なまはげ
なまはげ
概説
中の人などいない。
藁蓑に身を包み、冬の寒さも気にせず人里に突然現れる。赤や青の面妖な鬼の顔で、
「泣ぐ子(ご)はいねぇが(泣く子はいないか)」
「わりいごはいねぇが(悪い子はいないか)」
と声を張り上げて包丁や松明を振り回し、子供を震え上がらせる。
なお、該当する子供は連れ去られて食い殺されてしまうという話もあるが、現在では目一杯泣かせることで子どもの無病息災を祈願するという儀式的な意味合いが込められている。
原形については諸説あるが、現在において本質は「山の神の分霊」であるとしており、どのなまはげもそれぞれ固有の名前を持っている。
なまはげにも組合があるらしく、規則正しいなまはげの生活を送っている。秋田県では「なまはげに扮した人間」がたまに事件を起こすことがあり、見分けが付かないと人もなまはげもそれには頭を抱えている。
赤いのが男で「じじなまはげ」、青いのが女で「ばばなまはげ」というらしい。
ちなみに東北地方では「夜に口笛を吹くとなまはげが出るぞ」という言い伝えがあるらしい。
名前の由来
諸説あるが、有力なものとして「なもはぎ」がなまったものという説がある。
「なも」とは、東北の方言で【低温やけどの痕】・「はぎ」とは【剥ぐ】という意味。
火傷のあとを剥いでいるものに襲いかかる、要するに囲炉裏に足を向けながらダラダラと寝ている怠け者に襲いかかるという意味からきているらしい。
その他
知名度はそこそこ。秋田県を知らなくてもなまはげの存在を知っている人も多いと見られる。pixivでは擬人化したりキャラクターにコスプレさせている絵が見られる。どういうわけかハロウィーンにも出番が回ってくる。ひどい時にはクリスマスのアンチにも使われるのはどういうことだ。
なまはげの仲間
「仮面を付けた神霊」というのは、世界中各地に存在する。翁や天狗の面を被って行う舞いは、日本に住んでいればどこかで目にした事もあるだろう。下甑島の「トシドン」、 硫黄島の「メンドン」、悪石島の「ボゼ」、宮古島の「パーントゥ」、八重山諸島の「アカマタ」「クロマタ」もその一員である。
2018年11月29日にはそれらの仲間と共に「来訪神:仮面・仮装の神々」としてユネスコの無形文化遺産に登録されている。
日本国外では、特にアフリカ各地の秘密結社(青年団のようなものが主流で、通過儀礼は秘密だが存在自体は秘密ではない)の仮面が知られているが、それ以外の地域にも存在し、クリスマスには、ドイツ南部やオーストリアを中心とした地域に、やる事がなまはげとほぼ同じ「クランプス」が出現する。
なまはげの危機
昨今、なまはげたちの肩身が非常に狭い事態に陥っている。
理由は核家族化と伝統文化への無関心が最大の要因とされている。
代々その土地に棲んでいる人からすれば、なまはげが家々を回って台風のように往来するのは見慣れた光景なのだが、遠方から引っ越してきた昨今の若い人たちからすると夜中に暴れる訳の分からない集団という認知しかしてくれず、子供にターゲットを定める性質から親が“子供への過保護”を発動させて邪険に扱ってしまうのだという。
またなまはげを家に上げるにも、実際は酒や料理を準備して丁重に持て成すのが礼儀なので、なまはげを迎え入れる家側もそれなりの負担を強いられる。
こうした要因から、以前のような暴れぶりはすっかり鳴りをひそめてしまい、現在のなまはげたちは否応なく現代社会の礼節に準ぜざるを得ない状況に追い込まれている。
それでも県在住の外国人の方々が理解を示し、なまはげのなり手になるなどして協力してくれているため何とか踏ん張っている。会場を借りてなまはげイベントを開催するような動きもある。それ以外だと少子化に伴って子供のいる家庭がまばらになった地域では、お年寄りだけの家庭にもお邪魔して安否確認をするようにしている。
また、なまはげの1人が不祥事を起こしたことが10年位前にあり、それも一因であろう。
「悪い子(ご)はいねがー」←お前だよ・・・てな風で。
秋田新幹線のCMに出演したあたりはそんなことなかったのだが。
ゲゲゲの鬼太郎のなまはげ
初登場はアニメ第1作63話。男鹿半島の行事で知られる鬼面の来訪神。面を操って攻撃する。神社に祭られた面をつけて悪戯をしていた高慢な大学生・東大助(あずま だいすけ)を懲らしめるために東の顔を面と同化させ、村人達が東を妖怪だと勘違いするように仕向けるが、東の顔を返すよう鬼太郎から追いかけられた末に降参する。原作は鬼太郎の登場しない水木の短編『なまはげ』で、アレンジされた展開になっている。
週刊実話版「野球の巻」では墓の下高校の野球部主将。1980年代『最新版』第5話では東北の民家に現れる。
第5作では25話の運動会で北日本代表として登場。格闘戦が得意。85話では妖怪城に囚われるが、妖怪四十七士の秋田県代表として覚醒し鬼太郎に力を貸す。