概要
東方Projectに登場する伊吹萃香、比那名居天子、秦こころの三名によるグループ。
萃香は『東方萃夢想』、天子は『東方緋想天』、こころは『東方心綺楼』にそれぞれ初登場した。
この三作品の制作はいずれも上海アリス幻樂団と黄昏フロンティアの両サークルが共同で行っており、ゲーム形態も上海アリス幻樂団単独制作作品にみられるようなSTGではなく「弾幕アクション」となっている。
三名は各作品で起こった「異変」の中心的なキャラクター達でもある。
交流
三名が同時に描かれる様子は描かれていない(2015年6月現在)が、作中では『緋想天』において萃香と天子が出会っており、共にストーリー中で交流する場面がある。
萃香は早い段階で天子に辿り着いており、天子に勝利した後は天界に居ついている。
『心綺楼』では萃香と天子が各々のステージから宗教家たちの戦いやその後のこころの活動を観戦している。また『東方鈴奈庵』では天子と思しきキャラクターが博麗神社で行われたこころの奉納神楽を鑑賞しているなど、各作品を通して萃香とこころの関係性を除いた二人以上の交流または出会いが描かれている。
博麗神社
三名はいずれも博麗神社を通しても縁を持つ。
特に天子が一度博麗神社を倒壊させた『緋想天』では、天子が博麗霊夢におしおきを受けた後に天人達を動員しつつ同神社を再建した。天子による要石もこの際に打ち込まれている。
しかし天子はその再建に平行して博麗神社に比那名居家との結びつきを仕込み、博麗神社とその土地とを自身の影響下に置こうとした。
これが八雲紫の逆鱗に触れ、落成式当日に博麗神社周辺での紫との弾幕戦が引き起こされた。
結果、博麗神社は再度倒壊した。
一方で紫は天子製の博麗神社を倒壊させた後に速やかに再建できるよう予め手を打っており、この際に再建を任されたのが萃香である。力仕事も得意とし信頼に対して誠実な萃香が博麗神社を再建したことで、以後の博麗神社には社屋があるのである。
ただし萃香は神社社屋は再建したが、天子が打ちこんでいた要石についてはその機能についてお墨付きを与えており、そのままとなっている。
この経緯から、今日の博麗神社には萃香と天子の両者の手によるものが同時に存在してると言える。
そしてこころに関連して、先述のように『心綺楼』以後神社参道近辺に神楽櫓が設置され、ここでこころが能楽を披露した。その様子は主に『鈴奈庵』で描かれ、多数の東方Project登場キャラクターたちがこの舞を鑑賞しに訪れている。
『心綺楼』以後のこころの神楽は自身の能力を安定させ、各種の面との調和を図る練習という側面も持つ一方で博麗神社の巫女である博麗霊夢には集客のイベントとしても魅力的であったようである。
こころは萃香が再建し、天子が要石でその地を守る博麗神社で舞い踊るのである。
この他三名は個別の登場ながら博麗神社で行われる宴会やイベントにも出席している様子が描かれており、その日常の延長にも博麗神社は位置しているようである。
なお『緋想天』で天子と萃香の両者に関わった先述の紫は『心綺楼』でも博麗神社ステージに観戦者として登場しており、同作では神社の屋根上に座って決闘を観戦している他、『鈴奈庵』ではこころの奉納神楽も鑑賞している。
その他の共通点
三者はそれぞれ他者の感情に影響を及ぼした経緯を持つ事も共通しいる。
『緋想天』で天子が持ち出した緋想の剣にみる気質を見極めることで天候の変化へと転じる機能はこころの「感情を操る程度の能力」における他者への影響力も彷彿とさせる。
萃香もまた自身の好む宴会を開くために明るくにぎやかな催しを集めており、感情そのものではないものの他者の感情を強く動かすことも志向してその能力を応用している。
各作品での位置づけと「すいここてん」の固有性
先述のように三名はいずれも各作品での異変に中心的に関係したキャラクターたちであり、萃香はその能力で「終わらない宴会」を萃め、天子は気質を表現させて天候を操作した他博麗神社を破壊した。こころは自身が積極的に異変を起こした訳ではないが、希望の面を失ったことで感情の制御に変調をきたし、その影響が広く人々に及んだという異変の核となるキャラクターでもあった。
そしていずれの作品でも他の各キャラクターのストーリーの多くで最後に登場する、最終ボス格のキャラクターたちでもある。
上海アリス幻樂団と黄昏フロンティアの共同制作作品においては「すいここてん」の三名の他『緋想天』の永江衣玖や『東方非想天則』の大ナマズ等のキャラクターも登場しているが、「すいここてん」の三名が一つのグループ単位として見出されるのは、上記のような異変関与における中心性とゲーム上のボス格の両者が備わっているためである。
作タイトルと個人名
その他の共通点として、三名の名前と東方Projectの作品名との関連性の視点をみることができる。
東方Projectは、主にゲーム作品では作品タイトルに含まれる文字あるいは文字の意味・ニュアンスが新たに登場するキャラクターあるいは新たに登場する世界観(例えば建築物やアイテム)などの名前にも関連している事が多い。そして、作品名と共有する要素を持つものが人物・キャラクターである場合、各作品の後半に登場するような、ストーリーの中核に位置する(またはそれに近い)キャラクターである事も多い。
例えば『東方妖々夢』における魂魄妖夢や『東方輝針城』における少名針妙丸などである。
この視点からすいここてんの三名を見る時、『萃夢想』の萃香、『緋想天』の天子、『心綺楼』のこころ、となり、先述のように三名はいずれも最終ボス格のキャラクターであるとともに各初登場作品の作品名をその名の一部に受けて登場するキャラクターでもあるのである。
なお同じく上海アリス幻樂団と黄昏フロンティアの共作作品である『東方深秘録』では、新規に登場した宇佐見菫子の名前の中にこそ「深秘録」のいずれかの語を直接見ることはできないが、菫子のサークル活動にして世界観の一端でもある「秘封倶楽部」及び同作における菫子の二つ名である「深秘を曝け! 秘封倶楽部初代会長」の両要素に「深秘録」タイトルにもある「秘」の文字が存在している。