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子供たちが屠殺ごっこをした話

こどもたちがとさつごっこをしたはなし

グリム童話のひとつ。初版には収録されていたが、タイトル通りのあまりにも残酷な内容だったため、第二版以降は削除された。
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概要編集

子供たちが屠殺ごっこをした話(原題:Wie Kinder Schlachtens miteinander gespielt haben)は、

グリム童話』に収録されていた童話の一編。

初版には収録されていたが、あまりにも残酷な内容かつ、教訓性も殆ど感じられない話なため評判が悪く、第二版以降は削除されている。

 邦訳は、岩波文庫の『完訳 グリム童話集』(第一巻等 初版を訳したもの)などに収録。



また、余談ではあるが、『三人姉妹』という童話についても、描写が「最悪」かつ「昔話には違いないが、お話の新鮮さが無い」ということで後にカットされている。


削除の理由編集

 この童話が第二版においてカットされるに至った理由については、以下のようなものが挙げられる。


 第一に、お話(16世紀頃の本にあったものを“再話”したもの)を提供してくれたアヒム・フォン・アルニムが、グリム兄弟の本を見て、「自分の文章そのままだった」と、グリム兄弟へ苦言を呈したこと。


 第二に、物語の舞台について、「昔々どこかの国で…」というような抽象的な表現ではなく、後述するような具体的な言及が為されていること。


 第三に、屠畜のシーンの描写が具体的過ぎたこと。

他の童話、例えば『ハンスあるいは坊ちゃんハリネズミ』では、屠畜のシーンは

 「ハンスは村人に勝手ほうだいブタを屠らせました。いやもう、凄まじいのなんの、つぶすさわぎ、肉を切り裂く音は、二時間くらいの道のりの所まできこえました」

 といった抽象的で寓話的な文章によって描かれているが、この童話では、童話のセオリーとも呼べる婉曲表現が使われず、屠畜の過程が具体的に描かれている。



物語編集

1話編集

昔、フリースランドのフリェンチャル(現在のオランダ・フリースラント州)という町で、

5歳か6歳ぐらいの年端もいかない子供たちがそれぞれ役割を分担して"屠殺ごっこ"※1を始め

屠殺屋役の子供が豚役の子を殺してしまうという事件が起こった。


すぐさまこの事件は町の議会にかけられたが、当事者がまだ幼い子供であるため、屠殺屋役の子供を死刑にするべきか否かで話し合いは難航した。

そこで、長老の一人が赤々と熟したリンゴと高価な金貨を左右の手に持ち、

「この2つのうち、どちらか1つを子供に取らせてみよう。もし子供がリンゴを選んだら全くの無知無分別ゆえの事故であったと見なして無罪、金貨を選んだら価値判断の分別が備わっていた上での事件と見なして死刑にすればよい」と提案した。


果たして判定の当日、屠殺屋役の子供は笑いながら当然のようにリンゴを取り、子供は無罪放免となった。



(※1 屠殺ごっこの文章:役割がすっかり決まると、豚をつぶす人の役は、豚役になるはずの男の子につかみかかってねじ倒し、小刀でその子の喉を切り開き、それからお料理番の下働きの女役は、自分のちいさな容器でその血をうけました。  …と中々むごい)


2話編集

父親が豚を潰してるのを見た兄弟は、父親の真似をして"屠殺ごっこ"を始め、屠殺屋役の兄が豚役の弟の喉をナイフで刺して殺してしまった。

上の部屋で赤ん坊の末っ子に湯浴みさせていた母親は、その子どものけたたましい声をききつけて、すぐ駆け付ける。

そして、その光景を見ると激情にかられ、弟の喉に刺さっていたナイフで兄の心臓を刺して殺した。

その隙に末っ子が溺れ死に、母親は悲しみ悔やんで自殺する。

しばらくして畑仕事から戻った父親は、4人が死んでいるのを悲しみ、自分も死んでしまう。

結局、その家族は誰一人生き残らなかった。


関連タグ編集

グリム童話 封印作品


外部リンク編集

青空文庫 「子供たちが屠殺ごっこをした話」

(ヤーコップ、ウィルヘルム・グリム Jacob u. Wilhelm Grimm | 金田鬼一 訳)

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