『しらゆきとべにばら』(Schneeweißchen und Rosenrot、英:Snow-White and Rose-Red )
とはグリム童話のひとつ。
邦題は「しらゆきべにばら」「雪白と薔薇紅」「白薔薇と赤薔薇」とも表記されている。
物語
ある家の庭には2本のバラの木が生えていました。
一方は白い花をつけ、もう一方は赤い花をつけていたので、
その家に暮らす二人の娘はそれぞれ"しらゆき"と"べにばら"と名付けられました。
貧しいながらも、姉妹は母親とともに幸せな生活を送っていた。
しらゆきは母親の家事を手伝ったり、本を読んであげたり、とても静かでやさしい娘でした。
べにばらは草原や野原を走り回ることが大好きで、いつも生き生きとして明るい娘でした。
姉妹はお互いに相手のことが好きでした、そしてしばしば、死ぬまで一緒にいようと誓い合うのでした。
ある冬の夜、寒さにこごえたクマを家に入れて助けてました。
それ以来、姉妹はクマと仲良くなりました。クマも毎日姉妹のもとを訪れて、一緒に遊ぶなど、冬中楽しく過ごしました。
しかし、クマは春になると姉妹に、
「宝物を邪悪な小人から守るために一家の元を離れなくてはならない」、と別れを告げました。
家から出ていくクマを、しらゆきは寂しい思いをしながら、扉の前で見守っていると
クマの毛皮がコートかけに引っかかり、一瞬金色の何かが光るのを目にしました。
それから少しして、姉妹が森に行くと、一人の小人が木に長いヒゲを絡ませて、倒れていました。
小人は乱暴なもの言いで助け求めてきました。
姉妹はヒゲを引き抜こうとしたがうまくいかず、結局しらゆきは絡まった長いヒゲをはさみで切って助けました。ところが、小人は助けられたのにお礼も言わず、木の根の間から金貨のつまった袋を取り出すと、さっさと行ってしまいました。
それから少し経ったある日、姉妹は川でヒゲを魚に咥えられ、川へ落ちそうになっていたこの前の小人を見ました。
姉妹は釣糸をほどこうとしたがうまくいかず、結局姉妹がはさみでまたヒゲを切って助けてあげました。また、小人は悪態をついた後、真珠の入った袋をかついで、岩のかげに消えました。
それから間もなく、姉妹が買い物へ行く途中、二人はワシにさらわれそうになっている小人を助けてやりました。小人はまたお礼も言わず、宝石のつまった袋をかかえて去っていきました。
買い物から帰る途中、姉妹は小人が宝石を並べているのを見かけ、眺めていました。
「おれの宝石を、ジロジロ見るな!」、小人は姉妹に気付いて去ろうとしますが、
「それは、ぼくの宝石だ!」
そこへクマが現れて、小人をやっつけてしまいました。
するとクマの毛皮がハラリとぬげて、クマは美しい王子様になったのです。
王子様は二人に
「わたしは王子で、小人に財宝を奪われた挙句、熊にされる呪いをかけられ、小人が死ぬことによって呪いが解けた」と話しました。
かくして、しらゆきは王子と結婚し、べにばらは王子の弟と結婚しました。
彼らはみんな広いお城でいっしょに幸せに暮しました。
そして、姉妹の母も娘たちのそばで暮らし、
城の庭には、彼女の小屋の庭から持ってきた2つのバラの木が植えられました。
毎年夏になると以前そうだったように、2つの木とも、もっとも美しい白と赤のバラの花を咲かせました。