりによって羊の数も増えるなど、メーコと深く連動している。
羊たちはメーコらの数的戦力ともなっており、相手との戦力差を圧倒的な数で埋めていく戦術も採る。
加えて羊たちとの連携という点では上記以外の特殊なシステムとして、第58話(「夢」第3話相当)などでは後述の黒羊たちとの連携によって「数え羊」の能力を発揮するものもあり、大量に召喚した黒羊たちが撃墜されるたびに相手側に眠気をもたらし気力が低下する(ゲーム中では「パワー」パラメータが低下する)といった特殊な現象も引き起こす。
力の源であるメーコを中心とした「カウントシープ」と呼ばれるこの現象は、まさに「数え羊」である。
このとき、メーコが自身を中心に一定範囲に展開する弾幕に「パワー」が一定値以下の相手に対して行動不能(移動・攻撃不能)を付与する弾幕を展開するため、別キャラクターが遠方で黒羊を倒していたらいつの間にかメーコに接近していた(弾幕効果範囲内に入っていた)キャラクターが行動不能状態になる、というシーンも生まれ得る。
「 羊は数えれば数えるほど深みにはまるものよ 」(メーコ、「夢」)
さらに羊たちを幻想郷全域に密かに多数配置することでまくらの力を広域に影響させてまくらが幻想郷中の夢に干渉し、それらを操作できるようにするための中継地点としても活躍した。
幻想郷中の夢といういわばビッグデータとその夢の魔力を管理する羊など、縁の下の力持ちな存在もある。
この他メーコは羊たちに名前も付けており、それはどこかで聞いたようなパロディともなっている。
毛繕いで機嫌を良くするなど羊としての性質も持ち、メーコもまた羊たちを大切にしている。
テーマ曲
最初にテーマ曲が語られるのは「夢」においてメーコとしてその姿を表すと同時というタイミングである。
メーコについては二種類の曲がつくられており、次の記述のうち前者のものはメーコ全般に使用され、後者のものはストーリーの進展とともに展開される。
- 瓶詰の仔羊~Fall Asleep
- ディスペアシープ~瓶詰の仔羊
メーコがオリジナルキャラクターであるのと同様に、楽曲もまたさんぼん堂オリジナル。
作曲者はいずれもIbiza氏。両曲とも「夢」サウンドトラックにも収録されている。
「瓶詰の仔羊」は、ライナーノーツによれば「(メーコの) 見た目通り牧歌的に芋っぽく 」つくられており、さらに「 どことなく欧州系で、過去を背負ってる感じ 」が込められている。
作中に登場するに至る歴史を表すような物悲しさを内包した、そして今のメーコの張り詰めた想いが表れているかのような旋律。
「ディスペアシープ」はサブタイトルにもあるように先の瓶詰の仔羊のセルフアレンジ曲。
ライナーノーツでは、この曲が登場する際のメーコの状況と併せて冗談めかしつつ「 自分達で生み出したオリキャラへの容赦のない仕打ちにさんぼん堂の闇を感じます 」と回想されている。
先述のように「夢」サウンドトラックのブックレットによればメーコ関連では終盤のシナリオについてリテイクが発生しているが、その理由にもこの「闇」を見ることができるかもしれない。プレイヤーにもよるところではあるが、当初のシナリオがどのようなものであったのかになおさらのこと興味を惹かれるものとなっている。
この他、同様にオリジナル曲である「羊たちの見る夢~Labyrinth of Nightmare」(Ibiza作曲)にも先の「瓶詰の仔羊」のフレーズが含まれている。
なお、「紅」から「永」までのシロ時代は個別の戦闘シーンを伴って闘いの矢面に立つことはなく、会話シーン中でも独自のBGMを伴って展開されるようなエピソードももたないため、個別のテーマ曲などは設定されていない。
「夢」サウンドトラックにはボーナストラックとしてメーコのテーマのアレンジである「メーコ・ソニヤンド」(cobu作曲)も収録されており、同曲にはまくらのテーマである「Dreaming Beauty~夢見る美しさ」の旋律も織り込まれている。
pixivのタグとしては
pixivのタグとしては「数え羊のメーコ」の他、「メーコ」のタグも使用されており、併用されているものといずれか一方だけが使用されているケースがある。
検索の際は「幻想少女大戦 メーコ」など併記した検索ワードを使用するとより多数の作品にあたりやすい。
また「夢」発表時点では原作東方Projectに「メーコ」の名前を持つ、あるいはその呼称を愛称などとするキャラクターなどは登場していないため、同現在時点と同様の状況においてはpixivで検索する際は「東方 メーコ」と検索すると「東方」のワードで「東方二次創作」や「東方オリジナル」などのタグに反応できるため、「幻想少女大戦」の作品名が使用されていない場合でも検索対応の一助ともなる。ただし原作に特定のキャラクターの人名や愛称含めなんらかの名詞・呼称等としての「メーコ」が登場した際は検索結果が重複してその精度が低下することも予想される。
pixivにおいてタグ面から確実にこのキャラクターを指し示すことができるタグは、本記事の連動している「数え羊のメーコ」の表記によるタグである。
pixiv検索ワード例
(2017年7月末現在では、両者の検索結果は「数え羊のメーコ」単独の検索結果と同一である)
- 「幻想少女大戦 メーコ」
- 「東方 メーコ」
(参考)
- 「数え羊のメーコ」
関連イラスト
関連タグ
饕餮尤魔・・・後に東方剛欲異聞に登場した羊の姿をしたキャラ(ただしこちらは原作のキャラで、中国神話に登場する四凶のうちの一角である饕餮が元ネタ)。こちらもストーリーの終盤で主人公たちと対峙する。
外部リンク・参考
外部リンク
参考
- 「善き羊飼い」
「良い羊飼い」とも。
出典はヨハネによる福音書10章7節で、その前段である同福音書10章1節から5節のたとえ話をうけたもの。
以下を含め全ての聖書出典参考は日本聖書協会発行による「聖書 新共同訳」(1997)による。
良い羊飼いは羊たちを守り、羊たちをよく知り、羊たちもまた羊飼いをよく知っている。
良い羊飼いは群れの外部にいる羊たちにも気を配る。
また苦難や暴力にさらされても良い羊飼いは羊たちを見捨てずに命を懸けて羊たちを守る、とするもの。
対比して、雇われた羊飼いであれば借り物の羊のために命を投げ出して狼などから羊を守ることはせずに逃げ出してしまう、ともしている。
そしてイエス自身は羊を守り抜いて導く善き羊飼いである、とする。
同じく「羊」をもとにしたたとえ話として「迷い出た羊」(マタイによる福音書18章1節から5節の話の流れを受けた同章10節から14節。あるいはルカによる福音書15章4節から7節)や「羊の囲い」(ヨハネによる福音書10章1節から5節)というたとえ話もある。
当時の人々にとっても羊は身近な動物であったため、例えとしてもイメージしやすかった様子である。
旧約聖書でも古くは創世記に羊にまつわる記述があり、アダムとエバの子であるアベルが羊飼いとなって後に神に仔羊を捧げている(創世記4章2節及び同章4節)。
このアベルの行いにも見られるように羊は古くから生贄のための動物としても扱われており、旧約聖書・新約聖書にも贖罪のためにささげられる羊などとしてその概念が登場する。
旧約聖書では人間の原罪(生まれながらの罪)の償いとして、新約聖書では人間の原罪を背負って捧げられた人としてのイエス個人を指す。イエスもまた神が遣わした「仔羊」とも称されている(ヨハネによる福音書1章29節。洗礼者ヨハネによるイエス評)。
先述の通り旧約聖書の時代から羊は生贄としてささげられる動物でもあり、新約聖書ではこのモチーフがそのままイエスの死に符合して捉えられている。
メーコには先述のように「羊」と「羊飼い」の要素が多数含まれているが、これらの「贄」としてのモチーフもまた、とある場面でメーコにもみられている。