タール22mg・ニコチン1.4mg、フィルターのない昔ながらの「両切り」と呼ばれる煙草である。香りづけはなされていないようで、煙は香ばしい香りがする。
いわゆる「旧三級品」と称する安煙草の一種で、味に雑味とばらつきがあるのが特徴。
ピースに次ぐタール20mg超えと大変に強く、しかも両切りという古典的スタイルの煙草である。
概要
煙草専売を行っていた大蔵省専売局が、日本専売公社となった昭和24(1949)年に発足と同時に発売された。名称は当初漢字で「新生」で、「ピース」と同じように平和を取り戻し復興することを願って名づけられたものである。現在のように平仮名となったのは昭和27(1952)年からである。
ゴールデンバットの陰に隠れ目立たない存在であるが、今も残る両切り煙草として貴重な存在である。
パッケージ・煙草本体
パッケージはからし色の地の上下に茶色の帯を台形にあしらい、その真ん中に"SHINSEI"の大きなロゴと"CIGARETTES"の小さな文字が入っている。
当初は「新生」の文字と緑の双葉が並ぶデザインで、地の色が白→ピンク→緑→黄色ところころ変わった後、昭和27(1952)年に黄緑地に上下に白線を引き赤地の筆記体で"Shinsei"、緑の筆記体で"Cigarettes"と書かれたパッケージとなって落ち着いた。
しかし昭和32(1957)年にまた変更がかかることになり何とデザインが3種類試作され、そのうち採用され翌昭和33(1958)年から発売されるようになったのが現在のものである。シンプルなスタイルであるが相当に手間をかけて作られたものであることが分かる。
このデザインは現在も踏襲されているが、注意書きの増加により変更が行われ、現在では箱半分まで天地が縮んでしまっている。パッケージは銀紙でくるんだもので、外のビニールはない。
煙草本体は本体に対し横向きに薄緑で"SHINSEI""CIGARETTES"と書かれている。意外にも色の割にはゴールデンバットより目立っていない。
シェア争い
今となっては信じられないことであるが、しんせいはあのゴールデンバットとシェア争いをしたことがある。
「新生」→「しんせい」は発売後、大衆煙草として大人気の銘柄となり、それまで大衆銘柄の地位を守っていたゴールデンバットを押しのける勢いで広がった。特に昭和29(1954)年頃の過熱ぶりは相当なもので、同じ国内で二つの銘柄が押し合いへし合いする事態となった。
ところが、この異様な事態に音を上げたのが当の専売公社であった。あまりにしんせいもゴールデンバットも作りすぎたために原料が不足し、供給不足に陥ったのである。このため煙草屋には「光」「いこい」(いずれも廃止)といった高めの銘柄しか出回らずに消費者が大迷惑をこうむり、ついに国会で専売公社の販売部長が呼びつけられ、議員に詰問される事態にまでなってしまった。結局、この争いは共倒れという形で終わったわけである。
その二銘柄が今や仲よく安煙草として店頭に並んでいるのは皮肉と言わざるを得ない。
愛飲者
愛飲者はゴールデンバットと違ってこれという人物はいないが、フィクションにはいる。『ルパン三世』の銭形警部である。
「銭形警部愛飲の煙草」として、このしんせいを知った人も多いと思われる。
また、麻雀漫画『アカギ〜闇に降り立った天才〜』のアニメ版にて、代打ち・矢木圭次が吸っている(原作では「わかば」である)。