曖昧さ回避
概要
伝統的な日本家屋において床を四角く切って開けた所に灰を敷き詰め、薪などを熾すために設けられた場所。縄文時代の竪穴式住居の中心にあった炉がそのまま残ったものと考えられる。炭火を熾すこともできるが、囲炉裏のある家は多くの場合田舎の民家であったので、大抵は薪を使った。
東北地方などの寒冷地では規模も大きく、掘りごたつのように足を下ろせるようになっている場合もある。
都市部で囲炉裏を作れなくなった町屋では、囲炉裏の代わりに火鉢で炭火を使った。茶室にも囲炉裏と良く似た炉があるが、1尺4寸四方と囲炉裏より遥かに小さく、茶を立てることぐらいしかできない。
機能
暖房・調理のほか、団欒の中心としての精神的役割が大きかった。
茅葺き屋根を煙で燻すことで、湿気や虫が付くのを防ぐ機能もある。温暖な地域では囲炉裏と別にかまどを設置していたが、東北地方や北陸地方の農山村ではあらゆる調理を囲炉裏で行っていた。
囲炉裏の上には自在鉤がぶら下げられ、鍋などを吊るして火力を調節した。またその上には火棚があり、燻製を作ることができる。また、着物掛けを炉辺に置いて濡れた着物を乾かした。鍋を火にかけるだけではなく、灰に食材を埋めて焼くこともできる。
デメリット
家の中で薪炭の燻煙をいつも浴びるのは健康に有害であり、昔の日本人に目の病気が多かった原因のひとつでもあったと考えられる。さらに柵などで囲われてるわけでないので、火事や火傷の危険もある。
有名所では1000円札でお馴染みの福島県出身の野口英世は幼児期に囲炉裏に手を突っ込んで大やけどを負い、片手の指が全てくっついてしまったそうな。後に手術を受けるまでは片手は使えず、イジメの対象にもなったらしい。
関連イラスト
オリジナル
版権
数える際には「基」を用いる。
「居炉裏」とも表記する。古くは、「比多岐(ひたき)」や「地火炉(じかろ)」とも言った。