概要
福音館書店より刊行された短編童話集で、作者は中川李枝子。挿絵は中川の実妹である大村百合子が手掛けた。
表題作「いやいやえん」以外にも小話がいくつか収録されている。
主人公はちゅーりっぷ保育園の年少組「ばらぐみ」に通う少年・しげる。
ある時は年長組「ほしぐみ」のみんなと一緒に積み木で作った船でクジラ取りに出かけたり、色々な果物のなる山に登り果物を食べ過ぎて動けなくなったところを鬼の子供と出会ったりと、不思議な出来事に遭遇する。
表題作の「いやいやえん」は、イヤイヤ期のしげるがことあるごとに「いやだ」と駄々をこね続けてお母さんの手を焼かせたため、保育園の先生の勧めで嫌いなことはしなくていい「いやいや園」に入れられてしまう。
しかし、「赤は女の色だからいやだ」といったせいで赤いクレヨンが抜き取られたり、おやつの赤いリンゴが食べられなくなったり、しげるは次第に窮屈さを感じ始める…。
作風自体は児童書らしく可愛らしいのだが、親や先生に無理やり価値観のおかしな謎の施設にぶち込まれるという割とぶっ飛んだ内容に、幼い頃に読んで(あるいは読み聞かせてもらって)少なからずトラウマになった人もいるのではないだろうか。