解説
日本たばこ産業(JT)が製造・販売している日本の紙巻き煙草の銘柄の一つで、1946年の発売から現在に至るまで愛喫されている傑作。
米国産バージニア葉を主体に国産優良葉をブレンドした国産初の本格的バージニアブレンドタイプで、バニラ香料が添加され、ほのかに甘く柔らかな香りと深みのある味わいを持つ。
第二次世界大戦直後の混乱期に発売されこともあり、夢や希望、平和な未来への願いが込められている。
現行のパッケージデザイン(1952年~)は世界的に著名な工業デザイナーでラッキー・ストライクのパッケージも手がけたレイモンド・ローウィ。
彼が1951年に来日し、日本の産業界にデザインへの提言を与えた際に刺激された専売公社総裁が直々に依頼、日本の総理大臣の月給が11万円だった当時に150万円のデザイン料が物議を醸したが(これでもローウィとしては大サービスだった)上品で高級感のあるデザインが人気を呼んで売り上げが激増する大ヒットを記録。
このパッケージのために調合された紺色のベースカラーは「ピース紺」と呼ばれるようになったほど。
10本入り両切りタバコの「ショートピース」が元祖だが、フィルター付きの「ロングピース」の他、様々なバリエーションがあり、2016年6月1日にはピース発売70周年記念商品の「ピース・クラシック」(フィルター付き20本、平型缶入り)が発売された。
「缶ピース」(両切り50本、缶入り)は密閉され風味を長く保てるため、根強い人気がある。この缶をズボンの尻ポケットや鞄のサイドポケットに挿し込むのが流行ったこともあった。
喫味
「ショートピース」、「缶ピース」はタール28mg、ニコチン2.3mgと、現代的な煙草と比べて強いため、煙を肺に吸い込む肺喫煙だとキツイことがある。
口の中の動きだけで優しく煙を取り込んでゆったりと燻らせる口腔喫煙(いわゆる「ふかし」)で味わうと良い。上手く吸うことができれば、甘くまろやかな香りを楽しむことができる。
フィルター付きの「ロングピース」もタール21mg、ニコチン1.9mgあり、口腔喫煙が推奨される。
戦前のPEACE
1920年、大正時代の日本で同じく『PEACE』という銘柄の煙草が販売されていた時期がある。
こちらは欧州大戦(第一次世界大戦)の終結後、平和を記念したものと思われる。
有名な愛煙家
ピースは他のタバコと違って特徴のあるバージニアの香りが非常に強いタバコである。故にその味に惚れこんだ有名人も多いという。
実在の人物
内田百閒
柴田錬三郎
山本周五郎
小津安二郎
森繁久弥
久世光彦
丸谷才一(一日95本吸ったという超超ヘビースモーカーで知られる。)
中江真司(ロングピースを愛煙)