あらすじ
とある未来の、とある都市。すべての情報が《情報省》によって統括されている社会。
ワープロに一匹のハエが侵入したことで、テロ容疑リストの「タトル」が「バトル」に誤植されてしまい、一般市民のバトルが連行されてしまう。バトルの上の階に住む女性ジルは抗議するが、相手にされない。
情報省記録局に勤務するサムは、不祥事のもみ消しを求める仕事場、アイチエイジングに必死すぎる親、親の持ってくる縁談に頭を痛め、コネで検束局に昇進させられそうになるのを拒んでいた。そんなサムは最近、空飛ぶ勇者になって美女を助けるという妙な夢を見る。
そして夢で見たのとそっくりな女性を見かける。それは情報省へ抗議に来ていたジルだった。
そんな折、サムの家のダクトが故障する。修理はセントラルサービスが行う法律だったが、勤務時間外なので来てくれない。そこへフリー(非合法)の修理屋を名乗る男が現れ、あっという間に直してしまう。その男こそ、当局からテロリストとして追われているタトルだった。
概要
テリー・ギリアム監督3作目。
サイバーパンクものではあるが、紙の書類が飛び交いコンピューターは旧式というアナログな世界観であり、レトロフューチャーな雰囲気が演出されている。一方、サムが見る夢のシーンは、ファンタジックな想像力に富んでいる。
統制された社会で窮屈に生きる人間の悲喜こもごもを風刺したブラックな内容は、観る者に痛烈な印象を残す。
ジョージ・オーウェルの『1984年(小説)』を現代向けにパロディした「1984年の『1984年』」がコンセプトにある。
原題は単に『Brazil』だが、ブラジルが舞台の話ではなく、主題歌に由来する。
ラストシーンで大きく印象が変わる演出があり、万人受けするラストを求めるユニバーサル・ピクチャーズとギリアム監督の間で騒動が起こった作品でもある。
このような経緯もあり商業的には失敗したが、愛好家の支持を受けてカルト映画と化している。
キャスト
役名 | 配役 | 日本語吹き替え |
---|---|---|
サム・ラウリー | ジョナサン・プライス | 島田敏 |
アーチボルド・"ハリー"・タトル | ロバート・デ・ニーロ | 池田勝 |
ジル・レイトン | キム・グライスト | 戸田恵子 |
ジャック・リント | マイケル・ペイリン | 江原正士 |